百度攻撃のイランサイバー軍は本物か
昨日(12日)午後、「百度」を使って「財経」「財新」の調べものをしていたのだが、「百度百科」にさっぱりつながらない。「中国政府はもう『財新』をアク禁にしたのか!」と独りプンスカ怒っていたら、そうじゃなかった。犯人はイランサイバー軍でした。

核問題をめぐる国連の追加制裁の話し合いでも、中国はイラン擁護の立場を取っている。なぜ、その友好国の中国の最大検索サイトをイランが攻撃するのか。陰謀説に立たずとも、誰かがイランの名を騙っていると見たくなるが、果たしてそうだろうか。
イランサイバー軍が初めて姿を見せたのは、ツイッターを攻撃した昨年12月中旬だった。昨年夏のテヘラン騒乱で大活躍したツイッターを攻撃するのだから、少なくとも12月に現れたイランサイバー軍は現政権そのもの、あるいはそのシンパと考えて間違いないだろう。
で、今回百度を攻撃したのが本当にイランサイバー軍か、という話になるのだが、人民日報系の環球時報が「イランサイバー軍」がハッキングした百度の画面に書かれていたペルシャ語の文章について記事にしている。その中身が、サイバー軍が本物かどうかを分析するヒントになるかもしれない。
□■サイバー攻撃とメール誤送信の「関係」□■
環球時報によれば、ペルシャ語はこう記している。「外国とシオニズム勢力によるウェブサイトの我が国への内政干渉と、デマの流布と(国内?)分裂の挑発を行っているメディアに抗議するため、今回の攻撃を発動する」
記事はイランサイバー軍が12月のツイッター攻撃以降、西側諸国の追跡を受けており、今回はイスラエル攻撃の「演習」として最強の防護システムを誇る(ホントか?)百度をターゲットにしたのでは、と推測している。
ニューズウィーク誌をCIAと同一視してその特派員を拘束するぐらいだから、イランの現政権が(少なくとも革命防衛隊は)相当なパラノイア状態にあることは間違いない。サイバー軍が革命防衛隊と同一かどうか分からないが、核物理学者の暗殺と同時に起きたのは極めて示唆的である。情報機関や軍の「英雄的行為」が時に歯止めが効かなくなるのは、北朝鮮でも旧日本軍でも立証済みだ。
陰謀説的に言えば、中国とイランがケンカして一番得をするのはイスラエルだから本当はイスラエルの犯行、ということになるだろう。だがそれではいくらなんでも分かりやす過ぎる。
今年の正月、イランサッカー協会がイスラエル協会に年賀メールを誤送信したらしい。イラン協会の渉外部長が責任を取ってクビになった。
まさか、その埋め合わせに「仮想イスラエル」として中国を攻撃したのではないだろうが。

核問題をめぐる国連の追加制裁の話し合いでも、中国はイラン擁護の立場を取っている。なぜ、その友好国の中国の最大検索サイトをイランが攻撃するのか。陰謀説に立たずとも、誰かがイランの名を騙っていると見たくなるが、果たしてそうだろうか。
イランサイバー軍が初めて姿を見せたのは、ツイッターを攻撃した昨年12月中旬だった。昨年夏のテヘラン騒乱で大活躍したツイッターを攻撃するのだから、少なくとも12月に現れたイランサイバー軍は現政権そのもの、あるいはそのシンパと考えて間違いないだろう。
で、今回百度を攻撃したのが本当にイランサイバー軍か、という話になるのだが、人民日報系の環球時報が「イランサイバー軍」がハッキングした百度の画面に書かれていたペルシャ語の文章について記事にしている。その中身が、サイバー軍が本物かどうかを分析するヒントになるかもしれない。
□■サイバー攻撃とメール誤送信の「関係」□■
環球時報によれば、ペルシャ語はこう記している。「外国とシオニズム勢力によるウェブサイトの我が国への内政干渉と、デマの流布と(国内?)分裂の挑発を行っているメディアに抗議するため、今回の攻撃を発動する」
記事はイランサイバー軍が12月のツイッター攻撃以降、西側諸国の追跡を受けており、今回はイスラエル攻撃の「演習」として最強の防護システムを誇る(ホントか?)百度をターゲットにしたのでは、と推測している。
ニューズウィーク誌をCIAと同一視してその特派員を拘束するぐらいだから、イランの現政権が(少なくとも革命防衛隊は)相当なパラノイア状態にあることは間違いない。サイバー軍が革命防衛隊と同一かどうか分からないが、核物理学者の暗殺と同時に起きたのは極めて示唆的である。情報機関や軍の「英雄的行為」が時に歯止めが効かなくなるのは、北朝鮮でも旧日本軍でも立証済みだ。
陰謀説的に言えば、中国とイランがケンカして一番得をするのはイスラエルだから本当はイスラエルの犯行、ということになるだろう。だがそれではいくらなんでも分かりやす過ぎる。
今年の正月、イランサッカー協会がイスラエル協会に年賀メールを誤送信したらしい。イラン協会の渉外部長が責任を取ってクビになった。
まさか、その埋め合わせに「仮想イスラエル」として中国を攻撃したのではないだろうが。
元財経の「財新」がスタート
「財経」誌の元名物編集長、胡舒立が新たにつくると噂されていた雑誌「財新」がついにその秘密のベールを脱いだ(写真右)。

