日本語ラップ研究所

(2011/11/23発売 044G \2,000)


スカーズのリーダー、A-Thug初の自信の名義でのアルバム。


2006年に名作となる1stを出した後のスカーズ全盛期を刑務所で過ごしたA-Thug

当時はスカーズらの人気から日本のストリート・リアルシットというものに強い支持があり、今作でも当時からのラップのスキルは追求せず、ストリートのリアル感で勝負するスタイルでラップしている。


しかし、多くのラッパーの逮捕、ビッグ・ジョーや鬼の出現、シーダの路線変更などでサグラップの脆さや不安定さが知られ、またラップスキルも絶対的に高度なものを要求され、リアルストリート感にそこまでの魅力を感じられなくなった今、チープさしか目立たつものがない。


2011年、何も仕掛けのないA-Thugのストリートサグラップは、スカーズの1stから彼の時が止まってしまったと思わせる。

00年代後半の日本語ラップシーンで過剰に評価されていた作風を現在冷静に判断するにはいい材料だろう。


07,08年あたりに今作が出ていたら評価もいくらか変っていたかもしれない。



-Track List-

1. Intro

Pro.318

2.Fuck Nigg@z feat.4WD

Pro.Jakkpot

3.Street N.Y

Pro.DJ MUNARI & PRAWDUK

4.Gz Up feat.TOP

Pro.DJ MUNARI & PRAWDUK

5.Clear

Pro.DJ MUNARI & PRAWDUK


6.High Sky

Pro.Jakkpot


7.Mob Rhymer feat.SNIPE

Pro.Jakkpot

8.Shinpainai

Pro.Jakkpot


9.My Turn

Pro.Jakkpot

10.I Gatta Go

Pro.DJ MUNARI & PRAWDUK









日本語ラップ研究所

(2011/11/23発売 Manhattan Records \2,730)


DJハヂメによる人気日本語ラップミックスの第二弾。



前作同様、無視しがたいメンツでの新曲2曲に加え、年代縛りナシでヘッヅなら誰もが知る名曲が盛り込まれている。またラップ中の激しいスクラッチや参加ラッパーからのシャウトなどヒップホップミックスならではのうま味も健在。

さらに前作では薄かった2000年代中盤からの層が充実し、年代のバランスも改善されている。


しかし、終盤での日本語ラップ界からの震災へのレスポンスで締めへの繋ぎではシンゴ西成から般若への昭和レコードというだけとなんとも不親切にグルーヴが急変する。

また、数多くのヒップホップアーティストが震災に対する曲を出しているのに新曲を含め210分弱でヒップホップからの回答としてしまうのは他の音楽ジャンルに対しヘッヅの肩身が狭い。



縛りの少なさがウリだったが、繋ぎの粗さからまとまりに欠け最後にはもはやミックスの体を成しておらずただのコンピとしての印象の方が強い。

01. MACCHO , NORIKIYO, 般若&DABO / BEATS & RHYME
02. DABO , ANARCHY & KREVA / I REP
03. NORIKIYO /
折れ鼻のメガネ

04. OZROSAURUS / PROFILE
05. RYUZO / DOG TAG feat. MACCHO
06. D.O.I. / EQUIS.EX.X feat.TOKONA-X (M.O.S.A.D.)
07. NITRO MICROPHONE UNDERGROUND / STILL SHININ

08.
韻踏合組合 / 揃い踏み
09. ANARCHY / SIDE-B
10. SIMON / ZOO ROCK
11. DABO /
おはようジパング~ FALLING IN LOVE AGAIN
12. ECD / MASS
CORE feat.YOU THE ROCK & TWIGY
13.
大神 / 大怪我(輸血REMIX

14. SHAKKAZOMBIE /
共に行こう
15. BUDDHA BRAND / FUNKY METHODIST
16. LUNCH TIME SPEAX / GROUND ZERO
17.
餓鬼レンジャー / ラップ・グラップラー 餓鬼
18. PRECOGOOD-ONE & DOBERMAN INC / FIVESTAR LINERS
19. SEEDA / TECHNIC feat. KREVA
20. JUSWANNA / READY OR NOT feat. L-VOKAL & DAG FORCE
21. ZEEBRA / STREET DREAMS
22. K DUB SHINE /
説明不要 PART2 feat.RHYMESTER (MR.DRUNK REMIX)
23. RHYMESTER /
リスペクト
feat.RAPPAGARIYA
24. SOUL SCREAM /
蜂と蝶

