先日、『〇線の腐食についての総〇』なる日記を目にしました。.

※一般人ではなく商売されている方なので表現はボカシてあります.

 

で、それ見たらなんか凄いんですよ。

引用するのも憚られるのでまとめると

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1.銅は表面しか酸化しないから長持ち

 

2.銀は内部まで腐食するからクソ

 

3.手持ちの銀ケーブルを測定したら

なんと、3.785Ωもあります!」「前より上がったような。

Ref.  銀線は、導線の役割を果たしているのか?と考えさせるくらい
 

4.銀は製造した直後から腐食が始まるからケーブルには適さない

 

5.銀は被覆しても腐食する

Ref.  また、被膜してもあまり意味はありません、

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ご丁寧に別の場所から論文のグラフなど持って来て

いかにも正しい事のように。 いやはや・・・

 

こちらの御仁、いいところの工学部のご出身で.

学生の時分は「繊維」と「物理化学」が専攻だったと。で、

ちょいちょい業界とか会社に対する批判めいた発信されてますねぇ。

だから? 素人の私が ちょっとくらい 批評しても 大丈夫でしょう(笑)

 

時は少し遡りますが 下の写真は御仁が

なんだか静電気を測定している様子らしいです。 ※必要箇所以外はモザイク

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これ、測定のやり方がマズイっす。

シムコ静電気測定器 FMX-003 の取説からかい摘むと

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・接地してた? 

 

・距離が近すぎる。指定は2.5cm。

 赤色インジケータが一つの丸になるように。


・FMX-003の ボディ は "導電性" なので 対象物と接触 すると

 静電気を帯びていたものがアースに繋がるのと同じなんで
 静電気が抜けて "殆どゼロ" になりそう。写真をみると今にも接触しそう。
 2.5cmの指定は何処行った?
 
 
~ 中略 ~
 
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要するに、私の目からみて

取扱説明書を 読んでない気がする。

そんな測定が信用できると?        .

↑ 畳の上に直置き & 測定対象物のCDを接触状態で載せている

導電性ケースを素手で持っていればまだマシだけれど、手から離したら

アース端子に接地が必要でしょう?

 

軽く、眩暈がしてきます。

電気の事は苦手なんでしょうかね。

 

話を戻します。銀のケーブルをディスっておられる件でした。

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1.銅は表面しか酸化しないから長持ち

 

2.銀は内部まで腐食するからクソ

 

3.手持ちの銀ケーブルを測定したら

なんと、3.785Ωもあります!」「前より上がったような。

Ref.  銀線は、導線の役割を果たしているのか?と考えさせるくらい

 

4.銀は製造した直後から腐食が始まるからケーブルには適さない

 

5.銀は被覆しても腐食する

Ref.  また、被膜してもあまり意味はありません、

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上記、 手持ちの銀ケーブル に フォーカスを当ててみます。5万円くらいしたそうです。

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これだと何だか分かりません。拡大してみましょう。

明るくしたら  WBT の文字が見えてきました。

見た目は nextgen(ネクスジェン)シリーズ の 銀バージョン

WBT-0102Ag にソックリ。

 

ヨドバシだと5万円でお釣りくるくらい  ※ケーブル部は別!!

プラグだけで5万円くらいするので、ケーブル部は純銀ではなくて

銅に銀メッキですよね? 常識的に考えれば。

5万円はほとんどプラグのお値段。

 

まぁその5万円は 本物 だったらのお話。ヤフオク!などの魔境で購入したら何が来るか分からない。

偽物は中国のお家芸。

プラグが偽物で、導体に全力振り切って純銀、メッキじゃない5Nレベル?の

銀導体ケーブルってのはなかなか無いですよね。

 

何が言いたいかというと、銀だから「3.785Ω」なんじゃなくて

アヤシイ商品だから「3.785Ω」とゆー数字が出てくるじゃないのかな?ってこと。

 

はっきり言って、銀が そんなに 早く "内部まで" 腐食して役に立たないなら

銀食器やら銀アクセサリー、磨いても簡単には輝きを取り戻さないだろーし

銀めっきケーブルなんて 使い物にならない事になっちゃう。

でも実際は、航空宇宙・軍事そっちの分野のハードな要求のは

ほとんど銀めっきケーブルなんですよね。

最近皆さんも耳にしたかもしれないのは2019年に退役したスーパーコンピュータ「京」のケーブルを流用したオーディオケーブル。これも当然、銀メッキ。

 

 

 

F35採用のケーブルも銀めっきですよ?。耐腐食性に対する要求は厳しいはずですが?

