先日、講演のあとの質疑応答で、
子どもから「なぜ、子ども達を支えようとするのか」と質問されました。
話を聞いてくれた子の中で、植松電機のマグネットを買う人は、まずいないでしょう。
だから、植松電機のコマーシャルとしての意味は、ほぼないです。
そうじゃないです。
僕らが製品を作って、買ってもらえるのは、
社会に購買力があるからです。
社会の購買力が失われたら、自動的に、企業の売り上げも下がります。
では、社会の購買力とはなにか?
それは、社会の能力です。社会を構成する個々人の能力です。
それを伸ばすことこそが、真の経済成長です。
しかし、僕の目から見て、現在の日本の教育は、日本人の能力を高めてると思えないのです。
むしろ、本来なら素晴らしい能力を発揮するはずの人を、
素直でまじめで勤勉で、暗記の量と正確さだけの、確実にロボットに負ける人にしています。
自信を奪い、ひとめを忍ぶような生き方をする人にしてしまっています。
その教育を受けてきた保護者が、それを子ども達に、「よかれと思って」強要します。
かつてから、様々な戦争で、どんなすごい武器も、運用する人間によっては、
性能を発揮しないことが証明されています。
だから、どんなに素晴らしい機械を設備投資したところで、
運用する人間の能力を高めないと、無駄な投資になるということです。
産業への投資と、教育への投資は、同じ重要性で行われるべきなのですが、
日本の教育への投資は、先進国では珍しいほど少ないです。
もちろん、金をかければ、教育が改善されるか・・・ったら、そんなわけないです。
なぜなら、現在の受験対策教育は、思考力の真反対にあるからです。
だから僕は、自分にできることをします。
僕の経験と、僕の思考を、子ども達に伝えます。
やがて、その子達が、社会の主力になっていきます。
そのとき、社会が変わるかも知れない、と思っています。
10年、15年かかるでしょう。
だからこそ、やり続けるしかありません。
国を支えるのは、人間1人1人の能力です。