25.
スチャダラパー / B-BOY ブンガク
26. PUNPEE & GAPPER/
僕等地下探索団 (2005)
27. SHINGO
★西成 / ILL 西成BLUES
GEEK REMIX-
28.
般若 / 何も出来ねえけど
29. DJ HAZIME /
そして誰もが歌い出す feat.RHYMESTER & PUSHIM


日本語ラップ研究所


(2011/11/16発売 King Tone Records \2,100)


ビートメイカーとして頭角を現しつつあるブダモンクのジャジスポと組んで初となる非ミックス形式アルバム。




サンプリングにはこだわっているが、究極的にムダを省いてトラックはシンプルな仕様だ。



オリエンタルなアジアンサウンドからは不気味なカンフー映画の様な雰囲気をにおわせる。

また、全体に通ずるカンフーテイストからはウータンクランを連想させ、6曲目ではブッダブランド以来の殺人ラップと、日米両方のオールドスクールヒップホップのドス黒く煙たい空気も併せ持つ。



インストのみの時間が長く、通好みのギミック無しのワンループからはブダモンクのスキルと自信がうかがえる。



しかしながらラップで表現できる幅がトラックよりも狭く、予想以上にタイトなアルバムになってしまった印象。

トレンドの問題もあるが現在ブダモンクの意図に沿った上でこのビートを上手く料理できるラッパーは少なく、どうしても袋小路に入ってしまった感はある。



1.my choice


2.Blunted Fist


3.At the Top remix feat.Joe Styles & Rogue Venom


4. Monkey Business feat.S.l.a.c.k. & ISSUGI


5. Budamonk Funk II


6. Murderous Feat.OYG


7. Stalactite


8. Guess Who remix Feat.Laidlaw,Degree,Jugga Da Beast,DJ DUEL


9. Hidden Monkey

10. Fatal Strike Feat.S.l.a.c.k.,TAMU,ISSUGI,RAU DEF,仙人掌

11. dodges and blocks

12. Waterfall Meditation

13. Bad Beautiful Feat. PSG

14. Rift

15. Seven MCs Feat.MeccaGodZilla,Emjae,Soupa,A-Live,Cavalier,Ness,Consious

16. booty

All Tracks pro. Budamunk (多分)

-Track List-





日本語ラップ研究所


(2011/11/11発売 Hammer Head Records \2,500)


ハードライミング三羽ガラス、アイスバーンの3年ぶりとなる今作。



トラックメイカーも客演も前作までを踏まえ、更に人脈が広がっているといった印象。

1stではあまりなかった3MCのそれぞれの役割もしっかりできてきて、各々の見せ場がしっかりある。



今作も勿論ほぼ全バースで韻を踏み、前作までに見られた勢いを利用した(踏む)文字数を稼ぐ手法がほぼ見られないが、スキルアップにより文字数の面でも踏み足りないという事もない。

丁寧にラップすることでライミングを意識しすぎてメッセージ性が薄れるのも回避し、下手に踏んでしまう所は敢えて外すあたりは玄人としての美意識すら感じる。



一方でジャケとは対照的にヒップホップ特有の比喩や誇張表現はほぼなく、逆に角の取れた表現が多すぎてヒップホップアルバムとしてはバランスが悪く、逆に全体のメッセージを薄めてしまっている。



芸歴からするとベテランだがこれで3rd。これからの方向性には若干の不安も否めない。



-Track List-

1.Intro

Pro.DJ BOLZOI

2.Code Name -Okayama Remix- feat.YOWTH(Karass Castle)
Pro.DJ TA☆1(Bumboo)

3.戦場のリアリスト

Pro.BEAT奉行

4.Banzai Attack

Pro.ALI-KICK(ROMANCREW)

5.あまのじゃく

Pro.DJ BOLZOI

6.本音と建前

Pro.YOUICHI(NIGHT CAMP CLICK)

7.Better Fumigater feat.Q(ラッパ我リヤ),ARK(走馬党)

Pro.Yue Cue

8.The Future's Bright

Pro.BEAT奉行

9.キテレツ

Pro.DJ TA☆1(Bumboo)

10.ポーカーフェイス feat.TSUBOI(アルファ)

Pro.DJ TATSUTA

11.Happy Happy

Pro.Yue Cue

12.KIZUNA 13

Pro.YOUICHI(NIGHT CAMP CLICK)

