フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記 -37ページ目

「Web全体が最初からすみずみまでソーシャルである状態を作りたい」 by Zuckerberg

TechCrunchに、面白い記事があった。

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今日FacebookのF8 カンファレンスで、Mark Zuckerbergは”Webのあらゆる場所がアクセスした瞬間からソーシャル”という状態を作り出したいと述べた。この究極的にソーシャルなWebを作るための部材が、Facebookの最新機能であるOpen GraphとSocial Pluginsで、PluginsにはFacebook.com以外のあらゆるサイトに置ける”like”ボタンや、どのサイトからもFacebook Connectをクリックせずにログインできるオートログイン機能、さらに、これらのプラグインやFacebook Chatを載せたFacebook Social Barのようなものまである(Meeboさん、さようなら)。

こういった新しい機能はこれまでも記事にしてきたが、今日のZuckerbergは今後のFacebook全体の中でのこれらの意味を明確にした: “デフォルトがソーシャルであるWebを作りたい”。Facebookはどうやってそれを作るのか? まずいちばん重要なのは、デベロッパが使う Graph APIの設計を変えて、人と人とのつながりを見れるだけでなく、人とさまざまなインタレストとのつながりを見たり作ったりできるようにしたこと。
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すげーなー と嘆息。

これはどういうことかというと、

「英語」って検索したときに、
「あなたの友達○人がレアジョブを使っていますよ」 って出てくるとか、そういうこと。

いや、
「英語」 って検索する以前に、
「そういえば あなたは英語をやった方がよいのでは? だとしたらあなたの友達の・・・」
って出てくること。

そして、レアジョブに来て新規登録する必要がなくなっているはず。
サイトに来たら、それがもはや自動ログイン。
例えばMBAを目指しているとして、同じMBAを目指している友達のオススメ講師が一覧ですぐにわかる。
で、その友達がオンラインになっているので、チャットで色々聞いたりしながら、即座にレッスン予約。
で、体験レッスンが気にいったら、クレジットカード番号も打ち込まむ必要がなく、1 clickで支払終了

そういうことである。

(いやー NGN、全く持って必要ないですね、、、)

オンライン英会話の例だけだと、なんだか卑近になってしまうが、
要はこういうことがウェブ全体で行われていくわけだ。

インターネットはもはや、社会の基盤になっているが、
ミクシィのようなSNSが、Googleの検索と同様、
そこの中で新たな基盤の位置を占めていくだろう、
そういうことだ。

検索のGoogle
i-Phone / i-Pad の Apple
SNSのfacebook


いやー 米国のIT業界は見ているだけでワクワクし、
そしてIT業界のはしくれとして、ちょっぴりさみしい気持ちになりますな。

採用で重要な4つのこと

相変わらず引き続きフィリピンでお仕事中。



今日は1日中、採用をやった。

2段階のテストで、2つのスキルを見て選抜。
さらに面接で専門性を追求。
さらに最終面接で、Cultural fitnessをみる


だんだん採用がうまくなってきた気がする。

重要なのは、下記の4点だと思う

・Applicantを多く集めること (=良い人が母集団に含まれている確率が高くなる)
・求めているスキル・パーソナリティを明確化すること (=評価基準が明確になる)
・評価基準を、testやQuestion listなどの形で落とし込んでおくこと (=的確かつ迅速にApplicantを評価できる)
・内定を出す相手には、時間を取って徹底的に自社のやり方について説明し、事前承諾を得つつ、変な期待値があったらそれを下げておくこと (=実際に働きだしてからうまくいきやすい)


最終的に、まさに欲しかった人と働けることが決まった!



今月は卒業シーズンなので、引き続きザクザクと素晴らしい人材を採用していきたい!

