分かっているようで分かりにくい表皮効果について少しだけまとめてみます。

どうも勘違いしている人もいらっしゃるようなので。

 

↓部分的に勘違いの例です(玄人が素人の質問に答えるコーナー? 玄人が勘違いを素人に教えています

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③遠くの距離に電気を流すときに電力が減衰しにくいように、元を高周波変換しておいてから各家庭の近くまで?流すので、高周波交流電流で発生する表皮効果が起きにくい細い線を束て使う必要性がある。

 

の3点のようです。

 

「表皮効果っていうのは、オーディオケーブルでも起きるのですよね?」

 

起きません、それは誤報あるいは無知識だと思います。

 

  ~ 中略 ~

 

ですので、オーディオの50-60Hzという低周波の交流電流や、接続ケーブルの20-20kHz程度の周波数の電気信号で起きることはありません。

 

GHzあたりで起こる物理現象ですよ。

 

「そうなのですね?」

 

はい、この日刊工業新聞社の電線ケーブルの本にも解説があります。

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いきなりですが、

各家庭の近くまで「高周波変換しておいて」「流す」ってのは

間違いです。正しくは高電圧にしておいてでしょう。

同じ電力を送電するなら電圧が高い方がロスが少ないから。常識です。

ピンと来ないひとはネットで検索してみるといいです。

 

次に表皮効果は物理現象なのでオーディオ分野で起きたり起きなかったりするものではなくていつでも起きてます。

正しくは耳で検知できるほどの差が生まれるか生まれないかじゃないですかね。

 

高圧の送電線は 50Hzまたは60Hzの電力を送電しているんですが、

電気が流れるのは内部でなくて外側の方がメイン。

「GHzあたりで起こる物理現象」ではないです。いつでもどこでも起きます。

 

Electrical Like さんのページから引用します (https://twitter.com/Electrical_Like

 

引用ここまで

 

『表皮深さ』がポイントになります。

表皮深さが1mmなら、直径1mmの電線のばあい内部も電気がよく流れますよね。

表皮深さが1mmで、 直径が10cmの極太線だったら・・・外側しか電気が流れないように見えますね。

外側とか内側とか、それは相対的なもの。どんな太さでも絶対に外側しか電気が流れないということではありません。「ケーブル径」が「表皮深さ」よりも「小さい」場合に、表皮効果は無視できる感じでしょうか? (私は電気の素人です)

 

『表皮深さ』は計算で求まりますがここでは計算式は省略して結果のグラフだけ紹介します。先ほどの Electrical Likeさんのページからです。

周波数が高くなると、どんどん深さが浅くなっていくことが直感的に分かります。

そして 西日本の電力輸送で使われる 60Hz(高周波じゃないよ)では

8.41mm です。

直径8mmのケーブルなんて一般家庭には無いので気にする必要はないですね。

もちろんそれより細いケーブルなら60Hzの表皮効果の影響は無視していいでしょう。

ただし、オーディオアンプではダイオード整流がまだ主流なので消費電流の波形は60Hzから大きくかけ離れています。

針のように鋭い間欠電流が大出力時にはことさら発生します。電力波形の頭の部分だけつまみ喰いして、波形の頭を平らにする悪い奴です。高調波とも言うかもしれません。

 

このようにオーディオにおいては、消費電流が 60Hzではない以上、

家屋への太い引き込み線が音質に寄与しても全く不思議ではありません。

 

少し脱線しましたが、60Hzでの表皮深さは

8.41mm でした。これは 送電線 を考えるうえで意味を持つ事になります。

TEPCOさんのページから引用します。

これが電線のすべてではないですが、直径が4cm近いことに着目してください。

表皮深さよりも太いですよね。送電線は軽さも重要なのでアルミを採用して

中心部は強度を持たせるために  線です。※文字が小さいと銅と見間違えてしまうかも

中心部はあんまり電流が流れないので別に "鉄" でも良い訳なんですね。

長距離の高電圧輸送に  は 使わていない様子です。

 

似ている漢字には注意しましょう。

実話ですが、「酸素はタンパク質でできている」という話。もちろん間違いです。酸素はもう原子「O」だから何と何と何という材料から作られるもんじゃない。この人は 「こうそ」 という漢字 を 「さんそ」 と 読み違えていました。これ、どう考えてもおかしいと書籍を手に持って私に相談してきた人がいらっしゃいまして・・・、漢字の読み間違いと判明しました。

基地と墓地も間違いやすいですね(笑)

 

おなじ教科書、本を読んでいても 正しく読めるとは限りません。

それは学校でみんなテストで100点とれていた訳でもないし会社のテストでもおなじこと。

 

冒頭の勘違いの事例も似た感じで、書籍の読み間違いでほぼ間違いありません。

件の御仁が読んでいたのは下記の本でしょう。

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい電線・ケーブルの本 (書籍)

 

↑こちらのリンクから試し読みができますので是非読んでみてください。

これを読むと、どうして冒頭の勘違いが発生したのか何となく予想がつきます。少し引用します。

 

この引用部、赤枠は私が付けました。

赤枠の部分が電力線の話です。

そのすぐ後ろに「通信や放送、制御などの情報伝送では、」と続きます。

勘違いの御仁は、この主語を読み飛ばしてしまったのでしょう。

電力線も周波数を高くするのだと間違った認識をして、それを人に教えてしまったのは

読み飛ばしが原因というオチなのかと想像します。

赤枠の中に丁寧に「西日本で60Hz、東日本で50Hzの周波数が用いられています」とあってその低周波との対比で通信の高周波へと話が繋げられている訳なので、人に説明する前に違和感というか認識の矛盾に気付くとよかったです。

 

私も?「高圧線の中心部は鉄か何か強度の強い材料が採用され、電流がほとんど流れないから電導が悪くても別に構わない」

という知識だけがある20年程前には『高圧になればなるほど表面を流れるようになるのかな』と想像していました。

実際には電圧は関係なくて、周波数が大きく関係する。↓Electorical Like様より引用

(電圧は式に含まれていない)

50とか60Hzといった低周波であっても "線が太い"  場合には 中心部にはあんまり電流が流れない。

 

これが nightwish_daisukiのまとめでした。

※私は電気の素人です。間違いあれば修正します。

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勘違いおまけ:

80年代から90.年代にTechnicsやSONYからツイーターやスコーカーの位置をウーハーよりも後退させたリニアフェイズ思想のスピーカーが多く世に出されました。こられを説明する内容に「低音よりも高音の方が先に耳に届くから」という理屈がありました。これ、ギリギリ間違いではないのですが、、、編集者?の中には「高音の方が音速が速い」と認識している人も居た気がします。遠い日の記憶なので何の本だったか今となっては分かりません。とりあえず低音も高音も音速は同じです。

では何故、スピーカーの低音側が遅れてしまうのか? それは低音と高音を分離するネットワークの存在です。フィルターをかけると特に低音側に遅延(群遅延と位相遅れか進みかどちらか)が発生するというのは、コンピュータが普及してシミュレーションが簡単に出来るようになってから実感するようになったのでした。昔は分からなかった事が後から分かるというのはよくありますし、分かると気分が良いです(^^)

 

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