13.Loose Blues

Pro.LR-STEREO (Dr.Looper+Rock-Tee)


日本語ラップ研究所

(2011/11/02発売 高田音楽製作事務所 \1,790)


スラック名義では4枚目となる今作では震災からスラックなりの被災者、日本人、ヒップホッパーとしての意見・考えをラップしている。


7曲中Sick Team名義で3月にチャリティ配信した「逆境(Pro.Budamunk)」を除く新曲は全てがスラックのトラックで、聴き手が日本人だという事を意識した和サウンドがパーツ的に散りばめられている。


曲が少ないのもあるが、これまであった口説きシットやチルシットはなくなっている。

また、以前からラッパーとしての芯の強さの様なものはときおり垣間見せていたが、今作では全体から確認できる。

スラックとしては似つかわしくない程エモーショナルにラップしているが、時代背景を上手く切り取り、自身が熱くなる理由まできっちり説明できていると思う。


しかしB-ボーイ的ともいえる屈折した表現・見方で被災者にどれだけポジティブなメッセージが伝わるのかは微妙なところ。


ボリュームは少ないかもしれないがこのテンションを保つギリギリのトコロだろう。


1.Bring da fire

2.まとまらない街

3.新しい力

4.日々の上

5.Hatugen on Skit feat. Rau Def

6.In the Day

Pro.S.L.A.C.K.

7.逆境 with Sick Team

Pro.Budamunk



日本語ラップ研究所

(2011/11/4 Rude Camp Records 2,415)

2010年のUMB覇者、晋平太の優勝の熱冷めやらぬ中でのアルバム。


リリックの内容は苦労人・晋平太のこれまでの努力も感じさせながら、バトルやヒップホップに対するストレートな想いがラップされ、優勝のご祝儀と言わんばかりの豪華なプロデユーサーや客演が花を添える。

ほぼ全バースで韻を踏み、英語も日本語の様な発声で教科書の様な日本語ラップを披露している。



しかし全体的には何か1つ物足りない感じ。優勝からわずか11カ月で完成させたこともあり、リリックには熱量はあるがライム・内容ともにまだ練る余地が見える。ライムのパターンが大会の時とさほど変わっていなく、フリースタイル・クオリティを聴かされている様な感覚になる。

さらに言えば声に特徴もない上、ラップに崩しがないために飽きてしまう。終盤では一辺倒の晋平太よりも客演ラッパーの方に気が行ってしまう。

次のチャンピオンが出る前にここまでのメンツを集めて作品を仕上げたのは評価したい。



-Track list-

1.Never Die

Pro. Last One

2.My Name Iz...

Pro. DJ WATARAI

3.時代遅れ feat.般若

Pro.IXL

4.99.9%
Pro.Bach Logic
5.No Life feat.R
指定
Pro.DIORI a.k.a. D-Originu

6.じゃぱん feat.MoNDoH

Pro.DJ YUTAKA

7.レミニス

Pro.UZK
8.You'r Never Over
Pro.Shige from Buzzer Beats
9.I'm Home feat.Bron-K
Pro.DJ BA
10.Independence Day feat.A-KEnT

Pro.YMG

11.約束

Pro.UZK
12.W.I.N W.I.N feat.Ojibah

Pro.IXL


日本語ラップ研究所

(2011/10/19 赤落Productions ¥2,300)


文学界からも注目を集める鬼の自身名義では3枚目となる今作。

福島県いわき市出身の鬼、前作は震災直後だったが、製作期間を考えると今作で本格的に震災を扱うと思われ、前書きでも期待さているが、驚くことに1曲目以外では一切触れていない。まぁこの曲だけで十分と言えるのだが。

残りは大別して2種類、獄中話とベッドでの話だ。前者では生々しく情景を浮かばせ、後者では抽象的で詩や小説のような世界観をみせてくれる。

新しい韻の踏み方もみられ、わずか8曲で鬼の表現の幅広さは認めざるを得ないが、曲順も含め聴き手をどう誘導したいのか、意図が見えない。

対照的にトラック面では過去最高のジャズ感で全体的にまとまっている。前作では韻律にこだわらないラップも披露していた鬼だが今作では初期のスタイルに戻っており、トラックとの相性も良い。


聴くまでの導入とアルバムのリードに不快感があるが、曲単位でならいいものもある、といった感じか。


日本語ラップ研究所

(2011/10/14発売 Matenro Records \2,385)



