前回分は
微笑む独裁者は人気者 01
微笑む独裁者は人気者 02
で お楽しみ下さい。
国中に 大きな うねりのような 風が吹いた。
それは まさしく 彼にとっては 心強い 助け船であり 順風だった。
タレントや アイドルなど 到底 及ばないほどの 人気絶頂の彼は その一挙一動に 国中の 視線が 向けられた。
彼の 生い立ちや 家族 親戚にいたるまで 徐々に 神格化され始めて行った。
そして 与党が衆議院で多数を占め 野党が 参議院で多数を占める いわゆる ねじれ国会 決められない国家を 解消すべき 衆・参 同時選挙を 行うべきだという 強い 国民の期待が 熱い炎のような大きな うねりを呼んだ。
そして それは 国を挙げた 機運となり もはや 雪崩のような うねりの中で そのまま 衆参同時選挙に 一気に なだれ込んでいった。
本当のところは ねじれ国会の解消というよりは 彼を 国のトップに 据えたいという 国民総意に近い 不可思議な感情となっていったのだ。
当然ながら 選挙は 彼が所属する 野党の 完全なる圧勝に終わった。
彼は その 絶対的人気と 神格的なカリスマ性から 必然的に 若くして その野党の 党首になり そして、 そのまま 国会で 大した疑問や 反対もなく 正々堂々と 首相となり 国家の トップになった。
彼は またたく間に この国の 強烈な人気を伴ったトップに 躍り出たのだ。
国のトップになってからの 彼の動きは ものすごく 素早かった。
国民の予想してないほど 悪魔のような 素早い動きだった。
もっとも 国民も マスコミも 彼のすることに 反対する者など 一人もいなかった。
みんな 固唾をのんで 彼の 一挙一動に 大きな夢を見て 大いに期待しながら 見守った。
彼は 突然 憲法の解釈を 一部のブレーンだけで決めて 一気に 変更して 閣議で 了承されるやいなや 国会に提出して 一方的に 変更した。
そして その次に 憲法そのものも あっという間に 詳しい変更の内容を隠して 国民投票をして その熱狂的な 人気により 思う通りに 作り替えて 国会審議も そこそこに 改訂してしまったのだ。
その頃には 国会でも もはや 彼の 力は 強大だった。
他の議員が 彼に 逆らったり、 少しでも 反対意見を言おうものなら マスコミや SNS や ネット上で 全国民から たたかれた。
そして 色々な 過去や 問題点などを あぶり出され その議員は スゴスゴと 撤退するしかない状況に 追い込まれていった。
もはや 彼は 自分で 作り上げた 国民的英雄 ヒーローの よろいを 見事に着こなしている 夢のスーパースターようだった。
彼の言動には もはや 誰も 逆らえなくなっていった。
逆らったりすると 恐ろしい結果が 待っていたからだ。
（ 以下 次回へ ）
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黒髪 black hair 01 （ 全 5 回 ）
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