といっても、雑誌名は「新世紀週刊」。「財新」の名前を冠しているのは、今のところウェブサイトだけ。新世紀週刊はもともとシンクタンク中国(海南)改革発展研究院系の雑誌(月3回刊)だったが、1月4日号(右)から突然ロゴと英語名(News Magazine改めCentury Weekly)と中身が大変わりした。
WSJ紙(中文版)によると、1月1日号(左)は大量の写真で2009年を振り返る雑誌構成だったのに、1月4日号は突然文字中心になり、その中身も特集「インフレ虎の如し」に始まり、精神病院の専門家の腐敗問題、上場国有銀行幹部の人事問題と金融監督問題――と、まんまかつての「財経」である。この新「新世紀週刊」誌、定期購読者にだけ試読誌として配られたらしく、その体裁は最新1月11日号でさらに変化している(↓)。

新しい雑誌を作るといっても、あれだけ嫌われることをやってきて、どうやって政府の許可を取るのかと思っていたら、なるほど「乗っ取り」という手があった。胡編集長以下、財経を辞めたスタッフが総乗り込み。解雇の恐怖に脅えていた旧「新世紀週刊」のスタッフ21人とは、とりあえず遅配になっていた給料を払うことで和解したらしい。はっきりしないが、おそらくはみな辞めた(もしくは辞める)のだろう。
しばらくすると、雑誌の名前も「財新」に変わるはずだ。財経と財新、加えて新華社系の「財経国家週刊」という雑誌も創刊された。中国でビジネス週刊誌が生き残る余地はまだまだあると思うが、競争(とそれに伴う報道の自由と規制のあつれき)が今後いっそう高まるのは間違いない。

といっても、雑誌名は「新世紀週刊」。「財新」の名前を冠しているのは、今のところウェブサイトだけ。新世紀週刊はもともとシンクタンク中国(海南)改革発展研究院系の雑誌(月3回刊)だったが、1月4日号(右)から突然ロゴと英語名(News Magazine改めCentury Weekly)と中身が大変わりした。
WSJ紙(中文版)によると、1月1日号(左)は大量の写真で2009年を振り返る雑誌構成だったのに、1月4日号は突然文字中心になり、その中身も特集「インフレ虎の如し」に始まり、精神病院の専門家の腐敗問題、上場国有銀行幹部の人事問題と金融監督問題――と、まんまかつての「財経」である。この新「新世紀週刊」誌、定期購読者にだけ試読誌として配られたらしく、その体裁は最新1月11日号でさらに変化している(↓)。

