日本語ラップ研究所


(2012/04/18発売 ウルトラヴァイヴ / Kix Entertainment \2,500)

[日本語ラップ研究所的アーティスト解説]

福島県いわき市出身。今作が1stになるのだが、先行シングルがあったり、アルバムに関わっているメンツを見れば実力があるのは確かだろう。

特徴的な高い声と鬼ゆずりの独特のフロウで客演アーティストと別のアプローチをしており、MCを招いた曲はどれも退屈しない。特にシングル曲はデリとミクリスのコンビネーションの前に存在感のあるラップができている。

日本語ラップアルバムとして売り出されているがレゲエ色も強い。トラック、テーマやフロウなど、ヒップホップとレゲエ両方を本格的に挑んでおり、ハイブリッド・スタイルといえる。

バランスの善し悪しは聴く側のヒップホップとレゲエの聴く配分によると思うが、ここ最近で大衆寄りになったレゲエとよりアンダーグラウンド化したヒップホップとのギャップは否めず、不協和音がある。

また、曲順も問題だが扱うテーマに統一感がなく、アルバムとしてはまとまりに欠ける点や被災地出身のMCとしての発信があまりにも無さ過ぎる点など、技術は認めるが作品に仕上げる過程での問題点の多さは感じた。

-Track List-

01. 文章 ~document~ feat.

pro by Jaza Document

02. A Cold World feat.桜我 a.k..a shu

pro by Tracl Pros

03. Live in dark feat.Zeus

pro by Flammable

04. Don't Stop Me feat. HI-D

pro by DJ High D

05. Lasting Page feat. Y.K.T

pro by Dub-T

06. スキナコトダケヤッテ feat. Rien

pro by Buzzy Beatz

07. Link Up Sound feat. Ragga G

pro by Black Eye

08. Against feat. Deli & <オロチ> & Mikris

pro by Flammable

09. gimme gimme ~Dazu Box ver.~ feat. Ninja a.k.a Greyfoxx

pro by Track Pros

10. City Sleeping feat. 亜矢

pro by Jaza Document

11. ホットケーキと汚れたスニーカー ~Dazu Box ver.~ feat. Migalskie

pro by Yosen

12. Don't Cry feat. Nicky Luciano

pro by Track Pros

13. .... feat. Shyne

pro by Jaza Document


日本語ラップ研究所

(2012/04/11発売 Mary Joy Recordings \2,415)



[日本語ラップ研究所的アーティスト解説]

田我流:山梨県出身のヒップホップクルーstillichimiyaの一員であり、またソロでも活動するMC。アメブレイク他で取り上げられた映画サウダーヂ”(2011)に出演し、話題に登ったことで今回扱うに至る。





Stillichimiya,ソロ活動でも多くの作品を出しており、スタイルとしての完成度は高い。サウダーヂの後という事もあるのだろう、映画的な表現が多く、またリリックの描写力が優れており、フィクショナルだが全体的にメッセージ性の高い作品が多い。教養的な引用も多く、パーティノリというよりも社会的・文学的な雰囲気の作品。



田我流の話芸ありきの作品なため、トラック自体に大きな主張はないが話題から空気全体が重くなりすぎないように上手くラップに沿って支えている印象だ。



ラップはエモーションに任せスピットする手法と冷静に論理を組み立てる手法の両方を同じ曲中でもうまく使い分けている。

2つの手法で声もラップの仕方も変わるのだが、前者の方は最近の般若の、後者はDejiに声・ラップ方法に酷似しており、テーマ、アプローチは良いが新鮮味に欠け、もったいない。





-Track List-

01. Intro

pro by Young-G

02. BTour Final At 一宮町桃の里フルーツ公園

03. パニックゲーム

pro by Bigben

04. ハッピーライフ Featuring QN, Omsb & Maria Of Simi LAB

pro by Falcon a.k.a Never Ending One Loop

05. やべ勢いですげー盛り上がる Featuring Stillichimiya

pro byおみゆきChannel

06. 決行のテーマ

pro by Young-G

07. ロンリー

pro by Young-G & 田我流

08. Resurrection

pro by Young-G

09. 愛のテーマ

pro by Young-G

10. Straight Outta 138 Featuring ECD

pro by Young-G

11. Saudade Featuring 今井瑠美子

pro by Young-G

12. あの鐘を鳴らすのは、、俺

pro by Young-G

13. 夜に唄えば

pro by Young-G

14. 教訓I (Bonus Track)

















日本語ラップ研究所


(2012/04/11 発売 File Records \1,980)

元・韻踏組合員、ミンちゃんの2nd

ジタニカ(自宅の2階)ミュージックと銘打った今作、プロデューサーは実質チェリーブラウンのみで、関わった人数もかなりコンパクト。

ロリコンラッパーとしてのリリックは無くなり、代わりにMCとしてはあるまじきチャラさの曲や、電子音使いでオタク濃度の高い曲、謎の超ポジティブ曲とたった10曲だがこれまでよりも色んなミンちゃんが楽しめる。

