藤岡弘、と一緒なのね。

坂口健太郎主演のヒューマンミステリー。家族の温かみを知らない不器用な青年が、手に入れかけた幸せ。それを失いそうになり起きてしまった悲しい事件とその後の物語だ。ミステリーというか、家族ってなんだ?血のつながりって…と考えさせる点では「時には懺悔を」と共通するところも多かった。「湯を沸かすほどの熱い愛」でもそうだったが、この監督のうまさは伏線とその回収の気持ちよさ。サボテンは途中で読めたけど、タイトルの「、」にはやられた。まだ終わってないってことだね。

タイトルに偽りあり!

疫病で大半が死滅したあとのディストピア映画。もちろん甘くない世界の脅威として、北斗の拳みたいなヒャッハーな人たちは出てきたし、彼らとのバトルシーンはあった。でも全体としてはセスナからの風景や、信頼できる仲間や愛犬との時間など叙情的なシーンが多く、サバイバーではなかったと思う。ハラハラより考えさせられることのほうが多い物語。原題はdog starなのよ。どうしてそんなタイトルになるの?

なんでそうなるの?

キッカケは人権派弁護士の殺害事件。事件の直前に会っていた男が犯行を自供し、解決したかに見えた。しかしその供述に違和感を覚えた犯人の息子と被害者の娘がそれぞれ調べを進めるうちに偶然出会い…という東野圭吾のミステリーが原作。145分の長尺にも関わらず長さを感じなかったのはよく練られたストーリーだからだし、俳優陣の演技もよかった。でも美男美女で目的が一緒だったとは言え、彼らがああなるって、どうよ?あと真犯人の動機が浅すぎて、そこまでの重厚なドラマが台無しだったよね。罪と罰っていうなら、誤認逮捕で追い込んだ刑事の罪はどこに消えたの?

沼田さんじゃなくても…

レンタル家族サービスを軸にした物語。レンタルファミリーは演じるほうだったが、こちらは借りる利用者のほうの物語。始めは家事代行みたいだったけど、認知症の母を喜ばすために家族をレンタルするうちに…という話だ。レンタルする側もされる側も「プライベート」にはいろいろ問題を抱えていて、オーダー通り作りあげるニセ家族に心地よさを見いだしていく。うまく行かない現実をプロの力で癒やすのは、ある意味風俗などとも共通していて、よくわかる。ニーズのあるサービスなのかもしれない。

もったいなかったのは時間が短くて、演じる側のキャラ設定がチラ見せ放置になってしまっていたところ。特に娘役の子が抜群によかっただけに、あの後が気になるわ。

なんなんだ、この堪らない気持ち。

生まれつき障害をもった男の子を軸に回る、人生に重荷を背負った大人たちの物語。子供の障害に向き合えなかった親たち、子供が欲しくて誘拐までしてしまった親、子供への愛を受け入れてもらえない親…様々な立場からの視点で親子の愛、血縁などを考えさせられる。ちょっとキャラや演技がステレオタイプすぎるのと、重荷の表現が長すぎるので、前半はしんどかった。でも後半、新くんの存在を通じて少しずつこんがらがった糸が少しずつほどけていく。我が子の健康に感謝しつつ、もし自分だったらと考えると心を激しく揺り動かされた。

重荷とか苦労して育てているんではなく、「みんなが新に救ってもらってるんだ」そうだよな。

淡々とあったかく。

ASDの兄(スーパー8安田)を支える妹(のん)の物語。周りの人たちに支えられ、一人で生きられそうになっている兄に訪れる妹の結婚。ちょっと安田くんの演技が強すぎたけど、全編通じてイヤな人がほとんど出てこないので、見ていてあったかい気持ちに。でも身内にいたらと考えると、そんな簡単なものではないはず。何度もできたいい言葉「誰も悪くない。」

みんなの凸凹を個性ととらえて、支えあえる社会が作れたらいいな。

鉄壁の布陣!

世界一用意周到な取り立て屋の話。10億ドル返さない悪徳大富豪から全額回収、しかも彼の支配する島から脱出する物語。3部構成で、1部は設定説明や法律的な追い込み(寝てもうた)2部は現地でのリハーサル、そして3部は本番の追い込み&脱出。70人の悪党に囲まれても、入念な準備のおかげでうまく行くのが痛快!超人的な能力より丁寧なリスク管理と余裕が大事なのね。

まあ欲を言えばメンバーたちの背景やキャラをもう少し見せてもらえれば…寝てる間にやってたのかも(笑)

これでええねん!

ある日突然、うちの町が不思議な光に包まれて、町ごと全部恐竜の時代に飛ばされた。その雑な設定は突っ込みどころだらけだし、実は回収もない。でもシンプルイズベスト!恐竜パニック映画ってこういうので充分楽しいやん。緻密な世界設計や理論構築もいい。でも恐竜に襲われてうまくいってなかった家族が再生された。何よりやん(笑)80年代のハリウッド映画に寄せたその単純明快さが気持ちよかった。

海鮮丼前夜…

タイトル入れようとしたらこれが出た。そうだったらよかったのに。

太平洋戦争直前に実在したらしい(初めて知ったけど)総力戦研究所の若者たちを描いた物語。どこまでホントなのかはわからないが、アメリカとの開戦は必敗の予測を東條英機らオトナに提言していく。結果論の未来人でしかない我々がいつも思っていた「冷静な人はいなかったの?」に答えを出してくれた。そりゃそうだ。いたのだ、でも東條英機すら時流に飲まれざるをえなかったのだ。少ない資源と人数で大国に対抗するために当時のリーダーたちが編み出したシステム。でも負の遺産を重ね、暴走するとオトナでもコントロールできないカイブツになった。その結果が、あの敗戦だ。あれから80年以上たつが、コロナ禍など時々あのカイブツが見え隠れすることがある。呑み込まれないよう自分をしっかり持たねば。

糸を引く物語?

落雷で若くして突然命を落とし、あの世に連れてこられた主人公の青年。そこで得たのは現世の人たちの赤い糸をつなぐ仕事。落雷のショックで失っていた記憶を取り戻し、残してきた最愛の人と・・・という物語。展開、世界観、描写…見ていてずっと感じていたのはジャンプ、いやもう少し大人向けのヤンジャンとかで読んでいた雰囲気。心に残るピュアな恋愛と異世界、そしてそこにいるキャラクターなど、あまり他で見ない組み合わせ。でもなんかしっくりくるし、2時間ちょっとの没入感はすごかった。ギテンズ・コー!「功夫」よりだいぶいい作品やんか!