 

スーパーコンピュータ「京」のケーブルを納入したのは日本の「潤工社」です。

競合他社も居たらしいですが厳しい要求を達成できたのが「潤工社」だけ。だったと。

引用ここから

 

潤工社のコンピュータ用ワイヤ・ケーブル開発。その歴史は40年を超え、光伝送速度の95%を実現したEPTFE誘電体によって、大容量高速デジタル伝送に欠かせない低スキュー・低ロスを実現してきた。

そんな長い歴史の中で、あるお客様から、国家プロジェクトに協力してもらえないかとお声がかかったことがある。その要求内容は、品質・性能・供給能力において、世界のどの企業も不可能と思われるものであった。しかし、潤工社は、これまでに積み上げてきた技術と経験を活かし、あえてチャレンジすることを決断した。

そのプロジェクトとは、文部科学省の指導の下、理化学研究所が中心となって開発をおこなっていたスーパーコンピュータ「京」であった。

 

要求仕様を全てクリア

スーパーコンピュータ製作会社は、試算段階において、1,000万mを超えるケーブルが必要と算出。その膨大な量から、当初は複数ベンダーからの供給が想定されたが、最終的に要求仕様の全てを満たせるのは潤工社1社のみと判断された。中でもペア内スキュー(ツイスト線ペア内の時間差)については20ps以内と、一般的ケーブルの5分の1もの高水準が求められた。さらにリターンロスやビットレートの向上も課題であった。

担当者は毎週のようにスーパーコンピュータ製作会社のオフィスに通い、念入りに試作品の打ち合わせを重ねた。

その結果、20ps以内のペア内スキュー、8対から16対への多芯化という、難易度の高い要求仕様を全てクリアした。

 

技術とノウハウの結晶

しかし、大きな壁が立ちはだかった。前例のない月産9万mの生産が必要となったのである。これに対応するため、初期段階から製造も入った全社的なプロジェクトを編成。さらにケーブル専用製造設備を設けて、スキル認定された専任のオペレータだけがラインに従事した。関わるメンバーは全員同じフロアに集結し、全工程をシームレスに結んで生産プロセスの連携と時間効率性を極限まで高めた。毎朝、各工程のリーダー総勢20名近くが集まり、課題を共有して予兆管理を徹底。各工程で問題が発生した場合も、関係者が即座に集まって問題解決にあたる。そのような品質管理に心血が注がれた。

最終的に、総距離3,500万mにもおよぶ高速伝送用ケーブルを納期遅れなく納入するという果敢な挑戦を成し遂げた。さらに、「2011年の納入開始から2019年8月の終了に至るまで、ハードに起因するトラブルはゼロ」という誇るべき結果となり、エンドユーザーである理化学研究所、およびスーパーコンピュータ製作会社から高い評価を受けた。

日本の威信をかけた国家プロジェクト。その性能と「京」による科学的シミュレーションを、潤工社の技術とノウハウの結晶である大容量信号伝送ケーブル技術が支えたことは間違いない。

 

引用ここまで

 

と、このような技術を持つ「潤工社」。

銀めっきケーブルは Thomann S-75mk2のGNDラインに活かしています。

いままで何名かの人に この 潤工社 の 銀めっきケーブル裏打ち版の S-75MK2 が届けられました。

FEP絶縁 銀メッキ軟銅線 2.0sq 潤工社 ジュンフロン電線。

リール買いしています。100m。今は96か、97mくらいだと思います。

少しずつ使っているので・・・。これがね、あっという間に腐食して

抵抗値爆上がりされたら困るってもんです。

 

