脳トレ?
少し前に原作を読んだ作品の映画化。取り調べを受ける謎の男、スズキタゴサクに警察が振り回されるミステリー。佐藤二朗演じるタゴサクの存在感がこの物語のキモ。無邪気で凄みと影もあり、自虐を演じながら緻密な計画を練る知性もある。ちょっと濃すぎる感はあったけど、見事な演技だった。惜しいのはタゴサクが見せるヒントの緻密さと、実行計画や動機などのレベルに差がありすぎること。タゴサクが仕掛けた3回戦の続編はあるんやろうか?
脳トレ?
少し前に原作を読んだ作品の映画化。取り調べを受ける謎の男、スズキタゴサクに警察が振り回されるミステリー。佐藤二朗演じるタゴサクの存在感がこの物語のキモ。無邪気で凄みと影もあり、自虐を演じながら緻密な計画を練る知性もある。ちょっと濃すぎる感はあったけど、見事な演技だった。惜しいのはタゴサクが見せるヒントの緻密さと、実行計画や動機などのレベルに差がありすぎること。タゴサクが仕掛けた3回戦の続編はあるんやろうか?
コーヒー、冷めてたなぁ…
夢を見つけられなかった孫と、夫の死後に新たな世界に触れたばあちゃんの物語。物語も演技も淡々としているから、いいこと言っていてもインパクトがない。盛り上がらないし、散漫な印象。よかったのは長塚京三さんの、奥さんへの視線くらいだったのは、俺がジジイだからなのかな。いくらおいしいコーヒー淹れても、ぬるくなっちゃうとあかんよなぁ。
うまいんだけど。
杉咲花主演。銀行に勤める恋愛未経験の腐女子が、歌舞伎町でたまたま知り合ったキャバ嬢と同居。そこからそれまで生きてきたのとまるで違う世界の人に触れ、世界が…という話。花ちゃんの演技は素晴らしい。でもそれだけやなぁ。自由に生きている風の歌舞伎町人たちがそれほど魅力的でないし、それに伴い花ちゃんの演技過多が鼻につく。登場人物の誰にも共感できない新しい世界は、そない興味ないわ。
じわっと染みる。アニメなのに。
これだけ世界を席巻しているんだから色眼鏡でみるのはあかんと思うけど、基本的にアニメは子供や若者向け、夢や幻想を形にしていくというイメージがある。でもこれは違う。主人公は終身刑で服役中のヤクザ。もう残り少ない人生の最後に、ホウセンカと話せるようになり、つらかった人生の中で最後に狙っていた「大逆転」を語る。老ヤクザは小林薫、ホウセンカはピエール瀧。血はつながってないし、籍も入れない。でも一緒にいたい、居たかった「家族」の幸せを祈る気持ち。寡黙な男がひっそり残した最後のメッセージ。こんな煮つけみたいな物語のうまみを若者がわかるわけがないわ。
なんかこっぱずかしくて。
原作というか最初の新海誠作品は18年前。このブログにも記録があるけど、30代だった自分も新海監督がコツコツと描き上げた風景の美しさに心動かされていた。それをなぜかいきなり実写化した本作。CGも駆使していると思うけど、風景とカットの切り替えの美しさは十分踏襲していたと思う。ただこの物語、ある意味監督の「童貞的妄想」を映像化したもの。だからアニメだと我慢できても、実写で俳優がやると「作り物感」が前に出すぎてこそばゆくて。歌詞の行間を具体的にセリフで説明されてる感じ。アニメのままにしといたほうがよかったんちゃうかな。
今もファイティン!な国なんだなぁ。
長年報道畑で活躍された会社の大先輩が「今年イチ!」と大絶賛だったので見に行った。「ニュース打破」という韓国の独立系ニュースメディアが、自分たちへの権力に対する弾圧と戦ったドキュメンタリーだ。結果として(ラストには)前代未聞の戒厳令、そして大統領の弾劾、そして逮捕という歴史的な事件につながるのだが、まあ彼らだけの手柄ではないだろう。そもそも関係者の名前が頭に入ってこなくてややこしいし、不勉強で戒厳令・・・ちょっと前あったね?ぐらいのレベルなので、自分は事の重大さがわかっていない可能性が高い。ただそんなアホにもガツンと来たのは「権力に弾圧されるくらい存在価値があるジャーナリスト」と「そうでない御用メディア」の対比。ニュース打破の代表が裁判に向かう直前にカメラに囲まれ、呼びかけていた言葉が印象的だった。記者クラブとかぶら下がりとか、横並び意識の高い現在の大手メディアの記者たちは、これを見て何を思うのだろうか?アリみたいに取材対象にたかるのがジャーナリストちゃうよね。
ファンファーレではなかったよな。
主人公は世界的な指揮者。白血病に倒れ、ドナーを探す過程で自分が養子であること、そして本当の弟がいることを40年くらいを経て知る。大人になって突然発生?した兄弟。環境に恵まれた兄とそうでなかった弟。そんな二人が音楽という共通項でつながり、人々を繋げていく。そういう展開で、ラストはなかなかうまいサプライズがある。でも自分はそんなことより「大人になってでも弟ができて、羨ましいな」と思ってしまった。大人ならではの悩みを100%の味方として話せる同性の身内。そういう相談相手を今の自分は欲しているんだろうな。まあ、身内だからこそ、話せないこともあるんだろうけど。
強すぎるぞ、兄貴。
イップ・マンことドニー・イェン兄貴が、できることに限りがある警察を辞め、検察官になるというシリーズ?アクションスターの中でも冷静さと落ち着き、知的な雰囲気たっぷりだからピッタリだったけど、あの技のキレに頭のキレ、そして頼もしい仲間に恵まれる人望まであったら強すぎるわ。でもそれでこそボクらのみたいアニキなのかも。
日々是戦、たしかにそうだった。
デュカプリオ演じる革命の英雄が、子育てのために一線から引いて16年後、その娘を狙われることになって…という物語。社会情勢や体制への皮肉を交えてはあるものの、基本的に娯楽作品。だけど次から次へと現れる敵との、とてもカッコいいとは言えないおっさんの奮闘。体調がよかったのもあるけど、3時間弱を飽きずに見られた。といってもスピルバーグみたいに3回も見る気にはなれないけど。
深くて、浅い。
主人公は北海の油田で、海底のパイプラインのメンテのために潜るダイバー。嵐の中での作業中の事故で海底に取り残され、無酸素状態で30分以上放置されたのに、奇跡的に命を取り留めたという実話がもとになった物語だ。
そのドキュメントを作った監督が劇映画も作ったそうだから、画面や俳優たちの表情は真に迫ったものがあった。だから取り残された不安感や手に汗握る気持ちも伝わってきて、スリラー作品としてはよくできていた。でも、船上のメンバーやバディー3人のチームワークが起こした奇跡なのに、その3人の描写が浅すぎる。ただ不愛想とか、昔かわいがってやった弟子っことか…潜る前にいろいろ描いて欲しかったのに、すぐ加圧室に閉じ込めちゃうんだもん。関係性が見えたら、奇跡がもっと輝いたのにもったいない。