鬼川の日誌 -18ページ目

「暗黒時代」へ

  またトラが始まる

 

 

 

  米大統領選はトランプとハリスが稀に見る接戦を繰り広げていると

 日、米のメディアは予報を流し続けていたにもかかわらず、蓋を開けて

 みるとトランプの圧勝に終わった。ハリスは「暗黒時代の幕開け」と

 いう敗北宣言を出さざるを得なかった。

 

  その後上下両院も共和党が多数派となり、「トリプルレッド」と文字

 通りトランプ党の圧勝となった。(共和党の穏健派はほぼ消滅し共和党

 はもうトランプ党の様相。)

  トランプは既に忠誠心の強い側近で政権幹部を固め始め、これまでの

 民主党バイデン政権の政策をほぼ全てひっくり返す準備を進めている。

 

  * それにしても民主党はなぜこのような無惨な敗北を喫してし

   まったのだろうか?

 

  *  まず直接的な選挙戦でバイデンはあまりに年で次期4年は到底無理

 と誰もが判断すべき状況にもかかわらず、バイデンを越える候補を準備

 できなかったことがなんといっても決定的だった。

  とうとう耄碌ぶりが露呈するまで引きずった。そして慌ててハリスを

 担ぎ出さざるを得なかったが、ハリスを売り込むには既に時間がなく

 遅すぎたのは明らか。これでも「接戦」にまでは持ち込んだ。

 

  *  なんといっても米経済でインフレの亢進が止まらず大多数の人々

 の生活が追い詰められてきているのに有効な対策を打ち出せず、必ず

 しもバイデン政権のせいでもないことまで、ともかく現政権への不満

 としてトランプにいいように利用された。

  しかもなんで?と不思議に思うほどこのキャンペーンに対する有効な

 反撃も出来なかった。

 

  (今やこれはエスタブリッシュメント=民主党支持の富裕層や政府、

 官僚機構への反逆といった形に作られ始めているようだ。)

 

  *  バイデン政権は今なお続いているイスラエルによるガザ(ヨルダン

 川西岸地区)のパレスチナ住民の大虐殺、ネタニヤフの暴虐を止める

 どころか、イスラエルに対する軍事支援を減らす事すらできず、若者や

 アラブ人たち本来民主党支持の人たちのバイデン離れが進み、ハリスも

 同じと見なされるしかなかった。

  (結局トランプには入れないがハリスにも入れないとなる。)

 

  *  移民の急増に対するトランプの反移民キャンペーンに対しても

 ハリス(バイデン)はまるで有効な反撃が出来なかったし、彼ら自身の

 方針が必ずしも明確であったとはいえない。

  揺さぶられる一方でむしろ本来なら民主党支持のマイノリティーを

 トランプ派に切り崩された。

 

  *  妊娠中絶など女性の権利をめぐる問題とか、女性大統領への拒否感

 (ガラスの天井)が黒人男性で顕著だったといわれていることとか、米

 社会の様々な問題で、トランプ岩盤支持の福音派だけでなく広く米社会

 の根っこがマイノリティーも含め恐ろしく保守的である事を露呈した。

  何せ未だに「進化論」を高校で教えることを拒否し禁止しようとする

 福音派、キリスト教原理主義者たちが米社会の4割を占めていると言わ

 れるほどなのである。彼らはトランプに票を投じる。

 

  *

 

  こうした中で起きたトランプ暗殺未遂で、トランプが悪運強く生き延

 びたことは、岩盤支持層には「神の思し召し」と受け止められ(何せ

 神がかっているいるから始末に負えない)勢い付かせる事になった。

  そもそも選挙結果がギリギリの争いとなり僅差で敗北かとなるような

 場合には、トランプ派は内戦も辞さずの構えであったのに比較すれば、

 民主党側はそこまでの覚悟はなく、基本甘かったと言わざるを得ない。

 

  もちろん総体としては民主党と共和党の勢力は拮抗しているには違い

 ないとはいえ、この大統領選の明らかな民主党側の失策により、明白な

 ファシストトランプが権力を握った。しかもトリプルレッドでトランプ

 の暴走を止めるものはどこにもなくなった。

  これで欧州各国における極右政党の躍進と軌を一にして世界的な右

 旋回が進むのは避けられなくなった。

 

