ファーストキス 1st kiss 6タイムパトロールに逮捕されるぞ!事故で亡くなってしまった夫を、そうでなくするため妻の松たか子がタイムリープするというファンタジー。過去をいじって未来を変えるというタイムスリップものの禁じ手を繰り返すどころか、それが目的という大胆な物語だ。コメディタッチで面白かったが、心に残ったのは彼女が語る恋愛、そして結婚の定義。恋愛中は気にならない相手のイヤなところの解像度がどんどん上がり、やがて一切まじわらない平行な位置へ…。反省しろって責められてる感じ。やり直しはできないけど、明日から気をつけます涙
ショウタイムセブン 5今かぁ…爆弾テロの犯人からラジオスタジオにかかってきた電話。犯人の要求に応えられないと爆破がつづく状況での生放送。指名されたのはかつての人気キャスター…という話。雰囲気は違うが、ショー・マスト・ゴー・オン、昔でいう「ラヂオの時間」だ。何とかしないといけない、緊張感はあるけど、近いものなら経験していた身から見ると詰めや設定の甘さが見えすぎる。さらにこれだけテレビ局が叩かれているご時世に、これは逆に辛いよなぁ。
ロボット・ドリームス 7尾を引く、大人のアニメ。80年代のニューヨークを舞台にした、擬人化された犬とロボットの物語。孤独を紛らわそうと通販で買ったロボットと心を通わせていくんだけど、この作品一切セリフがない。しかも犬もロボもシンプルな作画で目もまんまる。なのに、どうしてこんなに感情が伝わってくるんだ?切なさがいつまでも消えないんだ?きっと一つ一つのシーンが、観客の人生の一場面と重なりまくるから。孤独、出会い、幸せ、挫折…経験を積んだ大人の心にだから響く1本。また時間を置いてみたいなと思った。
リアル・ペイン~心の旅~ 6心のかさぶたをはがす旅。ユダヤにルーツを持つアメリカ人のいとこ同士。昔から兄弟みたいな関係だったけど、性格は対称的でいろいろ思うところも。そんな二人が時間を作ってポーランドでユダヤ人の史跡を巡るツアーに参加する物語だ。ホロコーストやおばあさんの住んでいた家など、歴史に触れることがキッカケで徐々にあぶりだされていく2人の抱えているもの。アイツと比べて俺は…は誰でもあると思うが、中年になって自分を見つめなおす経験って、日常ではなかなか難しいよね。貧乏性なので旅というと「何かを見に行く」などの目的重視のものばかりだけど、そういうのでなくゆったり「自分と向き合う」旅にも出たいなぁ。
敵 7怖くなった。長塚京三演じる元大学教授が主人公。奥さんは早く亡くし、子どももいない一人暮らし。それでも丁寧に自分で料理をし、ブライドを持って仕事をして世の中と繋がっていた。それがだんだんなくなっていき、妄想の世界と行き来するようになる物語だ。昔なら大変なのね〜という他人事だったけど、今は「すぐそこにある危機」なので下を向いてしまう。彼にとっての敵は「ひとりで過ごす時間」で、その空虚感に振り回され、流されてしまった結果が老いなのでは?と感じた。振り回されないように自分軸を固めよう、そして一人にならないよう周りの人や嫁さんを大切にしよう、そう思った。
室町無頼 6想定内かな。大泉洋主演の時代劇。応仁の乱の少し前、重税と飢饉に苦しめられていた浪人・農民を束ねて蜂起した武道家の話。貧民たちに好かれる人柄や、自分の好きに生きている感じは大泉くんで良かったと思う。ただ、それを描き、戦いまくるだけだったのは残念。ほぼ何も残らなかった。入江さんて、色のない職業監督になっちゃったなぁ。唯一残ったのはルーク・スカイウォーカーみたいな修行してたカエルのシーン。やっぱりリアルなヨーダは柄本さんだよな(笑)
雪の花 ともに在りて 5そりゃ、落ち着くけどさ。松竹のお年寄り向け時代劇。天然痘の種痘を推進した町医者の話だ。いい人しか出てこない、いい話なんだけど、いかんせんパンチがない。クライマックスが雪の峠超えて…BSですぐ放送されそうな1本でした。
港に灯が灯る 7もうちょい、元気な時に見たかった。震災の翌日に生まれた在日韓国人3世の苦悩と再生の物語。周りは大変だったを繰り返すが、決して自分事にはさせてもらえない震災の記憶。自分ではどうしようもないが重くのしかかる家族の問題。主演の富田望生の熱演は光ったけど、前半は泣いてわめいてばかりで、見ていてこっちの気持ちもしんどくなるばかりだった。でも後半、周りの人たちに恵まれ、再生の道を歩み始めるターンではいくつも心に残るセリフがあった。生きてたら、そりゃいろいろあるわな。こういう血の通った仕事したいよな。儲からへんけど居心地のいい場所ってのは、人それぞれ家族って・・・難しいな。特に2番目に出会えたのが、今日の収穫だ。
サンセット・サンライズ 6明けない夜はない…よね。津波で家族を失った井上真央が、思い出の残る空き家として貸し出したら、釣りが大好きな菅田将暉が東京からやってきた、という話。笑いの部分は少ないけど、重くなりがちなテーマをポップに、でもしっかり伝えるという点で、脚本のクドカンはよかったのでは。まあ都会もんと地元民との文化の違いからの激突〜いろいろあって和解という王道パターンだけど、そこに家族を失った悲しみとどう向き合い、折り合いをつけるのか?そしてそれは自分だけで抱えなくてもいいよね?そんな問いかけがまぶしてあった。ただ、亡くした子どもたちの「思い出のアルバム」は卑怯すぎるやろ。
アプレンティス ドナルド・トランプの創り方 6薄々知ってはいたけれど。ご存知ドナルド・トランプ氏の若き日を描いたエピソードゼロ的作品。英雄の生涯を描く偉人伝はこれまで何本も見たし、偉いだけではない部分も描かれていた。でもこんなに分かりやすい反・偉人伝は初めてだ。そこそこの不動産業者の2世だった彼が、有力者とのパイプと心強いパートナーを得て成り上がる時代のドラマ。今も変わらずそうであるように、自分の利益以外には興味がなく、金はあるけど全く幸せそうには見えない。そろそろ終焉を迎えそうな戦後資本主義が服を着ているような男の物語だ。もちろんネガキャンの要素はあるだろうけど、火のないところにここまで煙は立たない。そんな男が今夜、2度目の大統領就任式を迎える。いいのかアメリカ?大丈夫か世界?