何時の日か名もなき雀士はとある麻雀の会へ参加する事になった。
すると3年前に出会った知人が昇級していた。
おめでとうと話しかけると、優しい知人は彼を飲みに誘ってくれた。

飲んでいると、もう一人、知人を見つけた。
前述の知人とは逆に彼の事などは忘れているようだ。
また、その場所からもいなくなっていた者もいた。
時間の流れを感じると同時に寂しさも覚えた。

彼は誘ってくれた知人と数名で、輪にはそれほど加わらず

飲んでいたら、その場所に出向いて話しかけて来た若者がいた。
感じが良いなと思うと同時に、きめ細やかな気配りに
プロもまだまだ捨てたものではないなと思い、帰路に着いた。


そこで、彼は3年前に入会していたら、どういう人間に
なっていたのだろうと思い、なんとなくタイムマシンに乗って
過去の自分を垣間見たような気分になった。


だから、3年後には優しさを持った打ち手になりたいと思い
あの時、プロを目指さなくて良かったなと感じた日でもあった。


このコラムはここで完結となる。理由は冒頭の一文に関係する。
最後にタイトルを獲って、今まで出会った方へ恩返しすると

ここに誓っておく。このように公言し、出来るかは甚だ疑問だが

強い心だけは失いたくないのだ。そして、どんなに他人からみて

見苦しくても勝ちにこだわりたい。そんな日は来るのだろうか。

名もない雀士は幸せだった。
肩書きはなくとも仲間達と楽しく麻雀が出来るだけで良かった。
しかし、そんな時間も終わりをむかえていた。

彼の親友であり、師でもある人は知人達から金を借り
返さなくなっていた。その上、女関係でも揉めていた。


親友は彼からも金を借りて返さなかった。
彼は失望し、全ての知人と連絡を取らなくなり
麻雀をやめてしまった。


麻雀から離れて、1年半が過ぎた頃で鳳凰位戦の決勝の時に
彼は偶然、過去の知人と出会った。そして、彼がいなくなった後に
親友が孤立しているという。それを聞いて、彼は以前の仲間達と
連絡を取り、間を取り持つ努力をした。
しかし、それは失敗に終わった上に彼自身も非難される結果となった。


そこで彼は親友との証としてプロを目指す事を選択した。
親友達とはもう会う事はない。しかし、プロになればどこかで
仲の良かった頃を思い出してくれるのではないかと。


もう会う事のないみんな元気かな。僕はまだ麻雀を続けているよ。
そして勝つ事によってみんなと楽しかった時間を表してみせるんだと。
そう思いながら、小さな街で今日も麻雀を打っていた。