好みでない女性に対する暴言や本人の意図の掴めなさ、独特のものの考え方・言い回し同音での韻は健在。

ただライミングに関して言うと、リリック自体の密度が薄くなっていて物足りなさを感じるかもしれない。

U.Sのクラブシーン最前線を意識しアグレッシブなオケに対し、日本特有のギャル男っぽいセンテンスやインドアなリリック、(全体的に)温度の低いラップがあてられ、特有の世界観を作りだしている。

パンチラインが気持ち小粒だが新語をつかってラップした所は評価したい。

-Track List-

01. ナイナイ16

02. GAL

03. Buy it!

04. Cat Walk Poison

05. もっと笑ってよインターネット feat.Cherry Brown

06. ハッピータイム

07. いつものコトさ

08. 君たち女のコ

09. 時代

10. Yeahでごまかしてばかりの純情

All pro by Lil'諭吉

08 pro by Yuuyu Aensland


日本語ラップ研究所


(2012/04/04 発売 EMI Music / Bay Blues Recordz / Hood Sound inc \2,500)


言わずと知れたハマの大怪獣、オジロ5年ぶりの5thアルバム。



まず2006年の名盤「Rhyme&Blues」と通ずるものが多いと感じる。

ヒップホップアルバムを構成する、”MCとしての強さ外へ向けた発信(仲間)に対する意識ラブソングなどの要素を上手く配している。



純粋にMCとしての強さだけをうたった唯一の曲、profileのトラックが国産ですらない点や、この短さでラブソングが2曲もある点は少し気になるが。


トラックでいうとジャケから想像するほどウェッサイ色は濃くない。ブザビのシゲやパンピーなども参加し、12曲目に至ってはヌジャベスをサンプリングした曲も。



新たなラップスタイルを披露しながら、昔のスタイルでもラップし、アルバム全体でもマッチョ自分史のようだ。


言葉数を削り簡潔にし、行間に意味・意図を込めるラップスタイルはスキルの高さを感じるが、一方で聴き手にとっては汲み取りも難しく、表面的にしか楽しんでない層が多いのかもしれない。





-Track List-

01. Intro

pro by MAJOR MUSIC aka Bastiany & HirOshima

02. 呼吸

pro by DJ PMX

03. 半信半疑

pro by SHIGE from BUZZER BEATS

04. 異次元ポケット

pro by DJ PMX

05. Friend

pro by DJ PMX

06. Skit (Feat.MASTA SIMON from MIGHTY CROWN)

pro by PUNPEE for PSG

07. Profile

pro by Quincy Jones/Bernard G Worrell/Qd/O'Shea Jackson/Ice Cube/William Earl Collins/George Clinton Jr./David Lee Spradley/Gary Marshall Shider

08. Matrix

pro by Kut

09. Muddy Water

pro by DJ PMX

10. ロマンチック

pro by DJ PMX

11 阿吽

12. 証拠

pro by SHIGE from BUZZER BEATS











日本語ラップ研究所


(2012/03/16発売 DLIP Record \2,500)

もはや1stが入手困難なクラシックとなっている横浜藤沢からブラーミーの新作。

レーベルメイトであるダイナリーデルタフォースと同様にドス黒いトラックに和洋折衷の声ネタスクラッチも混じりヒップホップ濃度も高い。

ラップもダイナリとかなり似たスタイルだがクオリティも高く、各所に言葉選びの気遣いも見える。

ダイナリと違ったところでいうと、2MC構造を活かした2人の細かい掛け合いは見事。

といっても、ラップの掛け合いも方法として新しいものでもなく、全体を通して新たな技術や試みといったものは全くと言っていいほどない。

しかし、中毒性の高いフックの設計など、オーソドックスにかっこいいとされるものに正面から挑戦し、そのハードルを越えているという印象。

テーマの幅の狭さやそこからくるアルバムの起伏の無さ、メッセージ性が無さ過ぎる点も確かにある。

しかし、それを補えるほど、余計なことを考えずに第一印象でかっこいいと感じさせる力がある。




-Track List-

01. INTRO

02. CONTEST WINNER

03. BRING IT ON

04. NYTETIME DERBY

05. BIRDSTRIKE

06. AH -YEAH

07. ON FIRE

08. GUARDIAN

09. DOUBLE WOBBLE

10. POOR MAN WITH THE HORN

11 都会を背に -fujisawa zombie pt.2-

12. LIVE FROM THE UNDERGROUND

13. DLIPPIN' DA STAGE&PAGE (For The Real Lives)

14. ユキノメ -DEAD SERIOUS

15. AFTER THE LAUGHTER (Comes...)

All track pro by Nagmatic

Track 10 pro by Masta Pippen


日本語ラップ研究所


(2012/03/14 Granma Music Entertainment / P-Vine \2,500)


