そんなこと、言われても。

京都で活躍するヨーロッパ企画の作・演出、上田誠さんの監督による、下北沢トリウッド企画作品。ヨーロッパ企画はお互い若い頃から見に行かせてもらってて20年以上。毎回公演のたびに設定の作り方、(演劇の)舞台の使い方にいつも感心させられる大好きな劇団だ。芝居だけでなく、ネットでの映像作品や映画も何本か作っているので、さすが今回の作りも面白いなと思った。でも上田節でいつも感じるのは設定のうまさから、その後の物語の展開、終盤の終息へ向けてのまとめ方のギャップ。こんなにおもろくなりそうな設定だったのに、結局いつもどおりのワチャワチャした感じで終わってしまう残念さ。そこにメッセージとかカタルシスが入っていると長くもなるし、充実感もある。ホンマに惜しい

騙されたのは、オレ?

有村架純と黒木華。密輸ものというのは聞いていたけど、楽しそうなビジュアルでスカッとする物語だと思ってた。全然ちゃうやん。そもそも密輸に手を染めるまでの女性たちの「自分のせいではない貧乏」が切なかったし、世間の冷たさでテンションダダ下がり。密輸うまくいった!のも予想どおりだし、そのままうまく行くわけない展開もそうだ。結局、誰一人スキッとはできず、密輸は厳罰なのでやめましょうのテロップで終わるて?誰トクなの、この映画。

設定はいいのになぁ…

信長を裏切り籠城した荒木村重のもとに、説得にきた旧知の名軍師 黒田官兵衛。殺されず地下に囚われた官兵衛が城内で起こる不可解な事件を安楽椅子探偵の如く解決していく…歴史の実話と籠城という疑似密室を組み合わせた、時代物ミステリー。しかも官兵衛は菅田将暉で荒木村重は本木雅弘。オモロい雰囲気はプンプンしていた。だが、それ以外がなぁ…名前はあるけど脇役(特に吉高)の演技はダメダメだし、一番あかんのがミステリーの質。トリックも動機ももやっとしていて、解決した時の爽快感がない。菅田将暉だって、先週竹中半兵衛で死んだばっかりなのに。



だからってさ、3時間超えは…

カンヌで日本人初の主演女優賞という話題作。カンヌだし、この監督の作品は淡々と長いのが特徴だから、途中で具合が悪くか眠くなるかと思ってたけど、大丈夫だった。旧態依然とした介護施設を改革しようと力が入りすぎなマリーと、末期癌の舞台演出家 真理。この二人が一目惚れみたいな一瞬で友達になり、語り合い、支えあい、真理の残り少ない人生を充実させていく物語。どうして惹きつけられるかというと、たぶんファンタジーだから。いい大人になったら、知り合いはともかく、友達なんてなかなかできないし、仲良くなるのには時間がかかる。あんな目があってキュンと来て、そのままベッドイン、翌朝には婚姻届みたいなスピードあるかいな。

男女と違って、課題や悩みを共有し、寄り添うことで支えあう友情は美しかったし、正直羨ましかった。また物語を通じて提起される問題には共感も多くて面白かった。たださぁ、ファンタジーにもほどがあるし、何より長すぎるわ。

思てたんとは、だいぶ違うけど…

日本だと福田雄一さんに近いのかも、ギデンズ・コー監督によるカンフー?映画。いやちゃう、香港映画やマンガ世界に影響されたええオトナが作った中2病映画。謎の老師にカンフーを習った?それもちゃう、強制インストールされた高校生。戦い方もカンフーではなく、波動拳とかドラゴンボール的なバトル。ストーリーも途中からめちゃくちゃだし、想像とはまるで違う展開だったけど、なんか楽しかったから、ええんちゃう?

ご当地青春映画、以上!

若狭の海を舞台にした大学生の物語。自分の曖昧な目標がご当地の自然や人柄に触れて定まる感じ。地元の風景が魅力的すぎる感じ。オーディションで選ばれたはずの地元枠出演者が大根すぎる感じ。パーフェクトで驚きがない。

驚いたのは主役の彼が菅田将暉と血縁がないことと(弟だと思ってた)久しぶりに見た徳重聡が21世紀の裕次郎ではなく、渡辺裕之っぽくなっていたことくらいか。


先、言っといてやぁ・・・

ご存じキングオブポップ マイケル・ジャクソンの伝記映画。音楽に興味が出る前のスターだし、ひょうきん族でウガンダさんがやってたパロディや、バブルス君と一緒にとんねるずと絡んでいた印象のほうが強い。でもその幼いころからの歴史を知るという上で、有意義な作品だったと思う。特に昭和おやじすぎるパパとの関係やトラウマ。子供時代を奪われたことが、後の風変わりな私生活につながっていくのは、スーパースターだって気の毒だなぁと感じた。もちろん甥っ子がしっかり練習したパフォーマンスシーンはオリジナルを知らない自分が見てもかっこよかったし、体が動き出す良さがあった。・・・でもだ。苦悩を抱えたスターダムを2時間以上やっておいて、どうまとめるのかなと思ってたら「彼の栄光は続く・・・」て、まだ続くんかい!まあ後編も見に行くとは思うけど。

 

 

例えるなら無印良品とか、春の河原とか…

引っ込み思案で自分に自信なく生きてきた大学生のモブ、いや信子。スーパーでバイトを始め、恋をして、少しずつ自分を見つけていく物語だが…本当にスローペースで何も起こらない。行き先で必ず殺人が起きたり、いきなり余命半年だったり、実は未来からタイムスリップしてたりする最近の映画とは真反対。悪い人も一切出てこないし、劇的な事件もない。でも見ていて、じれったくも微笑ましい気持ちになった。何もない、でもそれがいい。そんなゆったりした気持ちを愉しむ作品だ。

SHOWA!

1977年に娘を産んですぐ離婚したシングルマザー ふじこさんの物語。娘さんはほぼ同世代だし、あの頃の空気を感じたくて劇場に行った。いい意味でも悪い意味でも昭和な世界が楽しかった。シングルマザーなんて言葉すらないし、世間から蔑まされた母子家庭。でも一方で困った時に周りの人たちに支えてもらえる余地もあったのがあの頃だったのだろう。それから50年くらい経ち、いろんなことがものすごく便利にはなった。世界とは一瞬でつながれる代わりに、隣の人と助けあい共生していく気持ちは失った令和。どっちが幸せなんだろう?

箱の中身はなんじゃらほい・・・

大好き(だった)是枝監督作品。千鳥・大悟と綾瀬はるかの夫婦が亡くした子供そっくりのヒューマノイドを迎え…設定は面白そうだった。なのになあ・・・感じたのは「やっぱ子はかすがいだなぁ」くらいだった。

子供を亡くした夫婦の苦しみはなんとなく想像できるし、そこを埋めるテクノロジーは出現するのかもしれない。でも画面越しに話せるとかでなく、ヒューマノイドってそんな簡単なものか?成長しないし、写真くらいでそんなリアルな記憶を学習できるか?一生成長しない子どももどきに縛られるのか?挙句の果てに自我を持ち出して自遊空間まで作り出す…。問題提起はわかるけど、掘り下げが甘いなぁと感じてしまった。「誰もしらない」の衝撃がすごかっただけに、期待しすぎちゃったかな。