まだ判断はしかねるけれど。
オズの魔法使いに出てくる西の魔女のエピソード1という位置づけの作品。アナキンがベイダーになるのと同じで、最初から悪ではなかったものを、不幸や環境が導くという流れになって行く気がするが、そうなのか?
緑の肌で生まれただけで辛い人生を送ってきたウィキッドへの共感や同情はある。しかし後に善い魔女になっていくというグリンダには目先の人気と利益にしか目が向いていない某大統領のような空気を感じるし、二人が親友になるくだりも理解しがたい。しかも前半だけで2時間半を超えるのはいかがなものか?スーパーマン並のエルファバの戦闘や飛翔シーンはカッコよかったが、やっぱり長すぎるやろ。、
よく出来てたと思う。
サバンナ高橋くんの影響で、大人になってから毎年30年近く劇場で見続けている映画ドラえもん。年によって当たり外れはあるけど、絵の世界に入り込んで…という今回は当たりだったかな。映画ならではの、ジャイアン・スネ夫の見せ場が少なかったが、ひみつ道具の使い方もいいし、伏線回収も気持ちいい。ただ名画の世界を使うのがオープニングだけなのはもったいなかったかな?あれがもっとストーリーに絡んでくると更に面白いけど、子どもたちには難しくなっちゃうし、権利の問題もあるのかもしれないか。
そりゃ、こんなん好きでしょうとも。
子どもの頃の恵まれない環境で読み書きを習えなかったおじさんが、奥さんにラブレターを書く目的で夜間中学に通う。シニア料金で見る人たちのほぼすべてが好きそうな作品だ。一応実話らしいけど、展開がベタすぎるし、鶴瓶さんの芝居も…。安心感はあるけど、意外性はゼロだった。ただ見ている間中ずっと、カミさんへの感謝と自分の至らなさを痛感させられた。その点では見てよかったかな。
見逃さないで、良かった。
ほぼ上映も終わりかけで、駆け込みで息子と見に行けた。CGアニメだけど、ドリームワークス作品で大人も楽しめるというか、子どもにはわからない。万能お手伝いロボのロズが、動物しかいない無人島に漂着。出会いと子育てを通じて感情や愛、信頼を得ていく物語だ。経験してないし、プログラムされていない子育てをしなくちゃいけない、親としての不安。言われたことをやるだけでなく、その先にこそある信頼。自分と違う他者を認める度量。いろんな部分で共感して、心をブンブン振り回された。今週見たアカデミー受賞&ノミネート作品より、ずっとグッと来たわ。
ボーナスがないからなぁ。
アカデミー賞8部門ノミネート、ミュージシャンでノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランの若い頃を描いた作品。前評判が良かったのもあって期待が大きかった。あれ?才能を見いだされ、登り調子の部分だけだから、いけ好かないカッコつけ野郎なだけのボブ。やりたいことと求められることのギャップに悩み、ちっとも幸せそうじゃない。3時間近い映画の半分くらいが歌唱シーンで、それを吹き替えなしで演じたのは素晴らしいと思うけど、名前だけでボブ・ディランの曲あんまり知らへんねん。だからファンには響くところがピンと来ない。日本だと長渕とかなんかなぁ。
う〜ん、これが。
今年のアカデミー5部門かぁ。ロシアから来たボンボンに取り入って、今の生活から抜け出そうとしたセックスワーカーのお姉さんの話。そんなにつまらなくはなかったけど、登場人物の誰にも共感できなかったし、心を動かされることもなく2時間超え。笑えるところもあったが、これが今年のナンバーワンというのはどうか?アカデミー会員との感覚の乖離、ハリウッド映画の衰退を感じるなぁ。
沖縄感。
ガレッジセールのゴリ監督による沖縄・伊江島を舞台にした親子の物語。母の死に立ち会えなかった父を許せない娘、でもその父もアルツハイマーになり余命わずかに。そこで最後に帰郷して、みつけた2人の物語。おかぁ役の堀内敬子さんがメチャよかった。ダメなダンナをすべてわかって受け入れて、大きな愛で包み込む包容力。ジェンダー的に問題あるかもしれないけど、理想のカミさんだったなぁ。そんなことを思いながら、家で待つあの人に改めて感謝していた。俺たちにもあんな物語あったはずだよね、あんま覚えてないけど。
コントならいいんだけどね。
死んでるように生きていた放送作家が、死にたくないのに死んでしまったおじさん幽霊に取り憑かれる。幽霊の望みは娘をDVで苦しめている元夫を殺すこと。設定としては面白いし、幽霊と人間のバディものなんて広げようがもっとあったと思う。一番足りないのはおっさん側の描写。これまでの人生、性格、動機。そこがないから説得力も感動も薄れちゃう。コントなら「なんか取り憑かれてるみたいなんだけど…」頭のセリフ1つでいいんだけどね。
そうなるな、とは思ってたけど。
1972年ベルリンオリンピックの選手村で起こったテロを生中継したテレビ局のスタッフ側からの物語。こないだのショウタイム7にも似てるけど、こっちは実話。そして悲劇。放送に携わってきた身として、特ダネとか事件の時の高揚感というのはわからないことはない。しかも独占ならなおさらだ。でも報道する権利、自由の看板を振りかざし伝えているのは、視聴者の下世話な部分だけを喜ばすための、野次馬代表になってやしないか?
世界初のテロの生中継だというけど、結果云々ではなく、見ていて気持ちがやっぱり沈んでしまう作品だった。
抜いた抜かれたのスクープ合戦は見苦しいなと思うし、横並びの記者クラブも気持ち悪い。他社より「いい絵を撮る、1秒でも先に伝えること」は社会に迷惑をかけまくってもやる価値のあることなんだろうか?どうも「報道」という仕事に個人的に違和感があるんだよなぁ。
もう死ぬ世代だったけど・・・。
爆風スランプの名曲をモチーフにした作品。人生でベスト5に入る大好きな曲だけに、映画製作の情報が入った時から楽しみにしていた。
文通しか手段がなかった時代だからこそのすれ違い、会えないもどかしさ。あの曲の肝になっているところを、今の時代でどう表現してくるか注目していたけど、バイトの引継ぎ日誌とはうまい設定でもってきたなと思う。令和の大学生と35年前の親世代の高校時代、2つの時代で並立する恋愛ストーリー。文通も交換日記もしたことがない、でも憧れていた自分にはどストライクなストーリーで、心が揺り動かされまくった。だって、そんな気分にあの中野さんの声が聞こえてきたら泣かなしゃあないでしょ。
35年前と今。もちろんいろんなことがものすごく便利になってありがたい。でもあの不便な「会いたい、会えない」状態や時間が、若者の恋心をどれだけはぐくんできたのだろう。そういう意味では今の若者より自分たちのほうが恵まれていたんじゃないかと思った。