  ウクライナではトランプは現状で固定しての停戦を強制するつもりの

 ようだし、ウクライナが容易に飲めるものではない。ガザもイスラエル

 よりの停戦案を押し付けるだろうし、これもハマス側の敗北なくして

 成り立たない。良くて混迷の一時的固定。

 

  衆院選で自公政権が敗北し少数連立政権となってしまったとはいえ、

 国民、維新などの「ゆ」党のおかげで、第2次石破政権が成立した。

  しかも最大野党の立民も基本は穏健多数派の取り込みを目指す程度

 のもので他の湯党とぬるま湯に浸かっているようなものだ。

  ただ低迷するだけの日本にとってもトランプによる関税の引き上げなど

 の諸政策や防衛費負担の増額要求などが不可避で、日本経済の停滞に

 拍車がかかるしかない。

  今は早速円安が進んでいる。先行きの不安が増すばかり。

 

  

    

ガザ虐殺1年

  混乱の瀬戸際?

 

 

  ネタニヤフはガザ虐殺をやめようとしないどころかやりたい放題。

 ガザだけで4万2千人(その他地下に埋まっている人1万人)近く

 ものパレスチナ人を殺し、ヨルダン川西岸地区でも苛烈な弾圧殺害

 を重ねている。危機的な人道状態でこの先どれだけの人が殺されるか

 分からない。

  国際社会は米政権のイスラエル支持のせいでこの状態を少しも

 解決できないでいるし、イスラエル国内での反ネタニヤフのデモも

 続いているのだが、ネタニヤフを引き摺り下ろすことは出来ないで

 いる。

 

  *

  ネタニヤフはイラン国内でハマスのトップを暗殺し、またレバノン

 ではヒズボラのトップ他指導部の相当数を空爆(地下貫通弾など)

 で殺した。

  対ヒズボラではポケベル爆弾でのテロ攻撃などに続きレバノンへの

 地上攻撃を開始し、首都ベイルートに大規模な空爆を続けている。

 

  この間の一連の流れで目立つのはイスラエルの諜報活動だ。ポケ

 ベル爆弾はその典型だし、目標の居場所を探り出して攻撃している。

  しかもハマスのトップ、ハニヤの場合は、敵対国イランの首都での

 暗殺であるし、ヒズボラのトップ、ナスララの場合は地下の本部を

 探り当てて貫通弾で殺している。

 

  *

  こうしたネタニヤフのやりたい放題を許してメンツ丸潰れのイラン

 指導部はイスラエルに対する大規模なミサイル攻撃に踏み切らざるを

 得なかった。今回は極超音速ミサイルも使ったといわれイスラエルの

 防空網をかいくぐり相当数が基地などに着弾した。しかし人口密集地

 などは目標から外したらしく人的被害はでなかった(?)といわれて

 いる。即全面戦争になることは避けたかったようだ。

 

  しかしネタニヤフはこれに対してイランの核施設やイラン経済の

 生命線、石油施設への攻撃をちらつかせている。

  おっちょこちょいのトランプが早速「核施設」を攻撃すべきと

 煽っていて、大統領選向けだとしてもそのまさに危ない本質を露わ

 にしている。

 

  *

  ネタニヤフは戦火が中東全域に広がることはむしろ望むところに

 違いなく(戦時内閣が続く限り自分の政治生命が延びる)、核施設か

 石油施設への攻撃をやるに違いない。

  だがそれもあくまで米国の支援あってのもので、同じ狂犬トランプ

 の当選のためこれに呼応し、中東の大乱(これは米国現政権がだから

 ハリスが不利となる)を引き起こすことを「オクトーバーサプライズ」

 として狙うに違いない。

 

  石油施設への攻撃でイランによるホルムズ海峡封鎖などの対抗措置

 を引き出し、中東戦争に米国を引き込むことを狙っているのかも知れ

 ない。いずれにせよ紛争が世界に広がることになりかねない。

  そうなれば日本はまた石油危機だ。

 

  *

  中東がひどく危ないというばかりではなく、米国大統領選の行くへ

 次第(トランプが負ければ)でトランプ派は「内乱」になると警告し

 ていて、前回の「議会乱入」に続き実際やりかねない危うさがある。

 

