ぴいなつの頭ん中 -19ページ目

ぴいなつの頭ん中

殻付き。そにっくなーすが言葉を地獄にかけてやる

夢を見たの。ずっと未来の夢。わたしたちは大人になってた。だけどわたしたちはみんなまだ仲良しみたいで、定期的に会って飲んだりとかしてたみたい。


つるんでた仲間の中でいちばんオシャレだったマリは、ファッションライターをやってるって言ってた。マリの記事は若い子たちに人気なんだって……


目が覚めて、ぼんやりしたまま学校へ行った。教室でマリの笑顔をみて、マリにそのことを言おうかどうか迷った。実現して欲しい夢は人に喋っちゃいけないから。でも、わたしの夢だし、マリがそれを聞いて頑張れるならって思って、話した。


マリは大喜びしていた。

普段からオシャレに気を遣っている彼女だし、自立した大人の女性に憧れるタイプだったから、やりたいことを仕事にして自立しているという未来は目標そのものであったようで。


翌日、夢の続きを見た。

未来の世界、わたしは24歳で、ハナとふたりでお茶していた。なんとなく自然な会話の流れで、マリってすごいよね~ファッションライターだっけ~、みたいな話をふったら、

『マリまたそんな嘘ついてんだ。』

きけばファッションライターをやってるというのも嘘、親のスネかじって服飾の大学を留年し続けているらしい。授業をサボり、アロマとかハーブとかそれ系の資格の勉強を始めては放り出す、他の時間はネットを見てるか寝ているかだと。服すらあんまり買いに行かなくなったと。マリは、わたしの前で見栄を張りたくてそんなことを言ったのか……夢が終わる直前、部屋でスマホゲーをしてるマリの、猫背で丸くなった後ろ姿がちらりと見えた。


目が覚めてから、マリにそのことを伝えようか悩んだ。あんな夢見たあとじゃ、マリを見る目がなんとなく変わってしまっているのを感じる……


いや、あんなのたかが夢なんだから。わたしがいま仲良くしてるマリはそんな、見栄のために嘘をつく子じゃない……と思う。

あんな夢で未来の姿を決めつけられてたまるもんか。

そうだ、実現して欲しい夢は人に話したらいけないのであれば、実現してほしくない夢は人に話したっていいんだ。

でもマリに直接、未来は見栄っ張りの堕落女性だなんて言えるわけない。そんなこと言ったら絶対悲しむか怒るかわたしのことを嫌いになるんじゃないだろうか。だれだって不幸な未来を人から押しつけられるのは嫌だよね。


そこであなたに聞いてもらいたいと思い筆をとったのです。

たくさんの人に見てもらえばもらえるほど、夢がバラバラに砕けて散らばって、マリの未来を変えられると思うんです。


わたしの見た夢を砕いてください。

男坂はキツイ方。女坂はゆるい方。

坂と名前がついているがどちらも少し長めの階段である。女は何かを強制されるかわりに何かを免除されてきたような気がするこの国の歴史。別に男みたいにならなくても強く生きられる人生がいい。慰められ慣れることは弱気をつくる。


男坂の最後の段は疲れ切った足をふらつかせる、一段だけ少し高い作りになっている。ここで転落したら蒲田行進曲よろしくどこまでも堕ちていけるだろう。学生街に似つかわしい名所である。


男坂をのぼりきった先には落ち着くブックカフェがある。そこも店に入るためにきつめの階段を降りねばならない。なぜか店先のサンプルはほんまもんのワインがおおきなグラスに注いである。誰か飲んでしまわないのだろうか。


高層ビルの合間に一生懸命木を植えていて木漏れ日。ほんじつのワインは鳥のラベルのロゼ、グラス700円。おつまみは男性にナッツ、女性にドライフルーツが与えられた。全世界の画集が国別にうず高く並べられた本棚。パリコーナーを眺めている。日本コーナーにはORIGAMIの本やUKIYOEの本があったような気がする。おおきなソファ。おばさん達は集まってテーブル席にきちっと座る。おなじ一冊の本を一人ずつ持って。ひとりは軽装、ひとりは軽躁、ひとりは珪藻。唯一の墨一点、学生っぽい男性だけが客観的史実をもとに話すが他の人たちは噂で聞いたことのあることや感情をもとに話す。赤い口紅がテラテラしているが皆さん素面のようだ。わたくしだけ、おおきなグラスに注がれた、今しがた開けたばかりのロゼを一口飲むごとに色に見惚れまた一口飲む。イチゴのような味がするがあとから苦味がジュッとひろがるワイン。ワインはフルーティな味かつ眺めていて楽しくなる色のものが好ましい。


持参したたくさんのファンタジーと、買ったばかりの写真集をかわりばんこにつまむ。ぼろぼろの服を着た白黒の娘が、労働に染まった今は亡き街の片隅で、丸くてきらきらしたビーズのような瞳でこちらをみている。呼吸。カメラの前で作り顔をしたまま数秒静止することの照れ臭さを知っているから、慌てて頭を下げたくなるような気分になる。そして、もうすでに撮影されている娘を眺めながら、どうやって彼女に撮影を承諾してもらうか、どうして彼女を撮りたくなったか、犬の記憶を想像する。ふわふわとした感覚が集中によるものかワインによるものか、はたまた、ビーズの目をした娘が写真のこちら側からわたしをさそっているせいなのか。


