鳩山首相は南京を訪問すべきか | Observing China

鳩山首相は南京を訪問すべきか

なぜか仏フィガロ紙が今月4日、「中国政府が日本政府に鳩山首相の南京訪問を要請」というニュースを東京発でスクープした。

日本では5日に時事通信が転電、翌6日にフィガロの提携先である読売新聞が独自に確認する形で後追いした。

かなり刺激的なニュースだが、8日現在日本の主流メディアはほぼ黙殺している。日中両政府は事実を否定しているが、この種の情報の出方としてはよくあるパターンで、おそらく「当たり」だろう。

フィガロ(を転電した時事)によれば、中国側は鳩山首相の南京訪問の代わりに胡錦涛の広島訪問を提案しているらしい。だが、それは日本の首相の南京訪問の「代わり」になるものなのだろうか。

□■「謝罪」と「慰め」は等価交換できない□■

そもそも先日の習近平訪日で、日本側は天皇会見をゴリ押しした中国側に「貸し」が一つできたはず。その「貸し」も返してもらわないうちに、南京訪問という新たな「貸し」をつくる必要があるのだろうか。南京訪問には「日本の中国に対する謝罪」の意味しかない。実現のメリットがあるのは明らかに中国側(というか、胡錦涛)である。

そして、広島に原爆を落としたのが中国共産党ならいざ知らず、中国国家主席の広島訪問には戦争の「被害者」が「被害者」のもとを訪れる「慰め」の意味合いしかない。「謝罪」と「慰め」は等価交換するのは見合わない。

もちろん、南京事件と広島原爆のそれぞれの死者への追悼の気持ちを否定すべきではない。だがそれが外交の「材料」であり、国家がときにその「材料」をめぐって冷徹なやり取りをしなければならないこともまた否定できない。

それにしても、習近平の天皇会見ゴリ押しといい、今回の首相南京訪問といい、中国外交部の「上司」へのゴマすりぶりは見ていて恥ずかしくなるほどだ。新たに着任する程永華駐日大使の最初の仕事は、この首相南京訪問の実現になるのだろう。ご苦労なことだ。

中国官僚のゴマすりに、日本政府がお付き合いする義理はさらさらないと思う。それとも民主党政権には、中国に貸しを二つ作ってより大きな見返りを得る壮大な外交ビジョンでもあるのだろうか。