釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~ -200ページ目

美しい慈経


昨日のブログで書いたA・スマナサーラ長老の著書のなかで、
スリランカの仏教徒にもっともよく知られているとして
「慈経」というお経が紹介されています。


これは短いけれど、本当に美しいお経でして、
「スッタニパータ」にも出てきて、うっとりしました。


勝手ながら、スマナサーラ長老訳の全文を紹介させて頂きます。


==== 慈経  ===================


[解脱という] 目的をよくわきまえた人が、
静かな場所に行ってなすべきことは [以下の通りである。]
何事にもすぐれ、しっかりして、まっすぐでしなやかで、
人の言葉をよく聞き、柔和で、高慢でない人になるように。


足ることを知り、手が掛からず、
雑務少なく、簡素に暮らし、
諸々(もろもろ)の感覚器官が落ち着いていて、賢明で、
裏表がなく、在家に執着しないように。


[智慧ある] 識者達が批判するような、
どんな小さな過ちも犯さないように。
幸福で平安でありますように。
生きとし生けるものが幸せでありますように。


いかなる生命であろうともことごとく、
動き回っているものでも、動き回らないものでも、
長いものでも、大きなものでも、
中くらいのものでも、短いものでも、微細なものでも、巨大なものでも、

見たことがあるものもないものも、

遠くに住むものでも、近くに住むものでも、
既に生まれているものも、[卵など、これから] 生まれようとしているものも、
生きとし生けるものが幸せでありますように。


どんな場合でも、ひとを欺いたり、
軽んじたりしてはいけません。
怒鳴ったり、腹を立てたり、
お互いにひとの苦しみを望んではいけません。


あたかも母が、たった一人の我が子を、
命がけで守るように、
そのように全ての生命に対しても、
無量の [慈しみの] 心を育てることです。


慈しみの心を、一切世間(すべての生命)に対して
限りなく育てることです。
上に、下に、横(周り)に[棲む如何なる生命に対して] も、
わだかまりのない、怨みのない、敵意のない心を育てることです。


立っている時も、歩いている時も、坐っている時も、
あるいは横になっていても眠っていない限り、
この [慈悲の] 念をしっかり保つものである。
これが梵天 (崇高なもの) の生き方であると言われています。


[このように実践する人は] 邪見を乗り越え、常に戒を保ち、
正見を得て、
諸々(もろもろ)の欲望に対する執着をなくし、
もう二度と母体に宿る(輪廻を繰り返す)ことはありません。


この真理の言葉によってあなた(がた)は、三宝に守られますように。
この真理の言葉によってあなた(がた)は、三宝に守られますように。
この真理の言葉によってあなた(がた)は、三宝に守られますように。


==============================


こんなふうに生きられたら、どんなにいいことか・・。

と思いつつ、ゴキブリが出たらギャーッといって

瞬時にコックローチする自分がいるわけですが・・・。

来世は地獄決定だな。


日本テラワーダ協会のHPには、パーリ語&日本語のテキストと、
長老の音声ファイルが載っています。
ここのHPは、本当に力が入っていて感心します。

http://www.j-theravada.net/sutta/Metta_Suttam2.html

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「般若心経は間違い?」


「般若心経は間違い?」。すごいタイトルですよね。
この本は、めちゃくちゃ面白いです。
前に新書で読んだのですが、最近文庫化されたようです。


新書が出た2007年は般若心経ブームで、
いろんな解説本が並んだり、般若心経の写経通信講座が人気だったり
した時期でした。人気の理由は、たぶん「短いから」でしょう。


上座仏教の入門書としても、オススメです。
というのは、大乗の「般若心経」をかなり辛口に批評していて、
上座仏教との違いがはっきりわかるから


般若心経は間違い? (宝島SUGOI文庫)/アルボムッレ・スマナサーラ
¥480
Amazon.co.jp


本では、般若心経を一節ずつ取り上げて、
「お釈迦さまが言ったことと違う!」と突っ込みを入れています。

たとえば、


・波羅蜜(悟るための修行)は10または6コあるのに、
 なんで般若波羅蜜(知恵の修行)のことしかいわないのか?