その反面、話は戻るが、青年の同級生は酒代を携帯の

クレジットで決済しており、その酒代の半額より

いつも少し多めに彼が現金で渡していた。


若いので、お金がないんだろうなと思い、多めに払っていたし

クレジットで払えるなら良いなと思って、その決済方法に

全く疑問を抱いていなかった。


そして、青年の同級生から「バイトが決まったので

飲みに行きませんか」というので、飲みに行く事にした。


青年の同級生は腰を痛めて、現在の職を休職していたのを

知っていたので、電話越しには分からないようにしてはいたが

彼は、まるで自分の子供の再就職が決まったように喜んでいた。


その際に、知る人ぞ知る麻雀打ちの友達が、彼宛に

偶然、東京から遊びに来てたので、良い機会なので

青年への同級生に、強い打ち手の紹介も兼ねて

3人で一緒に飲みに行った。途中、何人か合流した。


その飲みも終わり、支払いの段階になると、いつものように

携帯クレジット決済を行おうとすると決済出来なかった。

しかも、現金は持ち合わせていないという。


その場は、仕方ないので、青年の同級生の分を

彼が負担して、現金で払った。


そこで、そうか、青年の同級生は、元々お金がなくて

彼と飲みに行った時の現金を利用し、クレジットローンではなく

ショッピングの手数料無料で、彼から現金を引き出していたんだと。
そして、予定外の人数が来てしまい、落とせなかったと気づいた。


その場面で、青年の同級生の一言を待ったが、何も言わない。
「持ち合わせがないので、今回は貸して頂けないか」とも

「次回払います」との言葉もなかった。


黙って、青年の同級生は彼の奢ってあげるの言葉を待っている。

その場は、何事もないように、彼はやり過ごして、外に出たら

誰かが麻雀をやって帰ろうと言った。なので、4半荘やった。


当然、青年の同級生は支払いが出来ないのは

他の面子も了承済なので、残りの人数で、割って場代を払うが
その際も何も言わない。ただ、黙って、何かを期待する素振り。


奢って欲しいのだろう。ないものを払えというのも、無理ではあるが

甘やかすわけにもいかず、彼達は何も言わずに別れた。


その時、彼は麻雀打ちとしての心のない人に技術を教える事は

不幸な事だと感じた。麻雀のセンスがあっても、人間として

確立されていない人に麻雀を教えてはならないと。


その反面、彼が必要以上に早く麻雀を教えていたのは

自分の出来なかった夢を、知らず知らずに青年の同級生へ

押し付けていたのではないかと。


麻雀の技術だけを一方的に伝えてしまうだけで

一番大切である心を育てる事を忘れていたと深く反省した。


だから、私は、今後、心のない人に、麻雀を教えないことにした。

ある意味、悲劇かもしれないからだ。

例えるなら、身なりは大きくても、中身は、子供のままで

大人になってしまったといえよう。


だから、そうなりつつある青年の同級生の心を育てる為に

今度、会ったらお金がないのに、飲みに行こうとか言わずに

正直に「お金がないのですが、次回バイト代が入ったら

払いますので、バイト決定祝いに飲みに連れて行って下さいよ」とか


「みなさん、今日は持ち合わせがないのに出していただいて

ありがとうございました」等と最低限のマナーを覚えさせて

決して、人の財布を当てにして、飲み食いするような

後ろ暗くて小賢しい考えを持たないよう言って聞かせた。


彼は、単に麻雀だけではなく、打ち手のメンタル面を育てる事が

最大の麻雀打ち育成課題であると青年の同級生に教わった。


裏を返された事によって、心を育てる事が

一番の麻雀上達の近道だと思い知らされたのであった。


彼にとっては、嬉しい話ではなく、逆説的で残念な事になったが
この結果を感謝しなければならないのかもしれない。

~追憶~

翌日、起きると大事にしていたMJ3のカードがない。

あの時、筐体に差したまま忘れてしまったのを思い出した。

それを思い出すと、ふと2人を繋いでいた気持ちまでも

無くしてしまったような気持ちとなり、その後、彼は

そのゲームセンターから、次第に足が遠のいていた。


とはいえ、彼は、わずかながらでも、小さな街で

出会った仲間の為に、心を残していたと今も信じている。

 彼は、暇潰しに小さなゲームセンターで

MJ3という麻雀ゲームを始めた。しばらくすると、段位は十段に。

当然、小さなゲームセンターなので、全ての部門ですぐ1位(笑)


