キハ王子の旅鉄日記 -16ページ目

2008年2月・冬の青森旅行(6)

- 絶景の十和田湖 -


八戸駅10時40分出発のバス「おいらせ」号に乗り込む。


200802aom_51



ちなみに、乗客は僕を含めてたったの2名。



色々なイミで大丈夫なのか…(汗)


鉄道と違い、バスには全く興味が無い。ただ乗っていても退屈なだけなので、出発するなりいきなり缶ビールを開ける。まだ午前中だがそんなの関係ない。


途中、どこかのパーキングエリアで休憩。このバスにはトイレが無いので、いわばトイレ休憩と言ったところだ。と言うか、これだけ長距離を走るバスなのにトイレが付いてないってどういうコトなんだ!!


ここで時間があったので土産物屋など覗き、津軽塗りの杯を買ってしまった。


200802aom_52


陶器やガラス製の杯な好きで幾つか持っているのだが、漆製品は初めて買った。これはこれでまた趣きがあって、他とは一味違った風合いで面白いかもしれない。



パーキングを出たバスはどんどん山道へ入っていく。どんどん雪深くなっていく。そして13時ちょうどに十和田湖に到着した。



時間も時間なのでまずは昼食…といきたいが、この冬の十和田湖。あたりを見渡すとなにぶんほとんどの店が閉まっている。さすが大半の宿が休業と言うだけあるわ…恐るべし冬の十和田湖。結局、観光船待合室で軽食もやっていたので、そこでソバをすする。


そして湖畔へ出て散策してみる。見渡す限り一面に深く深く積もった雪。それを踏みしめながらゆっくりと歩いて行く。


200802aom_52


時折雪が北風に舞い、足元からじわじわと冷たさを感じ、正直とても寒い。が、それでも歩く。



歩くことしばらく。そして目の前に広がる絶景。

200802aom_53   200802aom_54

200802aom_55   200802aom_56


深く澄み切った青をたたえた湖は日の光を浴びてキラキラと輝き、バックには白く雪化粧をまとった山が連なる。濃い青と白銀と…そのまるで絵画的とも言えるコントラストが素晴らしい。湖面には無数の白鳥達が遊び、鮮やかなスカイブルーがまぶしい空…さらに白と青の組み合わせがもう一つ加わる。


その風景は見る者の言葉を失わせるのではなく、むしろ感嘆の声をあげずにはいられなくさせる。僕は独り、「これは凄い…凄い!!」と何度も叫んでしまっていた。


ただ立っているだけでも徐々に体温と体力とを奪われていくこの寒空の下。しかし、そんな厳冬の中わざわざ観に来るだけの価値のある景色がここにはあった。



そして辿り着いた乙女の像。この十和田湖の象徴とも言える風景だ。

200802aom_57   200802aom_58


そのすぐ側には十和田神社。雪の中の神社と言うのも厳かな感じがして良いものだ。


…ちなみに、参拝客は誰もいない。と言うかそもそも、湖畔を歩いている人間すらいない。僕しかいないのだ。やはりこの寒さ、わざわざ出歩く人間なぞ相当な物好きのみと言うことか。



ここに来て、さすがに寒さに限界になってきたので引き返す。今回は前回・秋田での反省を活かして、スニーカーの中に防寒中敷+カイロを入れてきた(前回、最も冷えたのは足裏だった)のだが、正直あまり効果が無かった様な…。まあ、これだけ雪が降り積もっていれば何をどうしようと冷えることに変わりは無いか。



先程昼食を取った観光船待合室まで行き、今度は観光遊覧船に乗る。

200802aom_59   200802aom_60


大きな、なかなかに立派な船だ。



が、乗客は僕を含めてたったの4名。

ちなみにそのうちの一人は、十和田湖まで来るバスで乗り合わせた人だった。それにしてもこの冬の十和田湖、本当に人っ気が無い…。


200802aom_62   200802aom_61


船上から眺める十和田湖もやはり美しい。白い山々がまるで墨絵の様だ。冬の十和田湖、とても素晴らしい景観だと思うのだが、どうしてこんなに観に来る人が少ないのだろう。勿体ない。



四季折々の表情を魅せる十和田湖。その中でも、紅葉の時期が最も美しいと聞いていたのだが、なかなかどうして。真冬の十和田湖もイイじゃないか。静けさと荘厳さ。日本古来からのわびさび。そんな、「和の情緒」を感じさせる風景がそこには広がっていた。






2008年2月・冬の青森旅行(5)

