前回の記事で、気分とホルモンの関係について述べました
今回は、その2回目となります。
我々が「気分が良い(悪い)」と感じている時、
体内で様々なホルモンが作用しています。
ホルモンとは、人体で作られる自然の薬物に当たるものです。
従って、我々の気分は、薬の作用によって作られているともいえます。
もちろん、人工的な薬物とは違い、健康への害はありません。
ただ、中には依存症に関わるホルモンもあり、場合によっては、
我々の意識や気分に著しい悪影響を及ぼす事もあります
巷には、人間の脳内ホルモンに似た薬が、
非合法に出回っています。
「いけない薬」として有名な覚せい剤と麻薬です
その効き目は、本物のホルモンを遥かに上回り、
使用者をハッピーこの上ない気分にしてくれます
もちろん、使ってはダメです。
依存症になると、気分と体調のバランスが崩れてしまうばかりか、
さらに警察に捕まって最悪な気分になるので、気を付けてください。
ホルモンの分泌バランスは、生体リズムや生理反応、
個人の生活リズムや行動パターンによって
自動的に調整されています。
季節の違いや昼夜で気分が変わるのは、そのためです
気分(ホルモン)を変える因子は、他にも色々とあります。
特に影響が大きいのは、
五感からの刺激と自身の認知(思いや物事の捉え方)です。
人間の気分は、何かを見たり、聞いたり、何かが肌に触れたりした時、
我々自身が何かを思ったり、判断した時に大きく変化します。
思いや判断のパターンは様々ですが、
簡単に分類すると「快」と「不快」の2つしかありません。
言い方を変えれば、『良い、悪い』、
『好き、嫌い』などの区分けですね
「快」と思えば、良い気分にするホルモンが作用し、
「不快」ならば、それ相応のホルモンが働きます。
その思いが強ければ、よりホルモンの作用も増し、
それに応じて「快」や「不快」の気分も強くなります。
また、心に様々な思いが交錯すれば、
それだけ様々なホルモンが働き、
より気分も複雑(微妙)になってくる訳です。
特に人間の気分に大きく作用するホルモンについて、
以下に説明します
・ノルアドレナリン
アドレナリンと共に交感神経のスイッチを入れるホルモンで、
基本的には、睡眠から目覚めるタイミングで分泌が増えていきます。
特に多く分泌するのは、
何かしら危機や困難に出会った状況で、
恐怖や不安や緊張などの精神的ストレスを感じた時です。
一般的には、仕事が忙しかったり、
何かトラブルが起きた時でしょうか
ノルアドレナリンは、このような困った場面で、
我々を「何とかしなきゃ」、「やるしかない」という気にさせてくれて、
適切な思考や行動を促してくれます
ノルアドレナリンが分泌すると交感神経が活性化し、
心身共にテンションが上がります
同時に勇気や意欲、行動力や学習能力も高まるので、
学生や社会人にとっては、特に重要なホルモンといえるでしょう。
ただ、過剰に分泌すると、過度な興奮や緊張をもたらし、
精神的ストレスも大きくなります。
日常で、気の進まない努力や他人との争いが多いと感じる人、
また、イジメやパワハラの被害を受けている、
…という人は気を付けてください。
ノルアドレナリンが過剰になると、脳内ホルモンのバランスが狂い、
心身が病んでしまう危険性があります
早々に、「戦う」か「逃げる」かを選択して、事態を解決してください。
・ドーパミン
別名「快楽ホルモン」という通り人を幸せな気分にしてくれます
また、「報酬系ホルモン」とも呼ばれ、
人間の意欲と行動に大きな影響(強制力?)を与えます。
我々は、行動によって様々なものを得ますが、
その時の「嬉しい」、「楽しい」、
「やったー」などという良い気分は、
全て、ドーパミンが作り出した『快楽』に他なりません。
つまり、人間はドーパミンの『快楽』という餌に釣られ、
様々な行動へと突き動かされているのです。
人間は快楽を得ると、それを「また得たい」と思い、
それに伴う行動を繰り返すようになります。
これが、仕事や勉強やスポーツなどで働けば、
大きな成果を生む事が出来るでしょう
逆に、食事や飲酒、ギャンブルや恋愛で働いたら、
困った事になります
アルコール依存症、ギャンブル依存症、ストーキングなど
これらは全て、ドーパミンによって起きているのです
良い気分と幸せな人生を作り出すドーパミンは、
人間にとってマストアイテムといえます
ただ、過剰に働き過ぎると依存症になり、
逆に悪い気分と不幸な人生を招く恐れもあります。
その辺りは、覚せい剤と同じですね
大切なのは、物事に対するケジメです。
快適な人生を送るためには、目的と行動のバランスを取り、
欲望と快楽を制限する意思が必要となります
具体的にいえば、同じ行為を繰り返さない事です。
欲望を1つに集中させず、様々な方面に分散させれば、
依存症に陥るリスクは大幅に下がるでしょう
・βエンドルフィン
これも、快楽ホルモンと呼ばれています。
ドーパミンは「興奮」や「楽しさ」に関わっていますが、
βエンドルフィンが演出する気分は
『充足』や『安楽』に当たるものです
日常では、ご飯を食べる時、ゆったりとコーヒーを飲んでいる時、
お風呂に浸かっている時など、特に行動や興奮のない状態で
「幸せ」だと感じている時に分泌されます
ドーパミンにより、行動して何かを得たり、楽しんだりする時も、
確かに良い気分ではありますが、
のんびりと今を愉しむのも、やはり良い気分に変わりはありません。
幸せな人生には、ゆったりしたり、
まったりする時間も、また必要ですよね。
上記ホルモンの分泌や作用を高めるには、様々な手段があります。
ノルアドレナリンは、何か物事に対して、
「やらなくてはならない」という状況に自分を追い込む事で
より多く分泌するようになります
従って、以下の作戦が有効になるはずです。
・自分に課題や試練を与える
・課題に予定日(締め切り)を設ける
・「自分に負けない」、「絶対に逃げない」、などと自分に発破を掛ける
ドーパミンの場合は…、
・何かに興味を持つ
・趣味や楽しみを増やす
・夢や欲しい物に対して素直になる
・成功を心に思い描く
…などが有効だと思います。
ドーパミンは、何かをやったり、手に入れたりして、
「楽しい」、「やった!」と思う事で分泌されます。
従って、やる気がなくても、まずは行動する事が大切なのです。
些細な事、簡単な行為で構いません
上手くさえいけばドーパミンが出てくるので、
それが別な物事に対する意欲に波及していきます
ホルモンは、我々の気分やメンタルに絶大な変化をもたらします。
一度、ホルモンによって適切な気分が形成されれば、
後は、それに流されて行動するだけで、
問題なく事を済ませるはずです
例えば、ノルアドレナリンはトラブルが起きた時に強まりますが、
意欲や学習効果を高める効果があるので、
様々な場面で応用が効きます。
また、スポーツや趣味でドーパミンの分泌が強まれば、
その後の仕事や勉強にも良い影響を及ぼしてくれるはずです
人間は気分に乗り、また気分に流される生き物です。
得てして、良い気分であれば、大概の事はバッチリいくし、
悪い気分だと、何をやってもサッパリですよね
そのためにホルモンの力を利用するのは、
科学的にも理に適っているといえます。
何せ、元より人体にあるものなので、
大いに活用しなければ勿体ないでしょう。
ただ、人工ホルモンの使用はお勧め出来ません
覚せい剤、麻薬は絶対にダメです
精々、カフェイン、アルコール、ニコチンなどで我慢してください