こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

寒さの余り、このところずっと引き籠もっているので、今日こそは少し出かけて、溜まった雑用を済ませよう…と思ったら、外は雪?!

 

 

写真にはイマイチよく写っていないのだが、私の感覚では、細かいとはいえしっかり吹雪ではないか?!…しかし、北国の感覚では、これらは「Flurry」…つまり「にわか雪」みたいなもので、これくらいでゴタゴタ言うな!…というものらしい…しかし寒さに弱いヘタレな私は、速攻で外出を諦めた…実は本来なら、この日に仕事が入るはずだったのがドタキャンされ、その時は落ち込んでいたのだが、こんな日に出かけなくて済んだ事に、実は今は感謝したい…

 

そんな中、時々仕事をしているヨーロッパのVOの会社からメールが届く…すわオーダーか?!…と思ったら、実はそうではなく、新しいプロポーザル?!…どうやらそこは、AIを使った新しい商売を立ち上げようとしているらしい?!

生身の俳優や声優の、姿や声のクローンを作るAI「Generative AI」と呼ばれ、他のAIと区別されているのだが、このGenerative AIを簡単に使えるプラットフォームを作り、クライアントがそれを使って簡単に声のクローンを作れるようにし、その声を使う時に使用料を取るそのクローン用の元の声は人間の声優によるものだが、その我々にも毎月その使用料が入る…という事らしい…

 

確かに声の仕事のジャンルでは、いつかAIに仕事を取って代わられるのでは?!…というのは大きな危惧で、そうなる日は予想以上に早いのではないか?!…と私も思っている…(過去記事参照)

しかし、そのAIの使用そのものを禁止したり制限する事は、もはや不可能である…それはさながら映像の撮影に「デジタルを制限して、フィルムを使え」というようなもの…あるいは、コンピュータの使用に制限を加えるようなもので、一旦進んだテクノロジーを、もとに戻すことは、実質的にはもはや無理な話なのだ…それならば、それと共存する道を探したほうがいい…

 

SAG-AFTRAのストでもこのAIの件は重要案件だった(過去記事参照)のだが、ユニオンもAIそのものを禁じる事はもはや不可能だと解っていた…そこで、差し当たって起こりうる問題に対処する…という形を取る…

一番大きな問題は、タレント本人の知らぬところで勝手にその画像や音声が使われ、その本人を雇う代わりにその画像や音声を無料で使うつまり自分のクローンに仕事を取られてしまい、本人には一銭も入らない…という事で、確かにこれは絶対に困る

しかし「AIの使用」そのものを禁じるという事は実質的には無理…それなら「勝手に無料で使う事」だけは禁じる…というのが、少なくとも前回のストの解決策だった…なので、少なくとも今現在は、AIでクローンを作る時には必ず本人の承諾が必要で、それを使う時にはその使用料を本人に払う…という事になっている…もっとも、その承諾の取り方やどの程度の頻度で再利用を許すか…という問題については、まだまだ課題は山積みなのだが、ともかく「勝手に無料で使う」というのだけはあかんで!…というわけである…また、NY州では最近、本人の承諾なしにAIで勝手に誰かの声や画像を作って使用する事を禁じる法案が通った。

 

このヨーロッパの会社の新しい商売も、その理屈を踏んでいる…つまり、勝手にクローンを作って無料で使われるのは困るが、契約した相手同意を得た声優の声のクローンを作って、それを使用する度に使用料を払う…というならええんちゃう?!…というわけである…

 

確かに、AIによる声のクローンを禁じる事自体も、もはや無理なので、それなら積極的にその技術を使い、それを売って商売にしよう…というのもわからないでもない…また実際それはすでに他のところでもやられているのかもしれない…そういえばここ1~2年、この会社からの録音仕事が激減しているところを見ると、すでに私の声のAIクローンは、私の知らない所で作られ、勝手に使用されているのかもしれない…それなら、許可を与えたクライアントだけにクローンを作らせ、その使用状況をちゃんと追跡して、きっちり使用料を取る方が賢明…とも言えなくもない…

 

最初は、「AIのクローン声?!ふざけんな!」と思った私だったが、もう少しこれについて考えてみる事にした

 

その2へ続く)

 

 

★過去記事★