写真を撮られる夢は誰かに想われていることをあらわす、などと。撮りたくなるような見た目ではないことがずっとこの身に引っかかっているからこそ、見られるために存在する人形を羨望するのだろうか。女の形をした儚さが、なにかを見出させるのだろうか。儚い女はいるが、女は儚くはない。妹か弟を背負った坊主頭の少年の噛みしめる唇が切れ血が滲んでいたことを、写真はそこまで雄弁に語らない。

ナチスの本読みながら、戦場のピアニストのことなど考えている。


音を奏でるひとー聴くひと の関係や、愛し合うひとの関係には国境とか敵味方とかそういったものはないはずだから、ひとをふたつの組に分けて片方を弾圧させたとき、悲しみが起こる。


もともと人間同士が対立し合うことは無意味なのに


ドイツには、健常者と障害者というふたつの組に分けて、障害者のほうをガス室に送り込んだという歴史がある。

たぶん探してみれば他の国にだってあるのだろう。


障害者の安楽死計画を進めた医師は、世界大戦後経済的に困窮した世の中で、障害者と比べてサポートが行き届いていないために早死にする健常者たちの権利を救うために、治る見込みのない障害者や痴呆(今で言う統合失調症と認知症を含む)のひとを安楽死させることを提唱した。

しかし実際に安楽死計画が進められると、その医師の親戚が安楽死要因に含まれていたことがわかり、医師は遺灰を手に涙する。


お荷物と名付け、安楽死させようと思った時点での医師にとっての障害者は、『他人』だったのだろうなと思う。


生活保護受給者はみんな死ねばいいと言っている後輩がいたが、自分の税金がかれらの贅沢に使われているととらえているからそう思うのであって、自分や自分の大切な人が働けなくなったりして生活保護が必要になったらということを考えていないのだろう。



自分や自分の大切な人がそうなったらどう思うの?と問いかけると、自分が働けなくなったら死にますとか言ったり、大切な人は捨てますと言ったりしているが。いざ必要となればたぶん、国からいやというほど搾り取ることがかれならできるだろうな、と思うと鼻から笑いが漏れた。


くるしむひとたち、をどこか遠くのひとたちだと思ってるうちは、くるしむひとたちを枠に当てはめて傷つけることは止まないのだろう




8/12

あさがやドラムについてお話ししましょう。

正直まとまりはないです。思うままです。大切なことは相方のキキがすでにTwitterでお話ししていますので笑。


二ヶ月前から楽しみにしていた、朗読ナイトでした。


6月に出た時から今回の構想はなんとなく決まっていたの。

2.3年前に出した合作『Ω』に載せた


『こんな病院ふたりで抜け出しちゃおっか』

という、依存と映画をテーマにした短編。これはセリフだけでお話が進行する短編だったんだけど、きちんと並べたら脚本みたいになりうるかな?って。


朗読ナイト内で、過去に神田多恵子ちゃんが書いた脚本で、ふくおかかつひこさんの演出で、しばたえりこさんや出和正勝さんと共演をしたことがあって、自分もしょーせつ書いてるし新境地として脚本書いてみたいなんて思っていたので良きチャンスと思い画策しました。


今回の朗読ナイトでも、かんたえの脚本・ふくおかさんの演出で、かんたえ本人が朗読していたところを見ることができました!


主人公は、ひとりぼっちだったところを事務所に拾われ、生きていくために必死で与えられた仕事に食いつく『美咲ちゃん』18歳。少し大人びてるように見えるけれど、この子はね、ほんとはすっごく脆くて。助けて欲しいのになかなか言えなくて、衝動的に女王な行動や隙だらけの行動をとったりなどする。

そこがほっとけないのよ!ドライブに誘ってきた知らないおじさんにも、ツンデレのゆうとくんにも、一見わがままなように見えたり冷たいように見えるふるまいをするけど、おじさんもゆうとくんも、美咲ちゃんの心の中のたすけてのきもちをちゃんと受けとめてくれている気がした。

完成度がやばくて、ドラマを見ているみたいだったよね。


朗読ナイトはポエトリーリーディングとは少し違う。お客様は、そこでみたことのない物語を受け取れるのを待っている。ライブハウスで本の物販はなかなか売れないけど、朗読ナイトではバンバン売れたりするんだよね。ここで求められているのは、15分間で、音声と物語でひとの気持ちを揺すること。

簡単にいうと、読み聞かせみたいなものなのです。


お客様は物語を愛している。物語をまもり、物語に参加することに積極的になってくれる。8月は主催・王賀奈緒さんのお誕生日月なので、チケットサイズの小さな紙に書かれた『お祝いの物語』をつむぐべく、客席から続々と参加者の声があがる。

