私は 和美。


何回か 通院している 病院の 外科の 高坂先生が 大好き


高坂先生も 多分だけど・・・、和美に 首ったけ。


( 先生ったら~、 私だけ特別に 診察時間が 長い~。 会いたいから 何かと 病名つけて 来院させるもの・・・。 まあ、 私も 先生が 好きだから いいけど~。 ちょっと 仕事とかに 影響しちゃうわ・・・。 )


「 ○○さん。 ちょっと 入院して 検査して 場合によっては 手術が必要です。 」



高坂の言葉に 和美は思った。



( もう~。 高坂先生ったら~。 私を 一人占めしたいのね? 入院して 帰さないつもり?? 手術って・・・、 和美の 何もかも 丸裸・・・キャ~。 高坂先生 エッチ。 )



「 分かりました、先生~。 いつからですか~。 」



和美は 甘ったるい口調で 尋ねた。



「 出来るだけ早く。 今日でも 入院できますか? 」



高坂の言葉に対して 和美は言った。



「 そんなに 急にですか~。 私にも 心の準備 必要なんです~。 勝負下着 いえ 下着も 替え 持ってませんし~。 」



あいかわらず 甘ったるい口調の 和美に対して 高坂は 冷たく言い放った。



「 しばらく 抗生剤などで 様子見てましたが・・・、 切開して 切除と 排膿 そして 修復しなければ・・・、 嵌頓も してます・・・つまり 患部・・・、 悪いところが・・・、ひっくり返って 根本で 首絞め状態なのです。 とても 用手整復なんか できません。 なるべくは 切りたくは なかったのですが・・・。 」



(  まあ 先生ったら~。 難しい言葉も 優しく言って下さって・・・・、 どっちみち よく分からないけど・・・、 でも・・・ なんだか・・・ とっても気分が悪くて・・・、痛くて、仕方がない・・・。 どうしちゃったのかな・・・私???  なにか 意識が ボンヤリとしてきたような・・・。 )



高坂の 怒鳴り声と 回りの 慌ただしい足音。




「 ストレッチャー持ってきて。 緊急~。 すぐに CT室に・・・、 とにかく酸素、 血管確保・・・・、あっ 手術室 押さえておいて。 それから 麻酔の先生にも連絡して。 家族 連絡先 分かる? とにかく 至急連絡して・・・。 」



薄れ行く意識の中 和美が 遠くに聞こえた 大好きな高坂先生の声・・・、 やがて それも 聞こえなくなり 意識が 消失した・・・。




次に 目覚めた時は なにやら 回復室らしき光景が かすかに見えた。



テレビドラマで 見たことあるような光景。


モニター類が 妙に騒がしい。



和美は ベッドの上。



和美には あらゆる チューブやら 何やらが 身体中に 突き刺さっていた。


仰々しい格好をした 両親が 泣き顔で そばに立っていた。


そして その すぐそばには 大好きな 高坂先生も 手術衣のまま 立っていた。


声を出して 話しかけようにも 喉にも 鼻にも 太い管が・・・。


動けない。


高坂先生が 両親に 何か言っている。


「 最善を尽くしましたが・・・。 」



大好きな 高坂先生の声・・・、でも それが最後だった。



後は真っ暗な 無音の 世界・・・。



( 完 )