僕の手足ではなく、レアジョブの頭脳として活躍し始めてくれている

3週間もお休み取らずに、働きづめ。。。

3日でフィリピン4都市をバスで巡る、Tutor gathering弾丸ツアーから帰ってきたのが昨夜午前1時過ぎ。
で、今は午前1時半だが、あと1時間半後の午前3時から、Outingが始まる。

Outingってのは、会社の遠足みたいなもの。
スタッフは楽しみにしているが、
これからまた往復6時間以上バスに揺られるかと思うと、僕はいい加減疲れております。

でも、僕以上に疲れているスタッフもいて、パタパタと病気で倒れ中。
というわけで、そのスタッフのフォローもやるはめに… 汗

あーでも、スタッフが成長しているなって思うことが今日2件あって嬉しかった。



ひとつは、質向上の方のスタッフ。

生徒様と講師の最適なマッチングを図るために、
初心者の生徒様に必要なスキルの抽出を行っていたのだが、
次のようなグラフが描けた。

戦略コンサル辞めて起業している日記-100420BeginerMatrix


この図が意味しているのは、
グラフの横軸が、縦軸の必要条件であり、十分条件ではない、ということだ。
(だから直角三角形の形をしている)

スキルのような指標をつかって定量分析をしたときに、
ここまできれいな形でグラフがかけることは少ない。

ここまで教科書的な美しいグラフが出てくること自体が、
分析の方向性がまさに正しかったということを意味している。

自分1人でレアジョブのデータを分析していて、
きれいな正規分布とかに出会うことは、ままあるのだが、
スタッフがつくったデータから、こういう美しいグラフが出てきたのは嬉しかった。



あとは、量を担当する別のスタッフと話していた時のこと。

・xxxのプロセスはこの4点から成り立っており、
・現状ボトルネックは△△△になるが、この点はすぐに修正できる
・で、修正の後にボトルネックになるのは□□だと思う。この点の方が実は大きな問題。

というように、論理立てて、数字を使って、説明してくれた。

実は、同じ分析を、より早く・深く、僕の方でもしていて、一歩先の結論をとうに出してはいたのだ。

だが、
「何も言わなくても、きちんと的確な分析ができるようになってきたか!」 と
ちょびっと涙が出るほど感動した。

「プロセスを構造化し、ボトルネックを数字で特定し、その改善策を提案できる、というスキル」
「そのスキルがあれば、うちで役立つのはもちろん、どんな会社からも必要とされる人材になるよ。」
と本人に言った。



僕が全てをうみださなくても、こっちのフィリピン人スタッフがうみだしてくれている。
こっちのフィリピン人スタッフが、僕の手足ではなく、レアジョブの頭脳として活躍し始めてくれている。

それがうれしい。

NHK福岡放送局でご紹介いただきました!

NHK福岡放送局でご紹介いただきました!

・・・放送されたのは3月、ちょっと前で、福岡限定だったので東京いいる僕らは見れなかったのですが、
DVDが東京オフィスに届いたそうです。
(もっとも、僕はフィリピンにいるので、まだ見れていないのですが)

今回は、自宅であいた時間に、気軽に挑戦できる習い事、として
取り上げていただいたそうです。

オンラインという形態をうまく活用して、
レッスンを「生活の一部」として取り入れていただけるとのこと、
たいへんうれしいです。

取材に応じてくださった生徒様に御礼申し上げます。

Japan Timesに掲載いただきました!

Japan times に取り上げていただきました。

色々な取材を受けておりましたが、いつもは主に、レアジョブの安さなどに注目が集まっております。

ただ今回はちょっと違って、結構深い話になっております。

> Kato hopes that his business will help break down stereotypes by creating opportunities for Japanese and
> Filipino cultures to interact in a meaningful way

> "The important thing is for the teacher to bridge the gap between culture and language," Tuazon notes.

こういう、本当に伝えてほしいことを伝えて頂けるのは、本当にうれしいです!