件の御仁は 1kHz の周波数で 抵抗値を測定していましたね。

御仁と おなじ 測定器で やってみます。

 

あ、その前に有名な BELDEN の ウミヘビ の抵抗値。

ただしこちらは直流での抵抗値を参考までに。

 

実測!!ACR(交流抵抗)≒ 1.049Ω/95m @1kHz

ぐるぐる巻きにしてある状態なので コイルになっている面もあるため

実際よりも大きめの数字が出ています。100mリールの新品でなくて

何mか使って短くなっているので  1.048Ω/95m としています。

御仁は 見た目 1~1.5mで 既に 3.785Ω ! なので

普通は何か異常だと判断しますよねぇ? 「銀だから仕方がない」

とは ならない。 銀は腐食する・・・っていう先入観があると

疑う事が出来ないものなのかなぁ。。。 日本の 工学部  だいじょうぶか?

 

 

 

次に、BELDENの公表値とおなじ 直流をみてみます。

コイル?というかL成分が反映されないので ACRより低い値が示されるはずです。

実測!!DCR(直流抵抗)≒ 0.84Ω/95m @DC

 

測定に用いた ジュンフロン線は

大きく見積もっても 100m引っ張って 1Ωを少し超えるくらい。

比較用の? BELDENのウミヘビも

100m引っ張って 1.4Ωくらい。※多分保証値なので実際はもっといいかも

御仁の銀ケーブル 1m~2mで 3.785Ω なんてのは クレイジー。

予想ですが ヤフオク! で、とんでもない偽物を掴まされたなじゃないですかね・・・。

偽物を掴まされた不運と、銀は腐食して使い物にならないという思い込み

二つの不運が重なったしまった。そんな気がします。

 

ちなみにケーブル界隈は偽物だらけなので・・・ 購入するときは気を使います。

とりあえずオークションは問題外。 自分は普通のショップ(tomocaとか)

今回のジュンフロンは秋葉原の電線店から購入しました。

Amazonは便利ですが最近は怪しいショップが消えずに残っているイメージがあるので

自分は信用が必要なものは Amazonでは購入していません。

 

おまけですが、銀は空気に触れていると 黒くなります。

酸素とくっついてじゃなく硫化らしいです。

中学の授業で黒い酸化銀を熱して白い銀と酸素に分離する実験したと思いますが

あれは・・・280℃か300℃くらいだったはず。

熱しても200℃く程度に抑えておくと黒くなるだけで 銀と酸素には分離しないと思ふ。

今は試薬は個人が購入できなくなったので追試できないや(^^;

爆弾作るアフォがおるから不便になる。Shit!!

 

で、どうやって 本物の銀かどうか確認したらよいのだろう?

一番いいのは 成分分析機にかける事です。

↑これ欲しいなぁ・・・ 500万くらいしそうだけど(無理)

 

検査試薬も高いし、自分が考えたのはキッチンハイターをぶっかける事!!

拙宅にある 銀めっきケーブルは一応ぜんぶ 黒くなった。

 

BELDEN(錫めっき)は ぶっかけられても動ずる事なくぴかぴか光沢を保っていました。

錫めっきと銀めっきは光沢が違うので見た目で分かりそうですが、

不安になったら キッチンハイター ぶっかければ 良さそうです(知らんけど)。

 

とりあえず、ネットリテラシーが大切って事です。

私は電気も金属材料も素人なので私事を頭から信じてはダメですよ。

ちゃんと自分の頭で考えましょう。

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2023/10/08追記:

もう少し書くと、御仁の測定では観測された抵抗値がプラグ部で発生しているのか?プラグと導体の接続部で発生しているのか?導体部で発生してきるのか? 全くわかりません。 テスター?のリード線の抵抗値は幾つなのか? それも分からない。  それなのに、一方的な決めつけで銀に責任を転嫁しているのが、少しでも科学に携わる人間としては有り得ない態度ではないのか?と個人的には感じてしまうのです。 繰り返しになりますが、御仁のケーブルが本当に銀なのかどうかすら今となっては疑わしく思えてくる。

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2023/10/11追記:

