60年代後半、

日本全土の少年少女を

熱狂の渦に巻き込んだ

GS(グループサウンズ)

ブームでしたが、

70年~71年になるまでには、

ほとんどのグループが

解散することになり

GSブームは完全に

終焉を迎えることになりました。

 

そして、GS氷河期と

称されることもあるほどに、

GSブームやその楽曲が

話題に上らなくなり、

ほとんどのGSのアルバムが

次々と廃盤になっていき、

入手できる音源は、

一部のグループのベスト盤のみ

という、ほんの何年か前には

想像もしていなかった状態を

迎えることになります。

 

そんなさなかの70年代中頃、

東芝レコードが、

「GSオリジナルストック」

というシリーズで、

自社所属だったGSの

いくつかのグループの

ベストアルバムを出します。

 

その第1弾として、

このアルバムが出されました

(76年発売)。

 

14曲入り2000円という

廉価盤で、

この時期にはこの1枚しか

発売されていませんでしたので、

ワイルド・ワンズを

新たに知りたい若いファンは

入門盤として、このアルバムを

買い求めるしかありませんでした。

 

ほかにも、同シリーズで

 ハプニングス・フォー

 ランチャーズ

 モップス

が出ていたと思います。

 

ところがこれが、

少し問題のあるLPでした。

 

こちらが曲目です。

 

実はこのアルバムは、

前回の記事でご紹介した、

69年12月発売の

ワイルドワンズのすべて

というベストアルバムと

ほぼ同じ内容になっています。

 

わずかに、

A-5の「愛するアニタ」と

B-1の「あの頃」の曲順の入れ替えと、

B-4に収録されていた、

「この街のどこかに」を

デビューシングル

「想い出の渚」のB面曲

「ユア・ベイビー」に

差し替えられているだけでした。

 

なにが問題なのかというと、

元のアルバムは、

グループ活動中の

69年に出されたものでしたが、

その後の71年まで

活動を続けていたにもかかわらず、

その2年のあいだの楽曲、

殊に5枚のシングル曲が

全く収録されていないことなのです。

 

たとえば、

ポップでコミカルな佳曲

「いいのかな」(70年7月発売)、

歌い出しが

西欧の、とある有名な曲に

とてもよく似ている

「オー・ビューティフル・デイ!」

(70年12月発売)、

ラストシングル

「想い出の渚'71」

(71年8月発売)などの

重要と思われるシングル曲が

未収録になっています。

 

(このシリーズでは、

同様の理由で

モップスのアルバムも

収録曲に問題があるのですが、

それは別の機会に。)

 

また、

このジャケット写真は、

チャッピー加入前の

ファーストアルバムのときの

別テイクの写真のようですが、

収録曲の半分以上が

チャッピー加入後の音源ですし、

5人で揃っている写真を

使ってほしかったという声も

あったと思います。

 

↓ファーストアルバムです。

 

そのように、

個人的にはいろいろと

残念に思えた要素の多かった

1枚なのでした。

 

そして東芝さんは数年後に、

「スペシャルヴォーカル・

コレクション ベスト20」

という自社のシリーズに、

なんとこの

「GSオリジナルストック」

で発売したLPを、

ジャケットをそのままに、

ものによってはレコード番号も

そのまま変えずに、

帯(タスキ)を付け替えただけで、

引き続き発売していかれたのです。

 

さらにこのシリーズに、

「カレッジ・ポップス

オリジナルストック」

という別のシリーズなどで

発売されていた、

 赤い鳥

 トワ・エ・モワ

 ザ・フォーク・クルセダーズ

 はしだのりひことシューベルツ

 ジローズ

 ザ・リガニーズ

 フォー・セインツ

などを同じように帯だけを付け替え、

ラインナップを増やしていきました。

 

 

そこまでなら

まだ理解できたのですが、

そのうえ東芝さんは、

 奥村チヨさん、

 小川知子さん、

 岡崎友紀さん、

 渚ゆう子さん、

 黛ジュンさん、

 由紀さおりさん、

 藤島桓夫さんなど、

歌謡曲の歌い手さんたちが

「○〇〇○全曲集」という

タイトルで発売していたLPまでも

帯のデザインは異なるとはいえ、

同じやりかたで、

この、「スペシャルヴォーカル・

コレクション ベスト20」

シリーズに加えています。

 

レコードショップ店頭では、

なかなか圧巻でしたが、

ジャンルの異なるものが

一緒くたにされているという

違和感を覚えてしまったので、

個人的には、

あまり好きになれない

シリーズ化でした。

 

 *過去記事

 (加瀬邦彦と)ザ・ワイルド・ワンズ

アルバム第2集

アルバム第3集

リサイタル! '68

ワイルドワンズのすべて~想い出の渚

HAPPY END CONCERT

ワン・モア・ラヴ

コカ・コーラCMソング集 1962-89

Mera…Mera Mera~Group Sound Original Cinema Trak

G.S.オン・ステージ

FROM LIVERPOOL TO TOKYO

S.O.S.コンサート

サヨナラ日劇ウエスタン・カーニバル Vol.1 

 植田芳暁

サーフ・ライダース:黄色いワーゲン

 渡辺茂樹

キャンディーズ・ライブ

キャンディーズ:ファイナル・カーニバル・プラス・ワン

 

 ↓「いいのかな」

  「オー・ビューティフル・デイ!」です。

  いずれもこのアルバムには未収録でした。