
「風の行方と波乗りたちと」
軽やかに鳴る匂い、熱の風をふくらませ、
雨期の終わりを告げている、
色とりどりの雲の陰影、瞬間だけ虹にさえ、
波乗りたちは灯火の下で、タバコふかせて波を待つ、
コンテナハウス、去年の夏の潮の匂い、
止まったままの時計の時刻、飲まれて消えた誰かの片身、
枯れ木を重ねて火を点けた、夜のことを忘れない、
あの晴れた夏の日の、かぶりつきにきた波は、
凪ぎ海ばかりに退屈してた、波乗りたちを飲み込んだ、
廃船集う無人の島に、ボードだけが漂着してた、
苦いコーヒー、重い瞼が閉じないように、
シケたナッツを頬張って、夜を徹して波を待つ、
憂さ晴らしにカードゲームを、ジョーカーだけは抜いている、
そして彼らは波を待つ、地上を飲み込む意思を持つ、
巨大な波を乗りこなす、
軽やか足癖、鳴らすステップ、
ラテンギターの音色にも似たフラメンコ、
レフトハンドのぎこちなさ、赤い弦ならちぎれちまった、
波乗りたちの崇高な、そのうえ陳腐な想いに合わせ、
横たわる希望のなさに嘆いてる、
それから空を眺めては、形見の時計を投げ捨てた、
ツバメ飛んでた、昨日よりも低空飛行、
海辺の街に夏の到来だけ告げた、
昼からシェリーをあおっては、ビキニたちを眺めてる、
ただ、憧れがあるだけで、
ただただ、きれいな姿が好きで、
軽みさえ吹く熱の風、季節がまた変わるらしい、
雨期の終わりを告げる、
泣き出す鳥がエメラルドの波がくるって、
殺した日々を忘れてしまえと首を振る、
殺した昨日は忘れちまった、海鳥が舞う夢を見た、
やがて来る高い波、
命知らずの波乗りたちは風が叫ぶの待っている、
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