音楽関係だと フルートは銀(または銀めっき)が多いですよね。

銀は温泉地近くでの硫化や塩化には弱いけれど、酸化に関しては銅よりも酸化しにくい。そういう意味で腐食しにくい金属と言われているみたいですけどね。。。

 

大坂教育大学様のページから少し

 次は銀です。銀は紀元前3000年頃には使われていたと考えられています。語源は輝く,明るいという意味だそうです。当時,銀は金よりも価値があったようです。銀行の銀はもちろんAgのことです。
 銀は主として輝銀鉱AgSとして産出します。また,遊離銀として存在することもあります。
 銀は,金属の中でも最も電気伝導性や熱伝導性に優れた金属です。また,空気中では酸化されにくい金属です。したがって,指輪や食器に使われるのです。
 
 
銀の酸化数は,主に+1ですが,+2や+3も存在します。高校では,+1だけと考えても大丈夫です。
 銀といえば感光性ですね。写真のフィルムの感光膜は,塩化銀や臭化銀の微粒子を分散させたものです。これが光に当たると,銀塩が分解して,遊離した銀原子が数個集まって潜像ができます。これに還元剤を加えうると,銀塩が還元されて銀の粒子が大きくなり,黒い像が見えるようになるのです。

引用ここまで

 

toshi.hnfo様より 錆にくい金属のランキング

引用ここから

貴金属に代表される、金、白金、プラチナなどは錆びないと言われていますが、こうしてランキング別に見ると、「金」「白金」「イリジウム」あたりがもっとも錆びにくい金属であるということになります。また金の酸化物(Au2O3)は吸着反応を示すことと、不安定でもあるため、金は空気中ではほとんど酸化しないとされます。ただ、たとえば以下のような酸に侵された場合、同じ貴金属でも異なる反応を示します。

各種酸に対する貴金属の耐性
薬品名 貴金属の挙動
硫酸 銀は若干溶解する。金、白金、パラジウムは溶けない。
硝酸 銀は溶解する。金、白金、パラジウムは溶けない。
塩酸 金、白金、銀、パラジウムともに腐食、溶解しない
王水(塩酸:硝酸=3:1) 金、白金、パラジウムはいずれも溶解する。銀は溶解しない。

なお、銀もここでは腐食しにくい金属となりますが、ジュエリーや宝飾品として使う場合は、「変色」が問題となります。銀の表面には、黒錆が発生しやすいといわれていますが、これは厳密には錆といえるか微妙なものです。黒錆の実態は、硫化銀の膜であり、硫黄と銀が反応したもので、銀そのものをボロボロに腐食させてしまう類のものではありません。また塩化銀の膜も同様です。こちらも塩素と銀が反応して作られた膜が変色して見えるため、錆と呼ばれることがあります。

引用ここまで

 

 

最後に、三鷹金属部分化工所様より

銀の特性

銀の特性として、独特の色調は古来より尊ばれてきました。
それは金とならんで装飾品全般に活用され、今日でも、装身具や食器、楽器など、光沢銀めっきが利用されています。

銀めっきは装飾上だけでなく、
・管楽器に銀めっきを施こす事で音色がよくなる
・洋食器に銀めっきすることで水分の中の微生物が殺菌され、衛生上きわめて好ましい

などなど、あまり知られていませんが銀めっきには目に見えない利点が存在するのです。

引用ここまで

 

 

古銭のなかには銀貨(一分銀とか)もありますし。手にとっても腐っているようには見えません。銀が内部まであっとゆーまに腐食して、特性(高い電気伝導度?)を失うなんて ニワカには信じられないです。 ″被覆しても″ 腐食は不可避。 そんな内容の 主張を見ていたら、製造からまだ新しい潤工社の銀メッキケーブルが拙宅に在る事もあって、その銀メッキケーブルが良好な電気伝導度を保持/維持している事をこの日記で示したかった。 銀メッキケーブル、いや、潤工社への汚名を晴らしたい 想いもありました。 結果は見ての通り。 わざわざやるまでもない実験でしたけど、3.785Ω なんて値を見せられたら、やらざるを得ません。 それにしても日本の工学部は大丈夫なんだろうか。

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