降神のメンバーでもあり、その歌詞の文学性にも評価がある、志人の正式には初のフルアルバム。

文学的な面は考察から省くが、ヒップホップが学の低い人間の音楽とみなす考えに対するアンサーであり、日本語ラップとしても稀有な作品なのは確かだ。


降神と比べてMSC色がなくなり、一部ダークな曲もあるがそれも含め詩人としての感性から発信されている。元々少なかった俗っぽい表現は完全になくなっている。

トラックの存在感が薄く、リズミカルにラップする場面が少なく、本来のフロウはソロアルバムとしては期待できない。

しかし全体的に詩の朗読のような淡々とした歌唱法で、韻を踏んでいることへの主張がないのだが、リリックの世界観を保ちながら、かつ信じられない量の韻を踏んでいる。

リズム感の無さと韻を踏んでいる箇所を自分で探す作業で降神とは違った緊張感が走る。

テーマからB-ボーイとしては作者の意図の汲み取りが難しいのは否定できない。

-Track List-

01. 自然生 -何処にも行かず此処で踊れ-

pro by Heliodrome

02. 狐の嫁入り -神様が棲む村のうた-

pro by Heliodrome

03. 一物全体 -輪廻転生・生命流転-

pro by Mongoika

04. 遺稿 改 生こう -腐敗地獄・陰-

pro by Scott Da Ros

05. 人間復興 -続・黄泉帰り-

pro by Kid Koala

06. 満月 -中庸-

pro by Sally Paradise

07. 身土不二 -恐悦至極・陽-

pro by Sibitt & Scott Da Ros

08. 新月 -心の宇宙-

pro by Sally Paradise

09. 忘れな草 -ひっそりゆっくりじっくりぐっすり-

pro by Eric Gingras

10. -たまゆら-

pro by Snailhouse

11 発酵人間 -回帰-

pro by Deadly Stare


日本語ラップ研究所

(2012/03/07発売 EMI Music Japan \2,730)

鎮座ドープネスがバンドスタイルで挑んだ今作は日本語ラップとしては珍しい、CMソングまで入った作品。

UMBでの優勝後初の作品だが、ヒップホップ観をぶちまける方向ではなく、むしろ

ヒップホップ内外に渡って鎮座のやりたい事を縦横無尽にやっている。

ジャケットの通り、まったりチルするための音楽。サウンドはほぼバンド音だが、全体を考えての作りなので構成はヒップホップ的だ。

ヘタなヒップホップサウンドよりもリリックのテーマ選択の幅も広がり、異端児らしさが全開。逆に単語はハードなヒップホップワードを織り交ぜ独特な緊張感も与えられる。

とかく完全に鎮座ワールドにどっぷり浸かる、といった感じでヒップホップの境界線を考えずに楽しめる。

鎮座ドープネスというMCの世界観を理解していないとつらい。また、確実に日本語ラップの本流と隔たりや同じグルーヴのアーティストや曲が少なさから、アルバムを聴いた後のテンションが持続しづらいのは確か。

-Track List-

01. intro

02. カンパイ

03. 朝起きて君は

04. のうてんき野郎

05. Just a 友達

06. OS

07. モグモグ feat. Leyona & Bun Bun the MC

08. feat. イルリメ & Sabo from Kochitora Haguretic Emcee's

09. はっする Live!!!!

10. ヒップホップ Is ...

11 モード -Doping Band Version-

12. わかってないのに

13. Outro

All track pro by Doping band

Track 07 pro by Evisbeats


日本語ラップ研究所

(2012/03/07発売 felicity / Space Shower Music \2,730)


フルアルバムとしては3年ぶり3枚目となる今作。


七夕野郎での経験や横浜の新人ミュージシャンとして多方面での活動がフィードバックされ、サ上の掲げるヒップホップ・ミーツ・オール・グッド何かがピッタリくる仕上がり。


尺が長くなった分きちんと起承転結ができ、前作”yokohama laughter”に比べバランスが良い。


相変わらずの角の取れた表現に加え、新たなラップスタイルまで披露し高めたギャグ濃度は過去最高。


その上で最後の曲では10分弱に渡るサ上のヒップホップ愛も表現されていて、サウンド面も含め、ヒップホップ濃度は悪くないデキ。

歌詞では程度は違えどヒップホップヘッヅなら誰もが経験した似たような体験談が語られ、良い意味で苦笑させられる。

歌詞で歌われている学生時代を今現在過ごしている10代には分からないかもしれないが。


サ上とロ吉のやるヒップホップとしては求められるものは出ている。あとは受け手がこれをヒップホップとして飲み込めるかどうか。



-Track List-

01. 3年ぶり3度目

pro by DJ Roope

02. よっしゃっしゃっす〆

pro byドリームトラクターズ (サイプレス上野&BEAT武士)

