これが今のふつうなん?

好きな監督のひとり呉美保さんが、こどもを主人公に撮った1本だけに期待は高かった。ギャングエイジの小4だけど、普通でパッとしてない主人公。好きになった意識高い系の美少女に好かれたい一心で、環境問題を大人に気づかせるこどもテロに突き進む物語だ。子どもたちの演技もそれを引き出している演出も素晴らしいと思う。でもなんか、見ていてモヤモヤした。だって子どもたちに可愛げがなすぎるのだ。受け売りの正論で論破して得意げだったり、大人の保護欲を計算して行動したり、いたずらではなく軽犯罪に手を出したり…子どもってもう少し「しょうがないなぁ」という部分を残しておいてほしい。でもそんなふつうを作っているのも、温室効果ガスを排出してるのも、我々オトナのせいなのかもしれないけど。

色褪せないね。

細かいことは例によって忘れているけど、アニメ版を見て感動したのは、調べたら15年も前だった。あの当時はアニメでしか表現できなかった飛翔感が、技術の進化で実写というかCGでつくれるようになった。同じ監督がこだわりを持って作ってるし、おっさんは大概覚えていないから、そりゃ感動するわ。いい!

でもできるようになったからといって、ジブリ作品とか水島作品を実写にするのはやめてほしい。あの粗さに夢を見ていたのだから。

ミラノ風ドリア…

インディーズゲームのヒット作を川村元気が、ニノを巻き込んで映画化した企画作品。舞台は何度も同じ場所にループしてしまう地下鉄の通路だ。異変を見つけたら戻り、異変がなければ進め!というルールの元で進む間違い探し。映画にするため、ゲームにはなかった物語やメッセージを加えたりという工夫は見えたし、形にはなっていた。でもなんか手段と目的が逆になってないか。俺の腕とコネがあれば、こんなゲームでも映画化してマネタイズできるんすよ!売れっ子プロデューサーの上から視点が透けて見えて、ちょっと。それに間違い探しばかりしてるとサイゼリアで料理待ちしてる気分になっちゃうわ、


そりゃ、ないぜ!

元々そんなに世代でもないので、存在を知っているくらいだった「ベスト・キッド」シリーズ。まあジャッキーファンなので、リメイクは見ていたけど、特に印象なく。でもネットフリックスで見た「コブラ会」にドはまりして、全話完走。その大ヒットがキッカケになったっぽいこの作品もメチャ楽しみにしていた。・・・が、これはただの強引なマルチバース結合やんか!ゴーヤチャンプルに麻婆豆腐ぶっかけたみたいな雑なチャンポン。カンフーの素質はあったとはいえ、ミヤギ道空手って1週間弱でマスターできるの?ベスト・キッドシリーズは謎の師匠と謎の修行、そして劣等感の克服が黄金パターンなのに、修行が短すぎ。いくら倍速で映画を見る層がいるったって、制作側が飛ばす必要ないやろ。さらにジャッキー主導で話が進んだのか、ほぼカンフーベースで、コブラ会のスルー加減にも腹が立つ。期待が大きすぎたかなぁ…。

なんだ、これは!

大好きな映像作家、藤井亮さんのヒット作品が万博人気に便乗してまさかの劇場版に!ブラウン管時代のローカルテレビをベースにした藤井作品をまさか映画館で見ることになるとは!でも巨大スクリーンになってもやることは全く変わらない。好きなことを手作りでコツコツと積み重ねている姿が目に浮かんだ。すごいことだし、本当に素晴らしい。テレビの時からそうどが、パロディのようで、実はすごく強いメッセージも伝わってくる物語。ちょっと長かったけど、太郎の言葉が次々に心に刺さった。人の顔色なんて見ず、自分のやりたいことを、でたらめに、べらぼうに…オレもやっていこう。

どんな展開が、あっただろう?

昔ニューヨークにあったアンダーグラウンド作品まで扱ったレンタルビデオ店「キムズビデオ」。著作権的にはほぼアウト。でも誰も残してはいないというレアで、膨大なコレクション。それが動画配信時代に閉店後、どうなったかというドキュ?モキュメンタリーだ。そこにあるのはたぶん真実ではなく、映画への情熱の亡霊たち。長い間、映画界を支えてきたそのパワーを具現化したのがこれなのかもしれない。その魅力とか残しておくべき価値はわかってるほうなつもり。でもデジタル化すんの、めんどくさいんだよなあ

なんか文句あるんか?

香港映画全盛期を知る元スタントマンのオヤジが、久しぶりにアクション監督として呼ばれた作品で若者とぶつかるアクション「小林貫太郎一家」レビューを見ると今時あんなオヤジあり得ない的な低評価が多かったけど、昭和オヤジにはささりまくる不適切モード炸裂の物語だった。家族、時に命ですらなげうって熱意を込めた作品に、コンプラとか働き方改革のフィルターの上で安心安全に作られたもんが勝てるわけない。今時ではないのかもしれないけれど、多様化とかいうなら、そういう道を選ぶ自由も認められてええんちゃう?こんなこといってるから、また職場で眉しかめられるんだけど。

加害者の人権て。

もう30年経つけど記憶に強く残る地下鉄サリン事件。その首謀者麻原彰晃の3女アーチャリーの大人になってからのドキュメンタリーだ。事件当時11歳だった彼女もアラフォー。その凄絶な人生に絶句した。学校へも行けず、大学に合格しても入学拒否。海外旅行は渡航制限され、就職はもちろん、銀行口座も作れない。理由はただ一つ「麻原の娘」だからだけだ。もちろん麻原自体が起こした犯罪は戦後最大級だし、今なお苦しむ被害者はいる。でもその親族という理由だけで、国家ぐるみのイジメをするのはどうだ?人権はないのか?被害者か加害者か、2択人を判断し、黒っぽかったら徹底して叩く。日本の風潮についても考えさせられる1本だった。

昔のプロレスラーみたい。

完結したはずなのに、何故かまた始まったジュラシックシリーズの1本目。34年前の原点に戻ったり、人間のエゴで生み出された悪夢の恐竜に襲われたり、金目当ての奴はやっぱり食われたり。娯楽としてのお約束はキッチリ経ているけれど、結局「志村、うしろ!」を楽しむための映画。夏休みの東映まんがまつりみたいなもんやな。

そうチャキチャキいうなや!

可動型の手術車両MERとその中で働く医療従事者のドラマの劇場版2作目。ドラマはもちろん、映画も敬遠していた。だって100%そうなって助かるの見えてるから。ただこういう水戸黄門的な快感ってあるんやなぁ。東京と現場の温度差、拡大する災害、一難去ってまた一難。それをあの鈴木亮平の迷いない指示で切り抜ける気持ち良さ。きっと手術で必要とされるテキパキしたリズムが作品の展開にも繋がってるから、乗せられたし、泣かされた。助けが来るのはわかってたけど、自分を犠牲にして弱いものを守ろうとする島民たち。あの気持ちが都会でもあるんだろうか?