記事はこちらから
Why do English teachers have to be native speakers? | The Japan Times Online

クリエイティブのクラウドソーシングサービス

友人がエニグモさんで働いているのだが、そこで新規事業を始めた。


「Blabo!」というサービスで、マーケティング等のクリエイティブのクラウドソーシング事業だ。

・・・て書くと訳わかんないので、ホームページより抜粋。

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Blabo!は、あなたと、いままで出会うことがなかった世界中のクライアントを結ぶプラットフォームです。 クライアントは「Blabo!」の中に、「株式会社○○の会議室」を開いています。 いろんな企業の会議室では、幅広い「お題」が話し合われているのであなたにあった会議室に立ち寄ってください。 そこでは、ちょっとしたブレストから、本格的な解決策を求める会議までクライアントを交えて行われています。 気軽に立ち寄って、あなたのアイディアでクライアントを驚かせちゃってください!
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うちらみたいな小さな企業からしてみると、クリエイティブについては次のような問題点がある。

・広告やプロモーション企画でクリエイティブは重要。だって、費用対効果が倍以上違ってくるから
・でも、社内で抱えるほどの作業量はないし、採用時にクリエイティブできる人かどうかを見抜く手段を知らない
・だから社外にアウトソーシングするんだけれど、どこがいいかは使ってみるまでわからない
・一度いいところをみつけても、そこよりもいいところがあるのかどうか、わからない

一方、クリエイティブができる人にとっても、次のような問題がある

・電通博報堂のような大きな組織に属していれば、活躍のチャンスが大きい
・そうでないと、活躍できる場所がなかなかない

つまり、クリエイティブに関しては次のような状況にある

・需要側、供給側とも、ニーズは大きい
・けれど、マッチング市場がない
・そのために、多くの機会が無駄になっている

ここを解決しよう、というのが友人のサービスです。

「自分はクリエイティビティが人よりもあるんじゃないか」
とひそかに思っているそこのアナタ、
Blabo!  で気軽に腕試ししてみるのはいかがでしょうか

うちのシステム開発の方向性

米国をはじめとしたインターネット業界では、次のようになっています。

最先端のウェブサービス開発の現場は、とてもアウトソースなんかできない状況になっている。「仕様書を文章で作って、それを誰かが作る」なんていう悠長なやり方は通用しない。どんどん機能開発して、どんどんリリースして、ユーザーのフィードバックを元にさらに進化させる、というのを、毎日行い続けないとならない。・・・「人の話を聞いてさっさと理解して、それをすぐにコードにできる、いま・ここにいる人」 というのが非常に重要なのです。
ITアントレプレナーになりたい若者のみなさんはプログラミングを・・・


うちのCTOがすごいのは、技術力だけではなく、
・CSをしたり、
・講師やフィリピン人スタッフと英語で話をしたり、
・企画をチェック・ディレクションしたりディスカッションしたりしながら、
・コーディングしていける
という点だと思います。

うちの開発にスケーラビリティを持たせるためには、
他のシステムスタッフもそのように、システム外の人といかにコミュニケーションをとりながら
活躍しているかにかかっている、と考えています。

つまり、下っぱとしてのコーディング屋さんではなく、
ミドルマネジメントクラスのシステムエンジニアがたくさん必要になる、
とも考えています。


ちなみに、DeNAのやり方は面白いです。

現在はまだ社内で3割程度しかいないエンジニアが事業のアイデアを出してくるということも、南場氏が強調したかったことのようだ。
興味深かったのが、南場氏も守安氏も異口同音にエンジニアが社員の大半を、あるいは経営陣の大半を占める企業を目指していると言っていたことだ。そこには、サービスを考えて実際に手を動かしてものを作れる人材を求めているという意味がある。インターネットのサービスはコンピュータの技術をサービスとして提供しているに過ぎない。そのために、エンジニアとして開発できること、最低限でも技術で解決できることを発案することを、社員や経営陣に求めているわけだ。
http://japan.cnet.com/extra/cr_dena/story/0,3800104206,20410314-5,00.htm

日本の IT 業界では、「何を作るか」を考える企画部門と、「どう作るか」を考えるエンジニア部門が分離しがちです。・・・ビジネス上のキー数値は事前にシェアされ、成功状態を具体的に意識する必要があり、その成功のために最適なサービス仕様をエンジニア自身も考え提案します。「企画が言ったから」という理由だけで費用対効果が見合わない実装方法を強いられることはなく、むしろ費用対効果に見合う外部仕様を提案することが求められます。
http://www.dena.jp/recruit/sp/engineer/stance/development.html

