日本語ラップ研究所

(2011/10/19 赤落Productions ¥2,300)


文学界からも注目を集める鬼の自身名義では3枚目となる今作。

福島県いわき市出身の鬼、前作は震災直後だったが、製作期間を考えると今作で本格的に震災を扱うと思われ、前書きでも期待さているが、驚くことに1曲目以外では一切触れていない。まぁこの曲だけで十分と言えるのだが。

残りは大別して2種類、獄中話とベッドでの話だ。前者では生々しく情景を浮かばせ、後者では抽象的で詩や小説のような世界観をみせてくれる。

新しい韻の踏み方もみられ、わずか8曲で鬼の表現の幅広さは認めざるを得ないが、曲順も含め聴き手をどう誘導したいのか、意図が見えない。

対照的にトラック面では過去最高のジャズ感で全体的にまとまっている。前作では韻律にこだわらないラップも披露していた鬼だが今作では初期のスタイルに戻っており、トラックとの相性も良い。


聴くまでの導入とアルバムのリードに不快感があるが、曲単位でならいいものもある、といった感じか。