味噌が足りない。
御年92歳の草笛光子さんが演じるのはふらっと町にやってきて、つぶれたバーを再オープンした怪しげな老婦人。はじめは距離を置いていた町の人も、そのうち引き込まれていき…というよくあるパターンの話だ。長さといい、展開といい、主演を立てればあとはどうでもいい感じといい、令和なのに昭和みたいな作品。92歳であの矍鑠(かくしゃくってこう書くんだ…)とした草笛さんは確かにすごい。でもそこだけしか表現していないのが残念だった。長い人生経験や、酸いも甘いも経てきた懐の深さみたいなものが、アンジーというキャラクターから感じられなかったし、町の人々の描写もちょっとだけで、薄っぺらかった。あと30分使って、そこの深さや味をじっくり堪能させてくれたら、もっといい作品になったのになぁ。まあ、だから昭和邦画なんだけど。