・「色即是空」はわかるが、「空即是色」は意味不明。
 ひっくりかえせばいいってもんじゃない。


・「空」と「無」をごっちゃにしてニヒリズムに陥っている。


・お釈迦さまは呪文を否定したのに、
 最後に「ギャーテーギャーテー」と呪文を唱えて終わる


さらに、文章が面白い。

般若心経の最後のほうを取り上げて、


「驚きました。なんの脈略もなく『これがすごい呪文だ』と宣言したのです。」
「呪文らしく節をつけて、ギャーテーギャーテーといえば、
 呪文文化の人にはそれなりに気持ちいいかもしれません」

あげくの果てに
「般若心経の作者は、ただ適当に短くまとめてみようと思っただけで
 そんなに真剣ではなかったようです


ここまで言っちゃって、日本の大乗各派からクレームがこなかったのかなぁ。

「間違い?」とハテナをつけたのは、編集部の遠慮なのかしら。
内容は「間違い!!!!!!」と! が10コぐらいついてる感じですよ。

私は般若経をちゃんと勉強してはいないので、
この本が正しい正しくないの判断はできないけど、腑には落ちる。
大乗側からの反論も聞いてみたいものです。



釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~ スマナサーラ長老。ガンジーじゃないよ!


著者のA・スマナサーラ長老は、日本テラワーダ協会で
スリランカの上座仏教を説いて、いま破竹の勢いであります。
『怒らないこと』という新書は、10万部も売れているとか。

私も何度か、スマナサーラ長老のお話を聞きにいきましたが、
爆笑の連続でした。


ちょっとおかしな日本語で、ときどき声がひっくり返りながら、


仏教は葬式には呼ばれるけど、結婚式には呼ばれませんね。
呼んでくれなくて結構です! どうせすぐ離婚するんだからね


「子供が不登校だという親御さんから、なんとかしてくれ、と相談を受けるんです。
 だから私はそのお子さんに、『まぁ、学校へお行きなさいよ』と。
 でもちゃんと言いますよ、『行っても何の意味もないけどね』って」


こんな感じです。
スマナサーラ長老のおかげで、

日本でジワジワと上座仏教徒が増えている模様です。



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アンコール・ワット展に行った



東京・日本橋の三越本店でやっている「アンコールワット展」に
ふらっと行ってきました。


プノンペン美術館や、2007年にできたシハヌーク・イオン美術館
(あの、ジャスコのイオン、岡田外務大臣の実家が出資してるんです)
の所蔵品67点を展示しています。


ヒンズー、仏教、入り混じっての仏像・神像が楽しめます。

感動したかといえば、まぁ、そうでもないけれど、
いくつか心に残った仏さまもいました。


たとえば、6世紀の「濡れた法衣をまとう仏立像」。
こんなに腰をくねった、艶っぽいお釈迦さまは初めて見ました!
西欧ギリシゃ的なポーズだそうです。インド経由で影響したのでしょうか。



釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~


あと、「ジャヤヴァルマン7世の尊顔」(12C末~13C初頭)。
当時の王様の顔ですが、私の想像するお釈迦様のお顔にかなり近い!
王と仏は同一視されてた部分もありますし。
とりあえず、仏典を読むときは、このお顔をお釈迦様として
思い浮かべるとピッタリくるのですが、どんなもんでしょうか。


釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~  お釈迦様ではないが、こんなお顔だったのでは・・・?



しかし、タイでもカンボジアでも、
ナーガ(蛇)に守られる釈迦像が好きですな。
修行時代に、豪雨に会ったお釈迦さまを、
蛇神が傘がわりになって守ったというのですが。
日本では見たことがないです(どこかにあるのかしら?)。
やはり、暑い国は、日本よりも、蛇が身近だからでしょうか。



釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~  これはアンコールワットのではありませんが




この展覧会は、1月18日までやってます。
平日でも、お年寄りがいっぱいでした。
http://www.mitsukoshi.co.jp/store/1010/angkorwat/

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