  「シビル・ウォー」(米国最後の日)という映画が今盛んに宣伝され

 ている(中身は知らないが表題からトランプ派が警告する「内戦」に

 ヒントを得ていることは明らか)。

  こうした映画が作られるほど米国の分断は深い。これが露わになる

 のも間近だ。米国の「内乱」混乱は世界の大乱に直結することは間違

 いない。

  習近平、プーチンが踊り上がって喜ぶに違いない。

 

  もしかしたら世界中の大混乱、戦争の瀬戸際に我々は立たされて

 いるのかも知れない。

 

 

  

自民総裁選の茶番

  自民総裁選と袴田さんと

 

 

  ポケベル無差別テロでヒズボラに打撃を与えたイスラエルは、それ

 以後連日のようにヒズボラの拠点だとするレバノン南部の空爆を続け

 地上侵攻の構えを見せている。ガザ虐殺に続きやりたい放題。

  イスラエルはこの空爆でヒズボラの指導者ナスララを殺したと

 発表した。ヒズボラとイスラエルの全面衝突が差し迫っている。

  

  *

 

  27日、自民石破新総裁が誕生した。

  今回の自民の総裁選当初は、人気の小泉を新総裁に祭り上げ馬脚が

 露呈しないうちに一気に総選挙をやって裏金問題の「みそぎ」を済ま

 せたことにして居直るという路線が優勢と思われたが、小泉がこの

 選挙中早々にブレ始め、質問に珍回答を繰り返し中身が何もない事が

 暴露され失速、決選投票に残ることすらできず「セクシー内閣」で

 総選挙は夢の如く消えてしまった。

 

  裏金議員・安倍派と自民の岩盤頑迷保守派が担ぐ高市が一回目の

 投票で一位となり、自民党は中身は少しも変わるつもりもないことを

 満天下に示した。がその瞬間、このまま高市を担いだ場合「これまで

 と少しも変わらない自民というどうにも気持ち悪いお面」を看板に

 次の総選挙を戦わなければならなくなることが浮かび上がった。

 

  いくら本質は変わるはずも変わりようもないとはいえ流石にこれ

 では選挙で勝てないと二の足を踏む議員の多くが、世論調査などで

 より人気が高い石破支持に回ったようだ。

  石破総裁の誕生はただそれだけの茶番に過ぎない。それでもこの

 総裁選をマスコミの手を借りてともかく賑やかにやることが出来た

 ので、あたかも自民党が出直したかのような体裁を取るという当初の

 目的は達成されたとしているに違いない。

 

  またリベラル色を薄めて保守穏健派に擦り寄りあわよくば、と目論

 んだらしい立民はかつての「民主党政権」を潰した張本人野田を担ぎ

 出すなどどうしようもない最悪の手を打ち(小沢等)自ら破綻してい

 ることを鮮明にしてしまっている。

  これでは日本は二進も三進もいかない。

 

  *

  26日、袴田さんの再審無罪が静岡地裁でようやく言い渡された。

 そこで「捜査側が証拠三つを捏造」して袴田さんを死刑囚にでっち上げ

 たことが明確に認定された。

  裁判長があまりにも時間がかかったとお詫びしたが、もはや取り返し

 はつかない。

  袴田さんは既にすり潰され意思の疎通すら出来ない、この無罪判決の

 意味を理解することも出来ない状態だという。

  

  問題は捜査機関は例えそれが冤罪で真犯人を逃しのさばらせることに

 なろうと(この事件ではその後自殺者が出ているようだ)、「犯人を捕

 まえた」という実績さえあれば「後は野となれ」で、人一人潰そうが

 何をしようがお構いなし、逮捕起訴したという警察、検察(権力)の

 体面を保つためなら「証拠を捏造する」などなんでもあり、またマス

 コミも捜査機関側が一方的に垂れ流す情報を信じて社会に垂れ流し、

 袴田さんを犯人に仕立て上げるのに手を貸してきたという、こうした

 恐ろしい社会に私たちは生きているということだ。

 

  今でも人質司法が平然と続いているし何も変わってはいない。

  「証拠の捏造」が明白に暴露認定されたことを権力側がそのまま

 容認するとは思えない。「控訴」の暴挙に出る可能性がある。しかし

 それは許されることではない。