うちのシステム部門も、目指している方向性は一緒です。


このDeNAのやり方に、
「世界で活躍できる」 「英語を使って仕事をする」 というキーワードが
レアジョブではのっかります。

ボトルネックのもぐらたたき

4月、新学期のシーズン。
生徒様の人数が予想以上に急拡大している。
だから、それに負けないよう、講師側の量の拡大と質の充実を両方いっぺんに急いで進めている。

「緊急事態だから」 とアナウンスして、残業代1.5倍にして、
僕が日本から急きょ飛んできて陣頭指揮取りながら、やっている。

様々なプロセスの、ボトルネックになっているところを特定して、
陣頭指揮でそのボトルネックをつぶす。
そのボトルネックが潰れると、違うところが次はボトルネックになるから、
もぐらたたきのように様々なプロセスをたたいていっている。

これを、目標とする量・質の水準が達成できるまで続ける予定だ。

いつもは残業していないスタッフまでもが夜10時まで残業していて、
ふらふらになって帰っていく。

そんな帰り際を僕はすかさず捕まえて、
「この数字ってどうなっているの?」
「xxxはどうなっているの?」
と質問攻めにする

だけどふらふらすぎて、スタッフはろくに答えられない。
答えようとしている目がぐるぐる回っているのを見て、
僕は苦笑して、
「わかった、明日聞くよ」 といって帰らせる。

いやぁ・・・ 無理させてるなぁ・・・ と思いながら、
ありがとうって思う。

このペースが持つのはおそらく2,3か月がいいとこだろうと思う。
この2,3か月でみんな大きく成長すると思うし、
そこを過ぎるといったんゆるめて、休んでもらいたいと思っている。

効果的に作業をするためには、やることを極力単純化することが大事。

効果的に作業をするためには、やることを極力単純化することが大事。

たとえば、ウェブページの企画書の作成。
これをやるときに、パワーポイントに最初から向かっちゃいけない。

下記のように、1つ1つの作業を馬鹿みたいに単純化するべき。


大項目として必要な要素を4つか5つ書き出す (紙とボールペンで作業)
 ↓
大項目を説明するのに必要な要素を、それぞれ3つ程度に分解し、書き出す (紙とボールペンで作業)
 ↓
書き出した要素を説明するのに必要な要素を、さらに書き出す (紙とボールペンで作業)
 ↓
書き出したものを、Notepad(テキストエディタ)にすべて書き写す (テキストエディタで作業)
 ↓
各要素を、文章としてまとめる (=ウェブページの文章を作る) (テキストエディタで作業)
 ↓
自分が書いた文章を誰かに添削してもらう (Wordの修正記録の機能を使って作業)
 ↓
添削された内容をもとに、文章をFIXする
 ↓
つかう写真や絵を特定し、ファイルを1つのフォルダにまとめて準備しておく
 ↓
パワーポイントを開き、文章や写真・絵を適切な場所に配置していく
(コピーアンドペーストで、配置のみをやる)


頭からパワーポイントに向かうと、下記のことをごっちゃに考えてしまう。

・何を書くべきか
・どんな文体にすべきか
・どんな写真を使うべきか
・どんな配置にするか

そうすると、次のような問題が出る

・1つ1つの作業を別々にやったときと比べ、各作業の深め度合いが甘い
・書くべきものがFIXしていないうちから文章を書き始めているので、 「あ、これ書く必要ないや、全部削除しよう」といったような無駄が生じる


だから、作業をやる時は頭からガリガリやるのではなく、
手順を極力単純に分解してから始めたほうが、
効果的に作業を進めることができる

カッコいい男

僕は大学生のときに、休学してフルタイムでベンチャーで働いた。
で、そのときの上司と先日久しぶりにお会いした。

その上司は、数年前別会社を立ち上げ、見事上場を果たした。
今は、その企業の役員をやってらっしゃる。

いろいろお話をお聞きし、たいへんためになった。
なかでもいちばん嬉しかったのは、成功しても全然昔と変わらなかったことだった。
・すごく低姿勢で、笑顔を絶やさず、周りに気を使ってくださっていた。
・そして、将来に対する挑戦を忘れていなかった。