- 特急「つがる」と八戸のこだわりの酒屋 -


2008年2月21日(木) 青森での2日目。


目を覚まして外を見ると、昨日の穏やかな晴天がウソの様。朝から雪がしんしんと降っている。気温もグッと低くなって、見るからに寒そうな天候だ。



ホテルで朝食を済ませ、7時半前にはチェックアウトして駅へと向かう。今日はこれから、十和田湖へと向かうのだ。


外に出ると本当に寒い。やはり昨日は特別に暖かかったのだろう。



青森からはまず7時46分発の特急「つがる」に乗る。これで八戸まで出て、そこからバスで行く。


ちなみに、十和田湖へ向かうバスは八戸からだけでなく、青森からも出ている。そして、今回僕の使っている「青森・函館フリー切符」ならば、青森⇔十和田湖のバスなら乗り放題。ただし、八戸⇔十和田湖のバスは別に料金を払わなくてはならない。


では、なぜわざわざ八戸からのバスに乗ろうと思ったのか。


結論は簡単。青森から十和田湖は、バスで4時間もかかるのだ。一方、八戸からならば2時間半くらいで着く。もちろん、八戸まで出るのに列車で行かなくてはならないから、その分の時間を合わせればそんなに変わらないかもしれない。しかしバスと列車とでは(僕の気持ち的に)違う。列車なら、(ロングシートでなければ)何時間揺られていても全く苦痛に感じない。逆に、バスにはほとんど興味が無いから、4時間も乗り続けるだなんて苦痛以外の何者でも無い。



青森駅にやってきた特急「つがる」。車両はE751系。実を言うと八戸まで行くことにしたのは、この車両に乗ってみたかったから、と言うのもある。


200802aom_45   200802aom_46


車内はすっきりとしたビジネス仕様で、座席はJR東日本お得意の、背もたれと座面が別々に動くタイプ。なによりこの車両、顔立ちが良い。白とオレンジの優しいカラーに、ブラックフェイスが印象を引き締めて…。ライトとヘッドマーク(代わりの電光掲示板)がまるで目と口みたいに見えて、ちょっと人間ぽい。




と言うかぶっちゃけ…かわいい(ぽっ)



ああっつがるたんかわいいよつがるたん。



しかし…JR東日本も、特急車両ならば割とセンスあるデザインするのに、どうして普通列車はあんな「走るンです」ばかりなんだろう…でなければ701系(汗)とか。



ちなみに僕の持っている「青森・函館フリー切符」で、途中の三沢までは「つがる」の自由席ならそのまま乗ることが出来る。朝方の自由席と言うことで、ビジネス客などが結構いたが、割と前の方から並んでいたので問題なく席にはありつけた。


走り出した特急「つがる」。車窓はとにかく雪・雪・雪一色。


200802aom_47


積もっているだけでなく、ずっと横殴りで降り続ける。窓にこびりついた雪がその激しさを物語るというもの。この天候では列車も走り難いだろうに…と思いきや、何のことは無い。特急「つがる」はそんな雪など全く気にすることなく猛スピードで突っ走る。ぐんぐん加速して突っ走る。乗っているこちらが心配してしまう程に速度を上げて突っ走る。




…まさか、これだけ雪が降っていてもビクともしないとは…。


ええい、JR東の白とオレンジのヤツは化け物か!!




車内では車販のホットコーヒーを飲みながらのんびりと過ごす。このホットコーヒーが結構好きで、旅に出るとついつい頼んでしまう。



列車は8時31分、三沢に到着。フリー切符で乗れるのはここまでなので、ここからは後続の普通列車に乗り換え…の予定だったのだが、外の猛吹雪を見て嫌になり、このまま八戸まで乗りとおすことにする。料金余分にかかるのと、八戸でバスの待ち時間が長くなるが仕方無いか…しかし今思えば、このチョイスは大正解だったのかもしれない。


青森を出てちょうど1時間。8時45分に八戸に到着。この頃には、雪も止んでいたので一安心。



十和田湖へ向かうバスは10時40分発。と言うことでまだかなり時間がある。駅隣接の物産館などをぶらぶら見て回り、そのまま駅の外へ出て少し街を歩いてみる。


と、ここでなにやら良さげな雰囲気の酒屋を発見したので入ってみる。土産代わりに青森の地酒を買いたいと思っていたのだが、昨日、青森の街では酒屋が見つからず買えなかったのだ。



八戸駅からほんの徒歩数分のところにある「木津商店」と言う酒屋。一見、ごくごく普通の町の小さな酒屋さんと言った雰囲気なのだが、中へ入ってとにかく、その日本酒の豊富な品揃えに驚かされた。青森県の地酒はもちろん、他県のお酒も色々、珍しい銘柄・初めて見る酒、とにかくたくさん置いてある。


200802aom_48


そしてその全てがきちんと冷蔵室で大事に保管されていて、日本酒を丁寧に扱っていることがうかがえる。店内にはなぜか漫画「美味しんぼ」原作者のサインが飾られていた。


色々見ていると、店のおばちゃんが声をかけてくれ、あれこれ説明をしてくれる。数種類、試飲もさせてもらったが、どれもこれも美味くて選ぶのに困る。



結局、青森の地酒を3本購入。うち2種類は、今の季節限定のものだそうだ。新聞紙にくるまれているのは日光を遮り、酒の品質が落ちるのを防ぐ為なのだ。


200802aom_49


店のおばちゃんと1時間近くも長々と喋ってしまい(話好きの、気さくで感じの良いおばちゃんだった)、最後は店の名刺まで貰って、駅へと戻る。しかし、当初の予定通り三沢で普通列車に乗り換えていたら、八戸でそこまでの時間が取れなかったから、恐らくこの酒屋と出会うこともなかっただろう。これもまた巡り合せ、人生って不思議なものだなと思う。







