釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~ -221ページ目

ウェーサーカ祭の盛況ぶりに驚く


5月24日に、初めて「ウェーサーカ祭」に行ってきました。釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~-ウェーサーカ


主催は、日本テーラワーダ仏教協会です。
(テーラワーダ=上座仏教。いわゆる小乗仏教、とは言いたくないけれども。より、釈迦に近い仏教です)
上座仏教の国である、スリランカやタイの大使館が協賛しています。


上座仏教では、お釈迦さまの誕生日、悟りを開いた日、入滅(亡くなった日)が、すべて5月の満月の日に起きたと伝えられているそうです。


その日を祝う「ウェーサーカ祭」は、釈迦仏教を信じる人たちにとって
ものすごーく大事な行事だそうです。


まず驚いたのが、その盛況ぶり。
定員750人の会場が8割方埋まっていたようなので、まあ550~600人は来ていたでしょう。
けっこう若い人もたくさんいました。

大乗仏教の国・日本で、上座仏教に興味がある人がこんなにいるの!?


次に驚いたのは、壇上に、上座仏教と大乗仏教のお坊さんが、並んで参加していたこと。
これは初めての快挙、らしいです。

向かって左側に、主にスリランカの上座仏教のお坊さんたち、
右側には日本人の真言宗・曹洞宗・臨済宗のお坊さんたち。

講演をしたのは上座仏教の先生方なので、
大乗のお坊さんが、ちょっと苦笑してるっぽい場面もあり・・・。


イベントの内容はおいおい書くとして、
いろいろな面で日本の仏教テイストとは違う、新鮮な体験でした。

いつか、タイやスリランカのウェーサーカ祭に行ってみたいなあ。
という、新たな人生の楽しみがひとつ増えました。



<式次第>==========================

【日時】2009年5月24日(日)13:00?17:30(開場12:00)
【場所】国立オリンピック記念青少年総合センター
【料金】無料/要申込み/満員に成り次第受付終了(エントリーフォーム)
【主催】日本テーラワーダ仏教教会
【協賛】駐日スリランカ民主社会主義共和国大使館・駐日タイ王国大使館・正山寺国際仏教センター
【内容】
12:00 開場
12:50 スライドショー「釈尊の一生とインド仏跡を訪ねて」
13:00 仏讃法要
14:00 記念講演『仏教の開祖 釈尊』講師:前田惠學博士
15:00 法話 スマナサーラ長老
16:00 質疑応答
17:00 祝福の読経
17:30 終了

佐々木閑先生×藤田一郎先生 その2


釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~-龍雲寺セッション講演「仏教と科学の接点」のお話、その2です。

続いて、佐々木先生が仏教のお話をされました。


(写真は、会場の世田谷・龍雲寺に咲いてたお花)



◆ 世界は75の要素でできている! ◆


・仏教誕生前、世界はブラフマン(梵天さん、バラモンと同じ言葉)という
 神が創って、動かしていると信じられていた。
 でも、この梵天さんは、優しいだけでなく、ときに恐ろしい神。
 カースト制度も含めて、ブラフマンが作った。


・そこでお釈迦さまは考えました。
 「それは、違うんじゃねーの」?

 じゃあ、神じゃなくて、どうやって世界は動いているのか?
 といったときに「法則で動いている」と。

 しかし、2500年も前に、よくそんなことを考えたものです。
 キリストが生まれる500年も前ですよ。釈迦はスーパー天才だったのか・・。 


・釈迦がなくなったあと、弟子たちが朝から晩まで「世界の成り立ち」を考えた。
 そして、世界をどんどんどん細かい「要素」に分解していったら、
 七十五に分けられた。これが「アビダルマ」の「七十五法」。
  (その一覧のコピーを配ってくださいました。中村元『仏教語大辞典』から)


・「これが”有”の哲学の全容です。
  つまり、釈迦仏教では”宇宙は実在する”と考えていたんです。
  よく言われる”空”の思想、あれは大乗で出てきた考え方ですからね。
  アビダルマの”有”を否定するために」(佐々木先生)


  そうだったのか! やばいやばい。



◆ 「わたし」はあるけど、「無我」である! ◆


で、弟子たちが、世界をどれだけ細かく分解してみても、
そこに「我」は見つかりませんでした。「我」は要素の集合体だったのです。


「仏教では、”わたし”(=自意識)という言葉は、平気で使います。
 でも、”わたしに実体がある”としたとたんに、拒否します」
と佐々木先生。


”はい、これがわたしです”と示せたり、永続したりするものではない、
それが「無我」の思想で、「わたし」という意識がないわけではない。

難しい!! 

でも、わたし=「シナプスの電気信号の伝達パターン」と考えると、
なんとなく「無我だよな」と感じました。というイメージであってるのかなぁ・・・。



◆ 時間はコマ割りである! ◆


映画のフィルムは、実は1秒間に24コマの静止画をつなげた、
超ハイスピードの紙芝居です。


なんと、仏教の考える「時間」もそうなんですって!

常に流れているわけではなく、「刹那」という単位のコマ割りだと。


私が前に読んだ本では、「刹那=75分の1秒」とあったのですが、
1秒間に75コマ。映画より3倍もスムーズなフィルムです!


例えば、今、目の前に「佐々木閑」という先生が動いていますが、
それは静止画像を何万枚も見せられているわけで、
しかも1枚たりとも同じ画像はない。
その総体を佐々木先生だと思っているだけで、
「佐々木閑」という実態があるわけではない。


で、このフィルムを回す映写機を止めること、それこそが「涅槃」だというのです。
「時間を超える」、生も死もない、それが仏教の目指す「涅槃」だと。

これが「時間論から見た無我です」と、佐々木先生の刹那の集合体はおっしゃいました。

目からウロコ落ちまくりであります。



「わたし」「無我」「無常」「空」・・・このへんは、本当に概念が難しくて、
ごちゃごちゃに使ってるインチキ仏教本もあるように思います。


ちなみに、この「仏教と科学の接点」シリーズは、第3弾が11月にあるそうで、
次は「フラクタル」(だっけな)の先生と、佐々木先生のセッションだそうです。
何が何でも行く
!!


  



これも出家「イントゥ・ザ・ワイルド」

『イントゥー・ザ・ワイルド』をやっとDVDで見た。釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~-ワイルド
ショーン・ペンが、本物の天才だと判明した。


仏教とは何にも関係ない映画だけれど、
釈迦の出家に興味がある人なら、しみじみと考えてしまう。

素晴らしい映画。泣いた。


主人公・クリスが到達した地点は、
釈迦とはむしろ逆(映画をみるかぎり)なのかもしれないけど、
「犀の角のようにただ一人歩む」青年の物語として・・・。


旅の間にいろいろな人と出会って、とても暖かいひと時を過ごすのだけれど、
クリスは必ず、それを断ち切って、完全な孤独を求めて旅に出てしまう。


「きみはどうしてこんな旅をしている?」と聞かれて、
 クリスは、ソローの言葉を引用して答える。
「『愛よりも金銭よりも信心よりも 名声よりも公平さよりも
  真理を与えてくれ』。 その真理を探すためさ」


ヘンリー・デイヴィッド・ソローは、アメリカの作家・思想家で、
定職に付いたことがない。
代表作の『ウォールデン-森の生活』(1854年)は、2年以上、
森で一人で暮らしした記録だそうだ。



http://intothewild.jp/top.html