ファンファーレではなかったよな。

主人公は世界的な指揮者。白血病に倒れ、ドナーを探す過程で自分が養子であること、そして本当の弟がいることを40年くらいを経て知る。大人になって突然発生?した兄弟。環境に恵まれた兄とそうでなかった弟。そんな二人が音楽という共通項でつながり、人々を繋げていく。そういう展開で、ラストはなかなかうまいサプライズがある。でも自分はそんなことより「大人になってでも弟ができて、羨ましいな」と思ってしまった。大人ならではの悩みを100%の味方として話せる同性の身内。そういう相談相手を今の自分は欲しているんだろうな。まあ、身内だからこそ、話せないこともあるんだろうけど。

強すぎるぞ、兄貴。

イップ・マンことドニー・イェン兄貴が、できることに限りがある警察を辞め、検察官になるというシリーズ?アクションスターの中でも冷静さと落ち着き、知的な雰囲気たっぷりだからピッタリだったけど、あの技のキレに頭のキレ、そして頼もしい仲間に恵まれる人望まであったら強すぎるわ。でもそれでこそボクらのみたいアニキなのかも。

日々是戦、たしかにそうだった。

デュカプリオ演じる革命の英雄が、子育てのために一線から引いて16年後、その娘を狙われることになって…という物語。社会情勢や体制への皮肉を交えてはあるものの、基本的に娯楽作品。だけど次から次へと現れる敵との、とてもカッコいいとは言えないおっさんの奮闘。体調がよかったのもあるけど、3時間弱を飽きずに見られた。といってもスピルバーグみたいに3回も見る気にはなれないけど。

深くて、浅い。

主人公は北海の油田で、海底のパイプラインのメンテのために潜るダイバー。嵐の中での作業中の事故で海底に取り残され、無酸素状態で30分以上放置されたのに、奇跡的に命を取り留めたという実話がもとになった物語だ。

そのドキュメントを作った監督が劇映画も作ったそうだから、画面や俳優たちの表情は真に迫ったものがあった。だから取り残された不安感や手に汗握る気持ちも伝わってきて、スリラー作品としてはよくできていた。でも、船上のメンバーやバディー3人のチームワークが起こした奇跡なのに、その3人の描写が浅すぎる。ただ不愛想とか、昔かわいがってやった弟子っことか…潜る前にいろいろ描いて欲しかったのに、すぐ加圧室に閉じ込めちゃうんだもん。関係性が見えたら、奇跡がもっと輝いたのにもったいない。

大怖!

阿部寛主演のネット炎上コメディ・・・だと思てたらちょっと違った。主人公は普通の50代。ある日自分で作った覚えがないXのアカウントを、さらに乗っ取られて殺人事件の犯人だとされてしまう。無責任な正義感、自分の有用感を満たすだけの集団リンチみたいな炎上。それを笑いをまぶして揶揄するだけと思っていたが、怖かったのは自分と同じ「鈍いおっさん」の自己評価と周りの見る目の落差。炎上は俺じゃないが、理解の差は俺でも十分ありえる、というか俺なんじゃないか。最後はうまくまとめていたけど、「俺大丈夫かな…」そっちばっかり気になって、オロオロ。ゾンビ映画よりよっぽど背筋が寒くなった

やりすぎは、よくないね。

前に見た映画は原作が上下巻で、3時間を超えていた。「チ。」の作者のデビュー作だというこの作品も調べたらコミックは5巻まであったみたい。

子供の頃から足が速くて将来を嘱望された天才スプリンターの人生を主軸にした物語だけど、削りすぎちゃうか?レビューによると原作は「チ。」と同じでやたらと主人公が悩み、モノローグの多い作品だったみたいなので、それを整理してくれたのはありがたい。でもエピソードを組み替えたり、少ない登場人物の描写を必要以上に刈り込んでまで90分にする必要はあったんだろうか?モノローグの分を映画らしく、作画や音楽で表現している部分で頑張っているんだから、せめて2時間くらいは使って丁寧に紡いでほしかった気がする。これも映画をネットで倍速で見る世代への気遣いなんだろうか?だとしたら、残念だ。

うんうん。いいね。

南大東島のサトウキビから作った沖縄産のラム酒を開発した、元契約社員の実話。それを元に原田マハが書いた小説を伊藤沙莉の主演で映画化した作品だ。予告は見かけなかったけど、映画館のポスターの雰囲気だけで見に行ったが正解!若手社員が仲間や家族に支えられ仕事で奮闘するパターンだけど、男目線でないのと、池井戸ものみたいにやたら金の話ばかりではなく、商品への愛とか真摯な姿勢、真心といったアンチビジネスライクな物語でとても染みた。主役がよかったのはもちろん、おばあ、おかん、後輩、そしてバーのマスター・・・みんな温かくて、みていて幸せな気持ちになれた。自分もおかれた環境に文句ばかり言ってないで、その中で動かなきゃ。の第一歩としてそのラム酒をネットで買ってみた。どんな味なんだろう。

 

なんか、暑苦しい。

原作は直木賞受賞の上下巻の分厚い小説。沖縄が熱く、苦しかった1960年代の若者たちの物語だ。戦後、本土に見捨てられ、米軍統治下で我慢して過ごしてきた彼らの想い。実際に起こったコザ騒動に向かう物語なんだけど、キャラクターにしてもエピソードにしても情報量が多すぎる。レビューを見るとだいぶ削ったみたいだけど、それでも多いから展開に余裕がない。重い過去を背負ったキャラクターが緊張感を持ったシーンに登場するばかりだから、見る側のメリハリが作れない。伝えたいこと、制作の熱意はわかるけど詰め込みすぎだわ。長さも含め、濃すぎるなぁ。そこは「なんくるないさ」ではないよね。

実に面白…くもない。

東野圭吾原作、福山主演のミステリーエンターテインメント。それをやりたかっただけだよね?目的と手段が入れ替わっている企画書映画。一定数はあの気味悪い素人探偵をみたいんだろうけど、シリーズ変わったらキャラも変えたらいいのに。主演のカッコいいところを見せるだけのアイドル映画なら、事前にちゃんと提示してほしいわ、R18 みたいな感じで

やっぱり、まぶしい。

20年前、2005年の山下敦弘作品。文化祭でライブするために急遽バンドを組んだ女子高生。選んだのは部室に転がっていた古いカセットに入っていたブルーハーツ。その設定だけで当時32歳の自分は食いつき、記憶に残る1本に(このブログにも記録が残ってた)。それがリバイバルと聞いたら、見に行くしかないやろ。ストーリーはほとんど覚えていなかったけど、王道学生バンド物語。でも、その日自分たちが楽しむだけ、何の利益もないことのため30年以上経った今でも胸の奥をつつかれる。あの思い出を抱えて、おっさんだけど生きていく。そんなフックとして大切な作品だ。