新しい雑誌を作るといっても、あれだけ嫌われることをやってきて、どうやって政府の許可を取るのかと思っていたら、なるほど「乗っ取り」という手があった。胡編集長以下、財経を辞めたスタッフが総乗り込み。解雇の恐怖に脅えていた旧「新世紀週刊」のスタッフ21人とは、とりあえず遅配になっていた給料を払うことで和解したらしい。はっきりしないが、おそらくはみな辞めた(もしくは辞める)のだろう。
しばらくすると、雑誌の名前も「財新」に変わるはずだ。財経と財新、加えて新華社系の「財経国家週刊」という雑誌も創刊された。中国でビジネス週刊誌が生き残る余地はまだまだあると思うが、競争(とそれに伴う報道の自由と規制のあつれき)が今後いっそう高まるのは間違いない。
鳩山首相は南京を訪問すべきか
なぜか仏フィガロ紙が今月4日、「中国政府が日本政府に鳩山首相の南京訪問を要請」というニュースを東京発でスクープした。
日本では5日に時事通信が転電、翌6日にフィガロの提携先である読売新聞が独自に確認する形で後追いした。
かなり刺激的なニュースだが、8日現在日本の主流メディアはほぼ黙殺している。日中両政府は事実を否定しているが、この種の情報の出方としてはよくあるパターンで、おそらく「当たり」だろう。
フィガロ(を転電した時事)によれば、中国側は鳩山首相の南京訪問の代わりに胡錦涛の広島訪問を提案しているらしい。だが、それは日本の首相の南京訪問の「代わり」になるものなのだろうか。
□■「謝罪」と「慰め」は等価交換できない□■
そもそも先日の習近平訪日で、日本側は天皇会見をゴリ押しした中国側に「貸し」が一つできたはず。その「貸し」も返してもらわないうちに、南京訪問という新たな「貸し」をつくる必要があるのだろうか。南京訪問には「日本の中国に対する謝罪」の意味しかない。実現のメリットがあるのは明らかに中国側(というか、胡錦涛)である。
そして、広島に原爆を落としたのが中国共産党ならいざ知らず、中国国家主席の広島訪問には戦争の「被害者」が「被害者」のもとを訪れる「慰め」の意味合いしかない。「謝罪」と「慰め」は等価交換するのは見合わない。
もちろん、南京事件と広島原爆のそれぞれの死者への追悼の気持ちを否定すべきではない。だがそれが外交の「材料」であり、国家がときにその「材料」をめぐって冷徹なやり取りをしなければならないこともまた否定できない。
それにしても、習近平の天皇会見ゴリ押しといい、今回の首相南京訪問といい、中国外交部の「上司」へのゴマすりぶりは見ていて恥ずかしくなるほどだ。新たに着任する程永華駐日大使の最初の仕事は、この首相南京訪問の実現になるのだろう。ご苦労なことだ。
中国官僚のゴマすりに、日本政府がお付き合いする義理はさらさらないと思う。それとも民主党政権には、中国に貸しを二つ作ってより大きな見返りを得る壮大な外交ビジョンでもあるのだろうか。
日本では5日に時事通信が転電、翌6日にフィガロの提携先である読売新聞が独自に確認する形で後追いした。
かなり刺激的なニュースだが、8日現在日本の主流メディアはほぼ黙殺している。日中両政府は事実を否定しているが、この種の情報の出方としてはよくあるパターンで、おそらく「当たり」だろう。
フィガロ(を転電した時事)によれば、中国側は鳩山首相の南京訪問の代わりに胡錦涛の広島訪問を提案しているらしい。だが、それは日本の首相の南京訪問の「代わり」になるものなのだろうか。
□■「謝罪」と「慰め」は等価交換できない□■
そもそも先日の習近平訪日で、日本側は天皇会見をゴリ押しした中国側に「貸し」が一つできたはず。その「貸し」も返してもらわないうちに、南京訪問という新たな「貸し」をつくる必要があるのだろうか。南京訪問には「日本の中国に対する謝罪」の意味しかない。実現のメリットがあるのは明らかに中国側(というか、胡錦涛)である。
そして、広島に原爆を落としたのが中国共産党ならいざ知らず、中国国家主席の広島訪問には戦争の「被害者」が「被害者」のもとを訪れる「慰め」の意味合いしかない。「謝罪」と「慰め」は等価交換するのは見合わない。
もちろん、南京事件と広島原爆のそれぞれの死者への追悼の気持ちを否定すべきではない。だがそれが外交の「材料」であり、国家がときにその「材料」をめぐって冷徹なやり取りをしなければならないこともまた否定できない。
それにしても、習近平の天皇会見ゴリ押しといい、今回の首相南京訪問といい、中国外交部の「上司」へのゴマすりぶりは見ていて恥ずかしくなるほどだ。新たに着任する程永華駐日大使の最初の仕事は、この首相南京訪問の実現になるのだろう。ご苦労なことだ。
中国官僚のゴマすりに、日本政府がお付き合いする義理はさらさらないと思う。それとも民主党政権には、中国に貸しを二つ作ってより大きな見返りを得る壮大な外交ビジョンでもあるのだろうか。