それはすごくうれしかった。



で、共通の知人何人かの話も聞いた。

その中の1人、名前を、仮にAさんとしよう。

Aさんは、そのベンチャーで、僕とその元上司と、一緒に仕事をした人だった。
Aさんは、僕の5歳上。
本当にカッコよかった。
仕事ができて、遊びもうまくて、女性にもモテモテ。
友達は多く、色々な人から頻繁に遊びの誘いがかかる。
一緒に飲んでいるとAさんの携帯は常に鳴りっぱなしだった。

会社では、上司によく歯向かっていたが、同時に頼りにもされ、
僕のような後輩には、粗っぽい言葉を使いながらも対等に接してくれ、すごく優しかった。

Aさんのバイクの後ろに乗り、Aさんが学生時代によく行っていた食堂に連れて行ってもらい、
その後Aさんの家で僕の悩みを朝まで聞いてもらったこともあった。

Aさんは、本当にカッコ良かった。
当時、僕は二十歳。
僕にとって、Aさんはまさに理想の男、カッコいい男No.1だった。



その後、僕はそのベンチャーをやめて大学に戻った。
Aさんは、そのベンチャーをやめて自分の会社を立ち上げた。

Aさんの会社は、時代の波にうまく乗り、業績をどんどん伸ばした。
周りは皆当然だと思った。

だがAさんは、成功すればするほど、だんだんカッコいい人ではなくなってきていた。

Aさんは前から冗談はキツイ人だったが、
冗談が冗談にとどまらず、悪意さえ感じるほどしつこいものになってきた。
僕がものすごく忙しいときに無意味に時間を拘束するなど、
本当に勘弁してほしいと思ったことも何度もあった。

「Aさんは変わった」
「Aさんは、もはや僕の都合なんて考えられなくなってしまったのだろう」
「もはや、一緒にいたくない」

成功すると、人は変わるのかな、と思った。
だから、成功しても変わらない人が好きだった。



で、そのAさんの近況について、今日お会いした元上司にお聞きした。
元上司は、一瞬言い淀んで、それから、「Aは・・・死んだんだよ」 と言った。

僕はショックだった。
頭をガンと殴られた感じがした。

Aさんは、半年ほど前に、亡くなったそうだ。



聞いた話だから、その経緯は詳しく書けない。
だが、Aさんがどうして人変わりしたのか、ようやくわかった。
成功するとはどういうことなのか、孤独とは何なのかを、
Aさんの気持ちを想像し、悲しくなった。



大河ドラマの「龍馬伝」を見ていて、
幕末の志士は死ぬけれど、起業家は死なない。
向うに比べれば、こっちの方がヌルいよなぁ。 
と思っていた。

でも、そんなことはない、死ぬこともあるんだ。

「Aさん、成功しなかった方が、絶対に幸せでしたよね?」 とその元上司に言うと、
元上司も大きくうなずいた。



今でもずっと覚えている光景がある。

ずっと前、Aさんが自分の会社を始めたばかりのとき、
Aさんは忘年会を開き、僕を呼んでくれた。

まだ会社はAさん1人だった。
忘年会には、税理士や友人など、会社外でAさんを支えてくれている人たちが来ていた。
Aさんはみんなにこう言った。

「会社を立ち上げて、無事こうやって、年末を迎えることができました。」
「これも、皆さんのおかげだと思います。」
「ありがとうございます。」

Aさんはそう言って皆に頭を下げた。
その場にいたみんなはニコニコしていた。
8人くらいのこじんまりとした忘年会だったが、
僕は、「Aさん、やっぱりカッコいいな」 と思った。

この光景を、僕はずっと忘れない。



Aさんは、今も僕にとってヒーローです。
Aさんは、本当にカッコよかったです。
ご冥福をお祈り申し上げます。