で、結局?

スペインからアメリカに移民する事実婚カップルが、入国審査で疑われ、別室へ。そこで受ける尋問を描いた実体験ベースの作品だそう。自分の場合は言語力の問題が大きいけど、あの審査って不必要にプレッシャーかかるよなぁ。しかも何を怪しまれ、いつ終わるか、どうされるのかわからない不安感。観客も一緒にイリイリさせられる。で散々根掘り葉掘りやられたあと、ハンコガチャン「アメリカへようこそ」はないやろ。かっつり審問ハラスメント、絶対訴えられるわ。権力側の横暴かよくわかる。あの状況を証拠に残させないために、スマホ禁止なんだろうな。

なんなの?この物足りなさ。

ピクサーの新作は、親を亡くして友達も少なく、孤独感を募らせた少年が主人公。宇宙のどこかに自分の居場所があるはず…その願いが叶って宇宙に行くことになり、そこで友達もできてというお話。キャラクター描写が浅いし、お約束の絵本みたいな展開。ピクサーの良作は大人にも響く部分があるけど、これはかなりお子様に寄せた夏休み映画。年齢制限で鬼滅を見れない、しんちゃんは下品だからというちびっこを連れて時間つぶしする作品だなぁ。

どんな面さげてたんだろう。

終戦を知らず2年、逃げ込んだ森のガジュマルの木の上で戦っていた2人の兵士。沖縄での実話を井上ひさしのこまつ座が舞台化。それを堤真一と山田裕貴の主演で戦後80年に映画にした作品だ。米軍に攻め込まれ、怖い上官と2人きりに。圧倒的に不利なのは感じるけど、人数が少ないし情報が何もないから動くに動けない。水、食料、病気に加えて、あの状況での正気を保てるか?自信がない。でも国が10人殺して1人前と公言する時代の正気ってなんだ?演劇ベースの作品だから戦争映画にしては戦闘シーンは少ない。でもサバイバル的な見せ場よりもっと2人の内面の描写に時間を使ったほうがより良かったのでは。ほぼ2人しかでていない映画だけど、この2人の迫力は見事だった。ちょっと前に見た舞台映画とは比較にならんかった。

夢を見つめ直そ。

全くの素人から、弾きたいという情熱だけで「ラ・カンパネラ」をマスターした佐賀ののり漁師の実話。伊原剛志演じる漁師の不器用さや抱える問題に自分を重ねずにいられない。「夢があれば生きていける」「あなたに夢を見せてもらっている」人生に疲れ気味な今の自分にささる言葉。立ち止まって、改めて自分の夢の解像度をあげてみよう。もちろん支えてくれる家族にも感謝しながら。

おい、三谷!

脚本家としての三谷さんの才能はすごいと思う。十二人の優しい日本人から笑の大学、新選組!も鎌倉殿も大好きだ。でも、監督しちゃうとどうしてこんな風になっちゃうんだろうか?ダラダラしてるし、それにこだわる意図も理解し難い。続きものの一発勝負な演劇と、たくさんのカメラで撮って編集する映画。もしかしたら時間を捨てるのが下手な監督なのかもしれない。それでも名前は大きくなるし、いい役者だって予算だって集まってくるから、こんな駄作が生まれてしまう。偉くなりすぎると叱ってくれる人がいなくなっちゃうんだろうな。

これぞ旅やって!

1組のカップルがバイクに荷物を積み、タンデム(2人乗り)で世界一周に挑んだドキュメント。映画になってるわけだから、もちろんちゃんと帰って来てるんだけど、旅の不安感やトラブルのたびにドキドキしてしまう。400日以上、6万キロという旅だから桁が違い過ぎるが、勝手に自分の輪行や一人旅に重ね、やっぱり旅はいいなぁと思う。でも一番すごいなと思ったのはカップルの男の方、映画の監督でもあるナメさんの包容力。ただでさえキツくて先の見えない旅に、精神的にも不安定な彼女を連れて行って安全に連れ帰る。そのしんどさったらないだろう。もちろんそれ以上のメリットを感じたから連れて行ったんだと思うけど、あのじゃじゃ馬が一番乗りこなすの大変だろうなぁ。

うちは、おばあちゃんじゃないけれど。

余命1年を宣告されたおばあちゃんと大学を中退してフラフラしている孫の物語。遺産目当てで動き出す大人たちと、時間があるので一緒に住むことから始める孫。どうしても自分の両親に重ねてみてしまう。みるみる弱っていくのを感じるけど遠いので面倒は妹たちに任せきり。エンディングノートみたいなものは作っているらしいが、見たことはない。…あ、映画の感想ではなく、自分の状況確認になってる。でも、頭を巡るのがそればっかりだったんだもの。

意外と。

たぶん昔見ていると思うけど、例によってあまり記憶のないスーパーマンの新作。といっても続編とかではなく、ここから始めるリブート的な作品みたい。アベンジャーズとその仲間たちのカッコよく戦えればなんでもいい系には食傷気味なので、これもどうかと思っていたけど…結構良かった。スピードとか物理の法則とかは考えないのは他と同じだけど、良かったのはめちゃディフェンシブなところ。超能力を敵を倒すためより、何かを守るために使う。これぞ専守防衛(選挙中だからあかんかな(笑))やられてやられて守って耐えて耐えて勝つ!中年レスラーのような戦いぶりに応援せざるをえないやろ。

物語の力。

家族に問題を抱えた中年オヤジが、ひょんなことから市民劇団に参加。しかもロミオとジュリエットのロミオを演じることになって…というコメディではなくハートウォーミングな物語。彼らの問題が後半、ロミオとジュリエットの物語に重なっていき、それを演じることで再生する力を得ていく展開は見事だった。もちろん物語は誰かが考えた作り物の世界。でもそれがこんな風に誰かの気持ちや人生に影響を与えることってたくさんある。それを求めて今日も映画館に通うのさ。

この時期の公開でよかったね。

吉沢亮主演の吸血鬼コメディ。もともと2月公開だったのに、年末に吉沢君が微妙な不祥事で公開延期。そのあとあの「国宝」での好演で一気に株をあげたあとだから、ちょっと期待して見に行った。吉沢君は悪くないよ、でも仕事選んだら?漫画に目くじら立てるなと言われたらそれまでだけど、ひど過ぎる。作品の中で当たり前のこととして通ってる「森さんのブレないヴァンパイア設定」ってなんや。森さんの周りの気持ち悪いキャラクターたちの設定も、物語の展開も「漫画だから」というならば漫画を馬鹿にしていると思う。これの人気があって、映画化までされる日本の若者世界に…そんなこと言ってるからおじい扱いされるんだけど。