
「クラシック」
エイブラハムが描いた船の設計図には、舳先に白い花をくわえたイヌワシ、
営巣地に還るはずの鳥が羽ばたく、そこの花は白だと決まっているんだと、
ヨセミテ・サムに伝えてた、
話しかけども返事はない、手紙のなかのヨセミテ・サムに、
愛を乞う人、謳う者、どちらも本当はないものねだりさ、
与えられしと思うからこそ手にできないと嘆くばかりで、
流れる風には見下ろす羽根の群れ群れが、
窓辺に頬杖、思い煩う人に気づかず過ぎてゆく、
ほころび始めて微熱を持った、体温にも似た潮風は、
銀の混ざるエイブラハムの乾いた髪を撫でている、
海図は子供の拙い夢ばかり、油に滲んだ半世紀は過ぎた世界、
夏を待っては黄昏れごろの渚を駆けた、東へ伸びた華奢な影を思い出そうとしかしおぼろげ、
ヨセミテ・サムはコヨーテ抱いてそばかす散らばる笑い顔、
ほんの少し前なのか、それとも時間のまんま遥かに過ぎた青い季節か、
夕陽のオレンジ、エイブラハムの部屋を黄昏れさせてしまって、船の絵たちは燃えてしまったような気がした、
閉じた瞼に焼きついて離れてくれない、少年たちは鳥を追ううち風のように過ぎてった、
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