2008年2月・冬の青森旅行(4)

- 金木観光と青森での一夜 -


津軽中里から、12時55分に折り返しのストーブ列車に乗って再び戻る。まだ時間があるので、ホームでぼんやりと待つ。


ストーブ列車はディーゼル機関車が牽引してきた。となれば当然、機関車を今度は五所川原寄りに付け替えなくてはならない。DD352は一旦編成から離れ、しばらくすると入れ替えの為に爆走してきた。



バルルルル…と物凄い唸りをあげながら走るDD352。相当に年季の入った車両なのにまだまだ元気だ。



入れ替えが終わり、出発。この折り返しのストーブ列車、五所川原出発時とはうって変わり、さして乗客は乗っていない。


13時12分、金木に到着。先程大勢の観光客(団体)が降りたこの駅で、僕も下車する。


200802aom_37



ここから5分ほど歩くと、金木を代表する観光スポットに辿り着く。「津軽三味線会館」と「太宰治記念館(斜陽館)」。この2つが、程近い場所に建っている。


200802aom_38   200802aom_39


まずは「津軽三味線会館」の方へ入ってみる。タイミング良く、ちょうど津軽三味線の生演奏が始まるところだった。生で聴く三味線の演奏は迫力満点。その後、館内の展示を色々見て回る。津軽三味線の歴史などが説明されている。


三味線と言うのは、元々は盲人や、社会の最下層民と言った人達が生活の糧として弾いていたものらしく、いわばその「虐げられる」人々のハングリー精神が凄い演奏を編み出してきた…と言う様なことが書かれていた。例えば黒人のジャズなんかもそうだが、前衛的でいて優れた音楽と言うものは、常に抑圧されている立場の人々から産み出されるものなのかもしれない。


「太宰治記念館(斜陽館)」の方は、太宰治の生家をそのまま残してあるもので、内部では、往時のままの姿の部屋を見学することが出来る。相当に大きな家で、太宰家と言うのが当時の名家だったことが窺える。


ここで昼食。「津軽三味線会館」すぐ側の観光物産館内のレストランにて。


200802aom_40


名物の太宰ラーメンとやらを食べてみた。たっぷりのワカメとタケノコがトッピングされたラーメン。醤油味のスープでどこか懐かしい味だった。



金木での観光を終え、再びストーブ列車に乗って五所川原へと戻る。


200802aom_41


戻りがてら、駅でまたもやグッズを購入。絵葉書と記念乗車券セット。15時36分発のストーブ列車に乗り、五所川原には16時02分到着。



ここから、16時12分弘前行き普通列車(キハ40)→弘前で17時12分発青森行き普通列車(701系)と乗り換え、青森駅には17時57分に到着。




キハ40の写真は朝方の五能線直通列車で上げたので省略。



701系? そ ん な も の は 知 ら ん 。




今日の宿泊は駅前の「ルートイン青森」 。ごくごく普通のビジネスホテルと言った趣きだったが、天然温泉の大浴場が付いているのがポイント高い。



温泉に入って旅の疲れを癒し、その後、夕食を取りに街へと出かける。昼間はずっと晴れて穏やかな天気だったのが、日が暮れた途端に雪が降り始め、この頃には結構冷え込んできていた。


本日の夕食は、ホテルから徒歩5分ほどの場所にある「じょんがら亭」にて。


200802aom_42


店内に入り、カウンターに腰掛ける。割と大勢のお客がいて賑わっている。


つまみにまずはホタテの刺身、それに酒は青森の地酒「田酒」を注文。この「田酒」、色がほんのり黄みがかっていて、どっしりコクのある味わいでなかなか美味い。

200802aom_43   200802aom_44


更に数品頼み、その後「じゃっぱ汁」と言うのを注文。これはタラのあらや野菜などを味噌仕立てで煮込んだ鍋の様なもので、体がとても暖まる。まさに「北国の食べ物」と言った感じだ。


独りでちびちび飲んでいると、座敷にいた5人組のグループが話しかけてきた。彼らは北海道の稚内から来たらしく、僕自身もかつて稚内には行ったことがあり、話が盛り上がる。


そこに、店のおばちゃん達(津軽弁の、いかにも地元の「おかあさん」と言った感じだ)も加わり、にぎやかな一時となった。旅先では独り静かに飲むのも好きだが、こんな風に見知らぬ人達と打ち解けワイワイやるのも、それはそれで楽しい。



散々飲んで食べて喋って、青森での一夜は、実に愉快な夜となったのだった。