L-Vokal(以下エル)の摩天楼第三弾となる今作。

アングラからメジャーまで交流の幅が広く毎度目を引くエルの客演リストだが、今作はMint(元・韻踏合組合)からAiと幅広さは過去最高。


外注が減ったトラックは可もなく不可もなく、といった感じ。だがもともと特徴がありすぎるエルのラップが浮いていないだけでも評価するべきか。

アルバムタイトル通り、誰にでもあてはまる普遍的、日常的なテーマのリックだが、様々なスケールでヒップホップ的メンタリティによるポジティブな内容だ。

テーマに全く関係ない単語も比喩を使ってさし込むスキルも健在だ。


ポジティブな内容がアリなのもエルの特徴の1つだが、コンセプトに徹した結果、総合的にはポジティブすぎる印象だ。エルの皮肉的な視点、毒味を知る人からすると腑に落ちないデキだろう。


表現の幅も広いエルだが小さくまとまってしまった感は否めない。初めてエルを聴いた人には誤解を解くためにも過去作を掘ってもらいたい。


<Track List>

01.Intro by Mr. Haranishi the Hustler


02.MONEYMONEYMONEY

Pro.Ryu-Ja


03.MOVIE feat.鎮座DOPENESS, AI

Pro.RYLL


04.FAshionably LAte skit


05.FAshionably LAte feat.EGO

Pro.Doc Dee & Colin Suzuki


06.UnFAshionably LAte skit


07.GuNGuNGuN

Pro.Doc Dee


08.ART

Pro.Doc Dee


09.S.O.S.

Pro.Doc Dee


10.あああああ

Pro.L-VOKAL


11.SWAG feat.sequick,AKLO

Pro.Doc Dee & Colin Suzuki


12.risiN' feat.JiN,MINT

Pro.JiN


13.An Interlude

Pro.RYLL


14.Purple Music feat.sequick

Pro.Tofubeats


15.Livin'

Pro.Doc Dee


16.4:22

Pro.L-VOKAL


17.MOJITO remix feat.JiN, AKLO

Pro.Luke Valentine


18.Message

Pro.Doc Dee













日本語ラップ研究所

多くのクルーがひしめく横浜からピラミッドレコード、万寿の2ndアルバム。


トラックはピラミッドレコード内外からバランス良く集めたが基本的に横浜周りで固めている様子。期待の新人の2枚目、そして激戦区横浜とあって、ハイクオリティかつオリジナリティ、バラエティに富むトラック群だが、アルバム全体の雰囲気を壊すものもなく通しでも聴きやすい。


24歳若手ラッパーの2ndアルバムとは思えないほど押韻部分の言葉選びや踏み方、あと置き方も巧い。日本語ラップ初心者(聴く方)でもほぼ全て聴きとれる滑舌の良さも最近では珍しく特筆しておきたい。


一方でリリックの内容不足はどうしても否めない。内容は万寿本人の日常や頭の中で考えていることがほとんどだがこれで50分越えは厳しいだろう。聴き終わったあとで頭に残るパンチラインが皆無だ。


ライミングの巧さがこの欠点を目立たせている所がなんともおしいがライム派好きなら次回作期待して損はないだろう。


日本語ラップ研究所


(2011/09/21発売 TRIUMPH RECORDS)

DJ Seijiによるオールプロデュースアルバム。

トラックは2011年製のはずだが、B-Fresh的な日本のヒップホップ創成期のバイブスがあり懐かしさを覚える部分もいくつかある。

レジェンドだけあってさんぴん以降の世代の豪華メンツを揃えた中に、アニキDJとして地元北海道で活躍する主力クルーを客演に招いており、タイトル、Hip Hop Library(=ヒップホップの歴史)というよりは日本のヒップホップの始まりから北海道での活動、とDJ Seiji本人の歴史と言える。

しかし、TOu-KYOu、蜂と蝶のサンプリングのハブらさんぴん世代勢は聴き足らず、名前を広めるつもりだったはずであろう北海道勢は比較され引き立て役になる、とお互いに窮屈な思いをする結果になっている。

とはいえ、さんぴん世代と対等に渡りあうビッグジョーの今夏出版した本の内容のラップ、基本に振り返って1バース全て1パターンの韻でラップしきる宇多丸など聴きどころは充分。

この内容、2枚に分けていれば両サイド楽しめたはず。