そこでは、若い美男美女のカップル達も打っており

この場所というか、麻雀に合わないし、所詮、この子らは

暇潰しだろと思いつつ、打ってたら「うまいですね」と声をかけられた。


彼は驚いた。彼の麻雀を一元の第三者に評価されたのは

初めてだったからである。「プロなんですか?」「いえ、違いますが

プロの主催する研究会には参加した事はありますよ」


話してみると、その青年は、某ファッション雑誌のモデルであった。

年は21。モデルだけにさすがに格好いい。連れも美人。


彼にとっても、その出会いは衝撃的なものとなり、嬉しくて

すぐに打ち解け、彼に麻雀を教えたりしながら、閉店まで話した。
そして、お互い笑いながら、その日は帰った。


しばらくして、青年の紹介で彼は利発な青年の同級生と知り合った。

同じように容姿も整っており、麻雀のセンスの高さも感じ取れた。

また、言葉遣いも礼儀も正しく、好感を持った。


とはいえ、何よりも麻雀が好きなのに、一番の好感があった。

青年は地元で、たくさんの知人がいた。その為、たくさんの若者と

彼はゲームセンターで知り合うようになった。


その中でも、彼は、青年の同級生と良く飲みに行くようになり

週に1度は、いきつけの飲み屋で麻雀談義に花を咲かせた。


彼の今まで培った知識を、必要以上に話して伝えた。

しかし、麻雀打ちの心がまだ宿ってないのに、技術だけを

説明している自分に不安は感じていた。


今考えると、魂のない人形に心を込めようとしている行為に

似ていたのかもしれない。


飲みの話の中で「ウチのゲーセンで、よそから流れて来た人が

いきなり、王者で登録してトップなのはいやなんですよ。抜いて

またトップになって下さい」というので「興味がない」というも

かわいい青年の同級生がいうので、やってみる事にした。


ほどなく、私は覇者となり、またも全部門で1位となった。
青年の同級生は喜んでいたし、彼も夢を与えたようで嬉しかった。
麻雀打ち冥利に尽きる事だなと、この結果をありがたく受止めた。

