今回の全駅間歩きは東海道本線。
いよいよ最大の難所に挑みます。
街道としての東海道最大の難所といえば、天下の険・箱根越え。
いっぽうの東海道本線は箱根は通らず熱海へ向かいますが、
熱海の先には箱根から続く山地が立ちはだかります。
東海道本線はこの山地を丹那トンネルで一気に走り抜けています。
丹那トンネルは全長7,804メートルで、当初から複線トンネルとして建設されました。
1933年に貫通するまでに15年の歳月を要しただけでなく、
工事途中で落盤や大量出水、北伊豆地震などに襲われて多くの死者が出たほか、
建設中のトンネル自体が北伊豆地震の影響でずれてしまい、工事は難航を極めたそうです。
今日では隣接して新幹線用の新丹那トンネルも建設され、
あわせて東海道の大動脈を支えています。
…そうです。
鉄道トンネルならちゃんとあるんです。
でも、まぁ、まさか鉄道トンネルの中を歩くわけにはいかないですよね。
そんなわけで、こちらはしっかり山越えをしなければなりません。
かつて、熱海と三島・沼津方面を結ぶメインルートは熱海峠越えでしたが、
1973年に鷹ノ巣山トンネルを経由する短絡路「熱函道路」が開通し、
現在は実距離・高低差ともに大きく緩和されています。
熱函道路経由なら標高差は400メートルあまり…
だけど、地図でルートを確認すると、登るばっかりであまり面白味はなさそうでした。
もうちょっと面白くて、なおかつ現実的に歩けるルートはないのでしょうか。
調べてみると、熱海峠の南にそびえる玄岳には、
熱海側・函南側の両方にハイキングコースが延びているではないですか。
玄岳の山頂は標高799メートル。
距離の増加が気がかりでしたが、実際に計測してみると現実的に歩ける範囲でした。
標高差は熱函経由の倍くらいありますが、歩き甲斐のあるコースになりそうです。
丹那盆地に下りきってからのルートも、ネットで調べているうちに効率的なコースが見つかり、
1日を最大限活用すれば、沼津まで歩くことができそうです。
1日でこなす累積高低差は谷川越えに次ぎ、
山間部の飯田線全駅間歩きに匹敵するレベルとなりそうです。
沼津まで歩く予定なので予定歩行距離も一人前。
久しぶりにチャレンジングな駅間歩きが始まりそうです。
[その他の東海道本線シリーズはこちらから]
1回目: 東京-品川
2回目: 品川-東戸塚
3回目: 東戸塚-平塚
4回目: 平塚-早川
5回目: 早川-熱海
7回目: 沼津-静岡
8回目: 静岡-浜松
9回目: 浜松-豊橋
10回目: 豊橋-名古屋(・武豊)
3月20日(水) 歩行区間:熱海-沼津 天気:晴れ
熱海(7:30発)-玄岳ハイクコース入口バス停(8:14着・8:20発)-
最初の写真は東京駅。
まずは朝イチの新幹線で熱海へ向かいました。
熱海なら普通列車でも十分行ける距離ですが、
今日は日没まで時間をフルに使うことになりそうなので、
少しでも早くスタート駅に着くべく新幹線をチョイスしました。
乗車したのは「こだま631号」。
旅行などで伊豆~静岡あたりに行くときはこれを使うことが多いです。
「こだま631号」に使用されているのは700系。
ちょっと前まで掃いて捨てるほど走っていましたが、
いつの間にかこだまにもN700シリーズが台頭してきて、
今や東海道区間で走る700系使用の定期列車は「こだま631号」を含めて5本しかありません。
新幹線の方向幕は700系が最後の砦。
見納めの時はそう遠くないようです。
東京駅から45分もかからずに熱海駅に到着しました。
そのまま在来線ホームに向かって記念撮影。
函南方面に向かって1枚。
静岡方面に向かう東海道本線の列車は2、3番ホームを使用することが多いようですが、
列車によっては4番ホームを使うこともあるようです。
熱海駅前の一角には、
かつて小田原と熱海を結んでいた軽便鉄道に使用されたSLが保存されています。
軽便鉄道時代の小田原-熱海間の所要時間は約2時間半。
現在は普通列車でも25分ですから、時代を感じますよね。
いよいよ東海道本線随一の難関駅間に出発します。
まずは駅前商店街を通り抜けます。
この時間はまだ人通りもまばらですが、
開店準備しているお店もちらほらと。
アーケード商店街は3分ほどで抜けましたが、
商店街はその先にも続いていました。
山越えがすぐそこに迫っているのですが、どんどん坂を下っていきます。
旅館をそこかしこに見かけるところが、さすが熱海といったところ。
ただ、古そうな建物も多いですね。
熱函道路に向かう県道との交差点付近が一番低い場所です。
このあたりで標高は10メートルほどしかありません。
ここから標高800メートルまで登るんですよー。
県道と初川を越えたあたりから緩やかな登りが始まりました。
このあたりはまだ中心市街地です。
昭和町のY字路を右へ進むと、本格的な登りが始まりました。
中心市街地からは外れましたが、住宅地が続きました。
伊東線をアンダークロスしました。
このあたりで標高は90メートルほど。
坂はさらに傾斜を増していきます。
前に進もうとすると、後ろに押されるような感じがします。
バス停にはバス待ちの人がちらほらと。
これだけ起伏があると、市街地へ行くにもバス使いたくなりますよね。
坂がきつくなっても、張り付くように民家が連なっていました。
平地と同じスピードで歩くと、少し息が切れました。
駅から45分ほどで玄岳(くろたけ)ハイクコース入口バス停に到着。
登り坂でもあまり速度を落とさずに歩いてきたので、
ちょっと汗が出ましたが、まだ余裕があります。
このあたりで標高は200メートルほど。
所要時間約2時間と書かれていますが、どれくらいで到着できるでしょうか。
もう一度準備体操して、先へ進みました。
先ほどの道を外れ、登山道へ向かう道に入りました。
こちらも坂道に沿って住宅が続いていました。
坂がさらにきつくなり、両側から緑が迫ってくると、
住宅地は終わりを迎えました。
そこから少し歩くとアスファルト道も終わりました。
本格的な登山道の始まりです。
(その2へ続く)
熱海駅から玄岳山頂までのGPSログ(1/45,000)です。
玄岳ハイクコース入口までは熱海駅からバスでアプローチできます(約20分とのこと)。
登山道は函南町側もよく整備されていますが、下山後の交通手段がタクシーを呼ぶくらいしかなく、
函南側には行かず、熱海側に戻る方も多いようです。