今日、渋谷PARCOのWhite CINE QUINTEで丸山健志監督「スパゲティコード・ラブ」を見てきました(ノイミー会にもイコラブスペイベにも縁がなかったので)。

 

 

東京国際映画祭で見たかったのですが、都合が合わず公開後に劇場で見ました。渋谷界隈でロケ撮影された青春群像劇なので、渋谷の映画館で観てよかったです。「虹の素」で使われた明治通りと246の交差点の歩道橋も出てきます。というより、イコラブ/ノイミーのMVの映像プロデューサー三池智之さんがプロデュースをされています。その関係でノイミーメンバー起用になったのでしょうか。

 

 

この映画は東京で暮らす若者たち13人ぐらいの群像劇ですが、社会に認められずもがいている10-20代の男女を赤裸々に描くといったものです。うち一人がゆりやんレトリィバァになります。

誰一人うまくいっていないが、夢が失われたわけではない、トンネルの向こうに光が見えているのかいないのか、本人次第なのか、という今の時代ならではの若者像を描いた作品です。映画祭で見かけるアジア映画のようなテイストなので、海外映画祭では日本の若者の実像として注目される可能性があると思われます。

 

(以下、ネタバレを含みます)

ノイミーの出番はわずかで曲も印象的に使われるわけではありませんが(挿入歌ともいえるかどうか)、映画の冒頭で出てくる最初の台詞が「誰もいない森の奥で一本の木が倒れたら音はするか?」というもので、映画の中でキーワードのように何度か出てきます。本作を貫くテーマといえるかもしれません。

 

 

Uber Eatsのようなデリバリーをしている青年ten(倉悠貴)がノイミー演じるアイドルグループ、とくに冨田菜々風演じるアイドル如月さらら(ノイミーの菜々風とは違う、ツインテールにアイドルっぽいメイク)のファンでサイン会か握手会のような場面があり、菜々風には台詞があって、tenに好きな言葉を聞かれて「誰もいない森の奥で一本の木が倒れたら音はするか?」というワードを発します。その後の展開からデリバリー青年はそれがSOSのサインだったのだろうかと後に思い巡らせます。

 

とりわけ重要なのは、ラストで町でティッシュ配りをしている菜々風が上記のファン青年を認め、マスクを取って顔を見せ、その「菜々風のアップ」が映画の最後を印象的に飾るということでしょう。とても印象的なカットです。

出口の見えない青春を描くこの映画に何か希望を残すような終わりに感じました。出番や台詞は少ないものの、映画を見た人の心に残る重要な役柄ではあるので、エンドロールで主役たちの次のブロックあたりに菜々風だけクレジットされ、他の出演メンバーはもう少し後に〇〇(≠ME)として出てきます。

 

 

この映画の人物たちにとってアイドルなんて「別世界」の人たちなのですが、菜々風は彼らと同じこの世界に戻ってそこにいる役柄で、アイドルもオーディションに合格しなければ彼らと同じ場所でもがいていたかもという意味で、縁遠い物語ではないかもしれません。

 

菜々風がtweetで触れていた上大迫(かみおおさこ)祐希さんは菜々風と同じく2000年鹿児島生まれ、高校卒業後に東京に出てきて本作がスクリーンデビューとのこと。13人の一人・小川花役で、写真が好きで地方の町から(たぶん家出して)出てくる少女の役ですが、数少ないポジティブな役で、この子には才能があって誰かの目に触れてチャンスが訪れるのでは、と思わせるような役です(そんなチャンスは訪れないのかもしれませんが)。次回作の撮影も始まっているそうで、これから活躍される女優さんのようです。

 

 

映画のパンフレットがあれば買いたかったのですが、小さなフォトブックしかなかったので買いませんでした。