03. MUSIC EXPRES$

pro by Watt a.k.a ヨッテルブッテル

04. OH! WHAT A CONTENTS

pro by Yasterize

05. ready to drunk

pro by渡辺俊美 (Tokyo No.1 Soul Set / The Zoot16)

06. EX feat. MIC大将

pro by Watt a.k.a ヨッテルブッテル

07. 食後 feat. MIC大将

pro by Watt a.k.a ヨッテルブッテル

08. 契り~番外地~

pro by Latin Quater

09. YOKOHAMA AWESOME6 feat. SPECIAL OTHERS

pro by Special Others

10. GOLD DIGGER feat. NONKEY

pro by Fragment

11 ゴメンナサイ feat. サイトウ"JxJx"ジュン (YOUR SONG IS GOOD)

pro byサイトウ"JxJx"ジュン, Beat奉行

12. ヤサの詩

pro byドリームトラクターズ (サイプレス上野&BEAT武士)

13. ちゅうぶらりん

pro by後藤まりこ, ドリームトラクターズ (サイプレス上野&BEAT武士)

14. 日本語ラップKILLA

pro byドリームトラクターズ (サイプレス上野&BEAT武士)









日本語ラップ研究所



(2012/03/07発売 One Year War Music \2,835)


BL主宰レーベル、One Year War Musicの第一弾であり、サル(SALU)のデビューアルバム。


サルは北海道出身ながら、北のMC”的バイブスはなく最新の若手ラッパーの空気の方が強い。

日本語らしくない響きのフロウはかなりのモノ。だが、正直世代的にもラウデフとかなり酷似しているが、ラウデフ程のウィットの効いたリリックはない。

また、直球的にポジティブなメッセージが多いが若干23歳の新人ラッパーでは少々役不足な感も。差別化の意味も含め何かオリジナルな武器が欲しいところ。


トラックはBLOHLD2人体制。

前回取り上げたシーダの時と同じく、BLは未だディレクションの仕方がイマイチ。

一方でOLHDはあまり奇をてらわない、あくまでヒップホップのトラックメイクで、どちらかといえばOHLDがアルバムの水準を上げている印象でブックレットを見なくてもどちらのオケかはっきり分かる。


BLのネームバリューによる期待値の高さもあるが今後のリリースを踏まえると優先度は低め。



-Track List-

01. BALANCE

02. BURN IT

03. STAND HARD

04. JUST A CONVERSATION

05. DAREDEVIL

06. ITS YA BOY..

07. THE WATCHER ON WOODS

08. KAZE

09. TAKING A NAP

10. BUTTERFLY EFFECT

11 THE GIRL ON A BOARD feat.鋼田テフロン

12. IN YOUR SHOES

13. 夢から醒めた夢

14. TO COME INTO THIS WORLD feat.鋼田テフロン

1,3,4,7,8,9,11,14 pro by Bach Logic

2,5,6,10,12,13 pro by OHLD









日本語ラップ研究所

(2012/02/29発売 EMI Music \2,500)

シーダ9枚目のアルバムは前作に引続きEMIから。

まず、引退騒動以降の煮え切らないスタンスでの曲が無くなり格段に良くなっている。

さらにアルバム前半はサイバイマン系統の狂ったパンチラインが多かったり、メジャーでむせたり、とここ最近ではかなりエッヂの効いたシーダを聴ける。

後半はリリックのネタ切れ感や、マス向けにシフトした、落ち着いた曲になるがメジャーというフィールドや前半の健闘を考慮すれば…といった感じ。

だが、BLやスカイビーツと豪華プロデューサー陣ながら、トラックがイマイチ。

ハウスやロック風味の味付けで中途半端。これぞヒップホップ、と呼べるものが少ない。

またシンプルさにも欠け、必要以上に色んな音があちこちで鳴っているという印象の曲も。

フックを英詞のフロウで持っていくスタイルではトラックでヒップホップさを出さないと何を聴いているのか分からず、アルバム後半のヒップホップ濃度については疑問が残る作品といえる。

-Track List-

01. BURBS

pro by Digitalbeatz

02. SENCE

pro by Bach Logic

03. 運命

pro by Sky Beatz

04. DRIFT

pro by Bach Logic

05. 小金持

pro by Bach Logic

06. TOKYO KIDS (feat.BIG-T)

pro by ANR

07. DREAMZ

pro by Digitalbeatz

08. PURPLE SKY

pro by Crada

09. ISSO Skit

10. HOW FAR MY FRIEND

pro by Sky Beatz

11 LIVIN'

pro by Bach Logic