釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~ -219ページ目

目からうろこ『誤解された仏教』


日本に伝わった仏教は、日本土着の思想とまじりあって、
もともとの釈迦の思想とは全く違うものになりました。
釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~
それが悪い、というわけではないですが、
「もとはどうだったのか」を知る上で、勉強になる本です。

エッセイ風に、やさしい文章で書かれているので読みやすい。


少しは仏教を勉強した今となっては、
そんなに驚かないけれども、
最初この本を読んだときは、「へぇ」「へぇ」の連続でした。


目次の見出しをいくつか挙げると


・仏教は「無霊魂論」である(「たましい」を認めない)
・仏教は本来葬式・法事に関わらない
・仏教は「無神論」である
・仏教は「神秘主義」ではない
・正しい仏教は土着思想と対決する
・死者を「仏」と呼んではならない



これを読んでおけば、少なくとも、
仏教を利用したいんちきカルト教団にはひっかからないですむ
と思われます。
だって、神秘的な呪文で奇跡を起こしたり、
先祖の霊のために墓石を売ったりするのは、
まったく仏教じゃないですもんね。


著者の秋月龍珉先生は、1999年に亡くなっていますが、
宗教哲学の研究者であるとともに、臨済禅の実践者でも
あるとのことです。

著作集が14冊もある! いつか挑戦する所存です・・・・。


(『誤解された仏教』秋月龍珉著 講談社学芸文庫)




女性から見た釈迦『釈迦』

釈迦仏教の教義や律から見て正しいのか、とかは
わからないのですが、釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~

これ、小説としてはとても面白かったです!


とくに、
瀬戸内寂聴さんだけあって、
女性から見たお釈迦さまや、初期僧団の姿が

ホンネで書かれていました。

(著者の文学的想像による”ホンネ”ですが)


たとえば、

釈迦が突然出て行っちゃって、

残された妻のヤソーダラーが

亡霊になって語る恨みつらみとか。


「(釈迦の父が死ぬ場面で)

この世は無常とお説きになるあなたは、

老いて痴呆になられた父の孤独な死を聞かれても、

眉ひとつ動かさないのではないでしょうか」


妻にしてみたら、突然失踪して、後に息子まで出家させてしまって、

とんでもねー夫、だったことでしょう。


あと、初期教団に、女性差別が厳然とあったことも、ちゃんとかかれてました。

(当時のインドですから、仕方ないのですが)


それから、自称「色ボケ」の寂聴先生だけあって、

出てくる人が、弟子や尼僧も含めて、みんな色欲に身もだえしてるのです。


たしかに、クチで言うのは簡単だけど、

「色欲」だけでも乗り越えるのは、ほんと、しんどい話です。


(『釈迦』 瀬戸内寂聴著 新潮文庫)


幸福の科学のすっげー教義


「幸福の科学」が、「幸福実現党」を創設しました。
大川総裁が最初に書いた著書は、根本経典『正心法語』(86年)。
仏教くさいタイトルです。


以下、幸福の科学のHPから安直にコピペであります。


「幸福の科学の信仰の対象は、地球系霊団の最高大霊、主エル・カンターレです。

大川隆法総裁は、主エル・カンターレが地上に下生(げしょう)された存在であり、過去、その意識の一部が、インドで釈尊として、ギリシャでヘルメスとしてお生まれになったことがあります」


うわ~、お釈迦様は、

ヘルメスや大川総裁と同じように、絶対者の意識の一部だそうですよ!!!!!



「主エル・カンターレは、人類の始まりに先立つ悠久の昔から存在し、地球系霊団の創造そのものを司った、地球系霊団で最も古い霊存在です。主エル・カンターレは、地球のすべてに関して最高の権限を持っています。地上にどのような文明を建設するか、どのような時代精神を興隆させるか、その最終判断を下しているのが主エル・カンターレなのです。」


これって、要するにお釈迦さま以前に支配的だった、「ブラフマン」(梵天さん。宇宙の最高原理・唯一真実の存在)みたいなものなのでしょうか。
人はなぜに、何かひとつの主体が宇宙を動かしている、と思いたがるのか。
世界の複雑さ、予測不可能性に、人間は耐えられないのでしょうか。



「仏によって創られた仏の子です。仏から永遠の生命を与えられ、この世とあの世を転生輪廻しながら魂修行をしている存在です」


えっ、悟りを開いた人間を「仏」と呼ぶのかと思ったら、
仏が人間を創ったのですか!!!???? 
どの仏典に書いてあるのか、研究してみようと思います。


釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~-幸福の科学



                                    

(写真)高輪にある、幸福の科学のなんとかいう宗教施設。

エル・カンターレというだけあって、なんかローマ風?

もともとここには、「ホテル高輪」というプチホテルがあり、

テイクアウトのローストビーフがおいしかったのですが、

気が付いたらこうなっていました。





                                

でね、いま本屋さんでは、大川総裁が書かれた「仏陀再誕」という本が置かれています。
製作総指揮・大川総裁で、10月17日から、配給・東映(!)で公開されるそうです。


2500年のときを経て、仏陀が生まれ変わってきちゃうそうです。
せっかく、悟りを開いて「輪廻」という苦の歯車を止めたのに、
また生まれ変わっちゃうそうです。

では、仏陀は悟りを開いてなかったのでしょうか?


何から何まで、興味深い教義であります。
大川総裁は、「スッタニパータ」をお読みになったことがあるでしょうか(あるに決まってますよね)。
あったなら、どのように整合性を取っているのか、心の底から、勉強してみたく思います。