プロであり朗読ナイトで何度も出演されている菱田盛之さんが、今回お客様ではあるのだけれど作中の『仏像展』のナレーションをしていて、美術館とか展示大好きなわたし的には、『音声ガイドがすべて菱田さんの声なら良いのに』と思った。

杏泉しのぶさんとsalasaさんのユニット(鈴木)では、そんなあたたかいお祝いの物語をまじえながら、杏泉さんオリジナル脚本にのせて、美しい浴衣姿で揃えたおふたりの、大逆転ハッピーエンドが繰り広げられた。三河弁の懐かしい感じ、杏泉さんの演じわけがほんとうに素晴らしかった。salasaさんは片思いを頑張る友達を応援しようとして空回る女の子の役。説明されぬ悲劇を一回転させた叙述トリックに観るものがうまく騙されるように誘導してくれた。


この(鈴木)のおふたり、ものすごく上手でベテランなので、出演者がバラバラ集められてみんなで一つの作品をよむ『朗読ナイトシアター』では完全に甘えきってしまいました。楽しいことのあんまないアラサー女子たちが、居酒屋で月一集まってするびっくり話。王賀さんの演じる馬場ちゃんは元気で好奇心旺盛。杏泉さんの演じる明日香は賢くて面倒見がよい感じ。salasaさんの演じる留美は口は悪いが大胆不敵、怖いもの無し。salasaさんの脚の長さとかイメージピッタリなかんじ。わたしは祥子という真面目な美容師の役だったんだけど、この中じゃいちばんおとなしいわりに結構おいしいキャラでございました。居酒屋店員コンビの声のハリとテンポ、すげえ好きだな。これ以上はネタバレになるので、朗読ナイト公式から公開される動画をご覧あそばせ。終演後、杏泉さんと、この女子会メンバー4人の性格とか結婚する順番なんか想像して話し合って楽しかったな。


音と声、だけで、物語を読むということは本で読むと違って先が読めないということでもあり、文字情報から受け取るよりも手探りでわたしたちは物語を受け取る。

主催の王賀奈緒さんの朗読作品は、みんなだいすき川上弘美。『ヤマグチさん』というひとが部屋に入ってきたので180cmくらいの細身の男性と友達以上な感じなのかなと思いきや、ヤマグチさんはコロボックルだったのである。紳士的でいてかわいらしくて、真面目なヤマグチさんを、主人公も聞いてる私もどんどん、好きになってゆく。高尾山デートたまんねえな。持ち運びに細心の注意を払って。王賀さんみたいな上手なひとが読むと、映像が頭の中でパーッとうかぶのです。王賀さんの朗読は、怖い作品も、あたたかい作品も、自分が目の前で体感したかのような温度を心に残す。


モノガタリレコードのSFちっくな猫のお話。出演者は皆舞台やってるひとなだけあって、マイクなくても声がじゅうぶん通る。大真面目に、ときに科学的に話が進められていくもんだから、銀河の人たちが猫をモフモフしたい!と叫ぶとかわいくてたまらない。たまーにこういう笑わせてくれるSF短編が聴けるのも素晴らしい。


朗読ナイトでは13人くらいで、複数名だと役をわりあてて出演する場合が多い印象。うちのキャスティングは、一緒にギターユニットpacienca kaj flegistinoを組んでいるキキとともに。白い衣装に身を包み、ふたご星みたいになった状態で、『それ、拘束衣だよ』と言い放つのは気持ち良いものだ。


映画にかんする平凡な女子トークか、なんか退屈だな~、と思いきや、マジかよ!!!!!なはんて思ってもらいたくて、キキに協力してもらいBGMもつけた。作戦ずくのBGMありの朗読は正直、初めてである。優秀なPAのノグチさんに今回もたすけてもらった。思いやりのあるPAさんは最高だし、しっかりとコミュニケーションをとらないとなって気持ちになる。


集客はとっても難しい。だからこそ、来てくれたひとにものすごい感謝をおもう。来てくれた人もそうだし、ペリスコープの配信を見てくれた人も。15分間を、いや、それ以上を、わたしたちのために使ってくれた人。物語を愛してくれるひとたちに、感謝の意を捧げたいと思う。


朗読ナイトは毎月第2土曜日。あさがやドラムでおこなわれています。ちょっと疲れたから、たまにはお話を聴いて癒されようなんて、なんか寂しいから、たまにはお話を聴いてビックリしようなんて、そんなひとにピッタリだよ。

http://roudoku710.seesaa.net/s/


テレビを目覚まし時計代わりにしているので、たまに寝坊していい日はニュースの内容が夢に勝手に侵入してきて、まざりあう。



イスラム教徒でないので差別されて注文したものがこない。


そういうのに闘っちゃうタイプの父親は職を失ってしまった。

母はあまりそういうのを考えられない人で弱くていつも何もいえない。

妹は銀行でバリバリ働いていて、自分もナースで働いてたから、お金はなんとか間に合うと思っていた。


ドンキで買い物して、家族で飲みに行くけれど、やっぱり注文したものがこない。

女だしムスリムでないから笑われて終わる。

このままではいけないのだ、と思った