やっぱり 正月ぐらいは 故郷に 帰らなくちゃね・・・。
ケイタは 雪深い 故郷に 向かって 急いでいた。
なかなか 許可が得られず ようやく 元旦に 帰省が 許されたのだ。
急ぐ心と 裏腹に 深い雪に阻まれて 足が 進まなくて 焦っていた。
他の兄弟 姉妹 親戚たちも 集まっているはずだ。
両親にも 久しぶりに会えるのだ。
そう言えば 長い間 会っていないなあ・・・。
両手いっぱいの お土産も 重かったが 両親のために 必死で 揃えた 大切な品々だ。
ケイタは 深い雪の中を 実家に向かって 進んだ。
雪に覆われた 懐かしい光景が 目に入ってくる。
あそこの公園で 遊んで あそこの神社の境内で セミ取りをして・・・懐かしい光景に 寒い気温の中でも 胸が熱くなった。
本当に 故郷に帰省するのは 久しぶりだった。
実家の灯りが 見えてきた。
心は 急いでいる。
雪の中でも 何とか 進んでいった。
開いている門を くぐり 灯りがついた 玄関まで たどり着いた。
中からは にぎやかな 話し声や 笑い声が 漏れ聞こえてきた。
ケイタは はやる心を抑えられなかった。
履き物を脱ぐのも 忘れる程 慌てて 家の中へ 上がり込んだ。
みんなの声がする 囲炉裏の方に 向かって 駆け足で 進んでいった。
「 ただいま。 遅くなって ゴメンなさい。 今 着きました。 」
元気いっぱい 笑顔で 挨拶しながら ケイタは 囲炉裏のある部屋に 入った。
でも ケイタが見たそこは 一面の白銀の世界。
吹雪が 吹き荒れていた。
ケイタは 今 ようやく 思い出した。
実家は もう ないのだ。
両親や 兄弟姉妹 親戚も・・・ 今ではもう 誰も いないのだ。
吹き荒れる 冷たい吹雪の中で ケイタは もう一つ思い出したことがあった。
そうだ・・・ 僕も もう この世には いないのだ・・・。
経済不況 財政破綻から 国民の目を そらすために 国家の政策として 進めた 極端な ナショナリズムの高揚の末に 近隣諸国との争い そして 戦争へ・・・。
自由と平和を愛して 反戦運動に参加していた ケイタは 懲罰徴兵で 直ちに 軍隊に入れられ 徹底的に虐められ そして すぐに最前線に送られ そのまま 星になったのだ。
故郷の 町や 山河も 戦禍で 焼き払われ 家族も 親戚も 町中の人も みんな 星になって もう 誰も 残っていないのだ。
やがて 冬が来て 大雪が降り 全てを白銀の世界に変えて 吹雪が 戦禍の傷跡を 覆い隠しているのだ。
もう嫌だ・・・・こんな世界は・・・・もう二度と 見たくない。
でも 誰も もう二度と 見る事も 出来なかった・・・・。
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鬼の住処
取り憑かれた男
最後の晩餐
銀河旅行
黒髪 black hair 01 （ 全 5 回 ）
黒髪 black hair 02 （ 全 5 回 ）
黒髪 black hair 03 （ 全 5 回 ）
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体が欲しがるんです
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