私の師は、またも敗れた。


もう、何度、決勝に足を運んだのか、数え切れない。

内容は、いつも悪い所がないのに、なぜ勝てないのか分からない。


でも、私は、それでもいいと、最近、思っている。

私は、タイトルなんてなくても、そんな師が一番好きですよと。


そして、いつかきっと…今は、言葉にせずに伏せておきます。


見ていてくださいね。

私は、いつもより周りが見えるようになっていた。
普段なら、そこまで気が付かなかっただろう。


それは、偶然、帰り道で、会ったとはいえ
単身で応援に来ていた一般の方と一緒に

東京駅まで帰った事である。


なんとなく自分の姿をも重ね合わせた気がして。
これが、決勝に出た方から学んだ事でもある。


半年前、麻雀止めますねと、お話した時に
親身になって、もし、私が鳳凰位を獲ったら
また麻雀始めてくださいねと、おっしゃってくれた方に。

そして、それを叶えてくれた。


あなたも、今までタイトルを獲った方と同じように
沢山の方の希望と夢を背負って立つ方なんですね。


だから、私は、また、名もない雀士として暮らしていきます。

美しい心を見せて下さって、ありがとうございました。

二日目、微差ながら、暫定1位で終了。


帰りに、みんなは食事に行こうと言ってたので
自分1人だけが帰るのもと図々しくも混ぜてもらった。


食事中は、私は、少しでも明日の良いイメージをと

なんだか、いつもよりも無理に話をした気がする。


明けて、翌日。重要な最終日。


なんと3ラスでトータルラストまで下がってしまう。残りは、わずか3回。

私は、やっぱり、昨日、図々しく混ざって対局者に気を遣わせたのが

マズかったんだと深く慙愧の念に駆られた。


「こんな事なら寄らずに帰るんだった。一般者に気を遣ったのだろう。

俺はダメな人間だ。もっと対局者に気を配って帰るべきだった」と


対局者に顔向け出来ないかもしれないと思うと、いつの間にか

観戦の人込みの中で、1人深く沈み込んでいた。


そして、最終戦となる18回戦。南3局 西家


奇跡ともいえる内容で、満ツモ条件まで巻き返して来た。
とはいえ、肝心の手牌は、とても満貫には届かない。


なんとか3-6s待ちで、満貫条件のテンパイするも、条件は厳しく

高目6sの三色で、しかもその6sはドラ。しかも5枚見え。


自分が1枚使っており、3と6は、既に2枚ずつ場に見えている。

場況から、待ちとしては良いが、自分のツモ筋にいないと

誰からも出ない牌。巡目も、3段目に差しかかろうとしている。

私の過去の記憶から、この手のリーチは成就した事を見た事がなく

アガリはないと感じた。


しかし、意外にも、念願の6sは山にいた。

最後の最後で、トップに巻き返したのだ。


その瞬間、私は鳳が舞い降りて来るのを見た気がする。


トップ目で迎えたとはいえ、僅差。

艱難は次々と襲いかかる。こんな大事な局面で

早い巡目で2位目からのリーチ。しかも親。

一発で交わされる可能性が高い。


しかし、鳳は、またも、キラリと翅を震わせる。

美しい黄金の翅を、これでもかと言わんばかりに。

同巡、その手には、四萬が。


鳳は、既に颯爽と彼の傍に神々しく舞い降りていたのだ。


最年少、鳳凰位の誕生であった。

プロリーグ最終節では、地力の高いTプロが大きく

ポイントを伸ばし、鳳凰位決定戦へ進出。

Tプロには、安定した大地のような強さがある。


そして、支部長も決定戦へ駒を進めた。


その大切な最終戦。私は観戦に行かなかった。


本当は行きたかった。


結果の如何に関わらず、最後までトップ争いに

つけていた感謝と慰労の気持ちを伝えたいのもあって。


しかし、私は、そんな負のイメージから出た観戦は

良くないと、信じて結果を待った。


最終節で敗退してしまえば、私の麻雀との関わりは

ここまでだし、仕方ない事だったと、勝手に自分の中で

決めていたが、なんと2人とも駒を進めてしまうとは。


私は、どちらを応援したら良いのかと、自己的な

ちっぽけでくだらない悩みが、ふと頭によぎったが


もう、どんな結果でも受け入れられる気がする。


鳳よ、私の尊敬する打ち手に近づいてくれてありがとう。

そんなあなたは、一体、誰の元に舞い降りるのでしょうか。

※この記事は自分のネット麻雀サークルのブログからの転載です。


麻雀をやめてから、近くのゲームセンターへ行ってみた。

そこにはMFC5とMJ3が 置いてあり、激安。


これは安いと座ろうとした席に牌が2枚ある。しかも全自動用。


以前、私も小手返し練習用に持ち歩いてたので、私以外にも

いるんだなと思い、顔を見ると、2~3年前にMFCで

知り合った彼だった。


彼は「niteさんではないですか」といい

「あの時、格好良く見えたんで、真似しました」と。

この発言に、私の方が驚いた。私の動きが格好良く見える人が

いるのかと(苦笑) 近況を話しながら、MJ3をやった。


意外だったのは、彼がうまくなっていた事である。
彼は麻雀を今は止められないという。嬉しい限り。


彼は、もう1人、学生を呼んだ。私が5年前に出会った高校生だ。

今は大学3年となり、法政を蹴って、理系大学へ進んでいる。

ただ、六大学麻雀だけは出たかったという(爆)

今は予備校の先生のバイトをして高校生を教えてるという。
その彼も、麻雀が卓越する程にうまくなっていた。


その大学生は、1番麻雀とうまい付き合いをしているようだ。
5年前は、年の離れた弟のように見ていたのに

月日は流れているんだなと痛感した。
そして、ふと、私が今まで歩いて来た道はそれほど

間違ってはいなかったのかなと思った。


新しい芽と出会う。
そして自分とは関係なく自由に大きく育っていく。

それを傍らで見ているだけで嬉しいのだ。


みんな素敵な大人になったなぁ^^
親父1人に青年2人という不釣合いな組合せで帰りながらも思った。


ありがとう。私を気にかけてくれた、みんな。
そして、そんな彼らのいる場所に戻ろうと思った。

 このHPを休止した時に、ある人が鳳凰位決定戦へ出場を決めたら

応援に行って、麻雀をまた始めようとお話していたが、現実としては

相当難しい事であり、実現不可能に近い感覚でお話していたのだが


本当に出場を決定させてしまうとは。恐ろしいほど勝負強い。


この勝負強さは、天性のものではあるが、ほとんどは

努力に裏打ちされた、支部長、独自の比類なき能力だと私は思った。


決定戦出場おめでとうございます。支部長。


支部長とは全く関係ないですけど、私はまた麻雀を始めてみます。

やはり麻雀で出会った方って、忘れようとしても忘れられないですね。


静かに暖かく、優しい陽だまりのように。

自分を気にかけてくれる人達と一緒に過ごす気持ちを取り戻すまで。