ギリシャVSインド『ミリンダ王の問い』は興奮する(その1)
古本で買った『ミリンダ王の問い』(東洋文庫、1963年、中村元訳)
を読み始めました(パーリ語の現代語訳)。
これがまた、面白いんだわ。
詳しい方にはいわずもがなですが、
これはB.C.2世紀後半の”対談”です。
当時西北インドを支配していたギリシャのミリンダ王
VS
インドの比丘・ナーガセーナ長老。
ギリシャ哲学とインド哲学の対決ですから、
当時最高の知性がぶつかりあった、
スリリングな議論が展開されます。
ミリンダ王の質問は単刀直入です。
いわく
「時間の始まりは認識できるか」
「霊魂はあるか」
「なぜ人は平等ではないのか」……。
まさに「私もそれが訊きたかった」というような
質問を王が連発して、ナーガセーナ長老が
仏教の立場から答えるのです。面白そうでしょ?
むかし、ミリンダっていうジュース、ありましたよね。歳がバレる。
ナーガーセーナ長老の時代は、
仏教の教学「アビダルマ」が成立してきたころです。
アビダルマって、正面から読むとあまりに煩雑で
飽きてしまいそうですが、
「ミリンダ王の問い」だとQ&Aなので読みやすい。
ただし、基本的に理屈VS理屈の戦いなので、
「仏の教えでしみじみした~い」的なニーズには
合わない本だと思います。
印象的だったところは、今後、このブログに
メモしていこうかな~と思っております。
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ヤフオクは仏教本の掘り出し物がたまに見つかる
仏典や、仏教の本を、みなさんはどこで買ってるのでしょうか。
特に、絶版のやつ。
古本屋に足を運ぶ時間がなかなかない中、
アマゾンの中古だとけっこう高いですよね。
私は、「日本の古本屋」というサイトで検索して、
全国の古本屋さんで買うことが多いです。
が最近、ヤフオクが意外と使えることを発見。
たまに、穴場の出モノがあるんですよねー。
今週、すごくいい出モノを落札しました。
古典名訳といわれる原始仏典
『阿含経典』(増谷文雄訳、筑摩書房、1979年・絶版)、
4巻揃いで、破格の4700円也。イエイ。
古本屋さんで一番安くても4巻8000円、
アマゾンでバラで買うと2万円ぐらいになってしまいます。
それが4700円とは、お釈迦さまに申し訳ない安さです。
『阿含経典』の中でも、パーリ語『相応部』や漢訳『雑阿含経』を
現代語訳して編集されている、貴重なものだそうです。
なんでこういうのを文庫化しないんだろう。
「長阿含」(平河出版・全6巻)とあわせて読破すれば、
それなりに原始仏教の教えが頭に叩き込まれるのでは、と楽しみです。
あと、ヤフオクで買ったのは
『インド思想史』(中村元著、岩波全書、第2版1968年)。
これなんか600円ですぜ。
『阿含経典』は最初4000円だったのですが、3人ぐらいで競り合って、
こういうのに入札する人がいるものだなぁ、と感慨が深かったです。
しかし、自分より100円高い入札が入ると、
ちきしょう、負けるもんか!などと意地になってきて、
はなはだ仏教的ではない態度の自分がいました。
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創価学会VS天台宗の元ヤクザ(後藤組元組長の自伝『憚りながら』)
山口組系暴力団、後藤組の元組長・
後藤忠政氏の自叙伝『憚りながら』が話題沸騰中ですね。
後藤氏は、2009年に天台宗・無常山浄発願寺で得度して、
法名・忠叡を名乗っています。
『憚りながら』が話題になっている一番の理由は、
ご存知のとおり、創価学会との関係を暴露していること。
創価学会が富士宮に巨大墓地・富士桜自然公園を作るとき、
富士宮を本拠とする後藤組に地上げの依頼がきたというのです。
で、後藤組は、反対派リーダーの自宅にブルドーザーで突っ込み、
日本刀で片腕を切り落としたってんですから、
まったくヤクザの鑑です。
でもこの話は、知っていました。
業界では有名らしく、ヤクザ雑誌の編集者から聞いていました。
私の親しい身内が死んだとき、夫が創価学会員だったので、
富士桜に埋葬されたんです。私も納骨式に行きました。
「へー、ここが後藤さんが地上げしたのか」と思いましたが、
遺族がショックを受けるので黙ってましたけどね。
でも地上げの話も含めて、あくまで後藤さん側の言い分なので、
事実と違うなら学会側に反論してほしいものです。
後藤さんは、国会の証人喚問でも裁判でも受けて立つと
言ってるので、素敵な展開になるでしょう。
創価学会の霊園。ここでの共同納骨式は、なかなか凄まじかったです。
私自身は、後藤組にも創価学会にも興味ありません。
でも面白いのは、世間が、おおむね後藤さん側に好意的で、
創価学会に厳しいことです。
やってきた悪事の量と直接性では、
創価学会よりはるかに後藤組のほうが上なのにねぇ。
ヤクザはそれがお仕事なんですから。
日本人は「改心した悪人」(元ヤンとか阿修羅とか)が大好き、
と精神科医の斎藤環さんがよく指摘してますが、その典型ですね。
「改心した大悪人」より、「善人ぶったちょいワル」のほうが
嫌われちゃうんですね。
しかし、得度というのは、
そんなに簡単にできるものなんですか?
と思って天台宗のHPを見たら、こう書いてありました。
「天台宗の僧侶になるには、師僧となる僧侶が必要となります。
次に、師僧の許可を得て、得度(とくど)をします。
得度とは髪を剃り、僧侶としての生まれ変わり、
仏道に帰依する誓いをたてる式です。
このとき法名(ほうみょう)をいただき、
それが僧侶としての実名になります。」(以下略)
なんだ。得度って修行も受戒もしてない状態なんですね。
紹介者がいて髪を剃ればいいだけじゃん。
後藤さんが受戒済みかどうか知りませんが、
得度した無常山浄発願寺のHPを見ると、
ペット霊園「鹿野苑」を開設したそうで、
これはこれで微妙な感じです。
http://id17.fm-p.jp/44/temple7676/
そもそも日本の天台宗の開祖・最澄は、
独自の「大乗戒」をつくった人です。
大乗戒は本来の戒より、ずっとユルいのです。
この話は、また後日。
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