8/12朗読ナイト at あさがやドラム | ぴいなつの頭ん中

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殻付き。そにっくなーすが言葉を地獄にかけてやる

8/12

あさがやドラムについてお話ししましょう。

正直まとまりはないです。思うままです。大切なことは相方のキキがすでにTwitterでお話ししていますので笑。


二ヶ月前から楽しみにしていた、朗読ナイトでした。


6月に出た時から今回の構想はなんとなく決まっていたの。

2.3年前に出した合作『Ω』に載せた


『こんな病院ふたりで抜け出しちゃおっか』

という、依存と映画をテーマにした短編。これはセリフだけでお話が進行する短編だったんだけど、きちんと並べたら脚本みたいになりうるかな?って。


朗読ナイト内で、過去に神田多恵子ちゃんが書いた脚本で、ふくおかかつひこさんの演出で、しばたえりこさんや出和正勝さんと共演をしたことがあって、自分もしょーせつ書いてるし新境地として脚本書いてみたいなんて思っていたので良きチャンスと思い画策しました。


今回の朗読ナイトでも、かんたえの脚本・ふくおかさんの演出で、かんたえ本人が朗読していたところを見ることができました!


主人公は、ひとりぼっちだったところを事務所に拾われ、生きていくために必死で与えられた仕事に食いつく『美咲ちゃん』18歳。少し大人びてるように見えるけれど、この子はね、ほんとはすっごく脆くて。助けて欲しいのになかなか言えなくて、衝動的に女王な行動や隙だらけの行動をとったりなどする。

そこがほっとけないのよ!ドライブに誘ってきた知らないおじさんにも、ツンデレのゆうとくんにも、一見わがままなように見えたり冷たいように見えるふるまいをするけど、おじさんもゆうとくんも、美咲ちゃんの心の中のたすけてのきもちをちゃんと受けとめてくれている気がした。

完成度がやばくて、ドラマを見ているみたいだったよね。


朗読ナイトはポエトリーリーディングとは少し違う。お客様は、そこでみたことのない物語を受け取れるのを待っている。ライブハウスで本の物販はなかなか売れないけど、朗読ナイトではバンバン売れたりするんだよね。ここで求められているのは、15分間で、音声と物語でひとの気持ちを揺すること。

簡単にいうと、読み聞かせみたいなものなのです。


お客様は物語を愛している。物語をまもり、物語に参加することに積極的になってくれる。8月は主催・王賀奈緒さんのお誕生日月なので、チケットサイズの小さな紙に書かれた『お祝いの物語』をつむぐべく、客席から続々と参加者の声があがる。

プロであり朗読ナイトで何度も出演されている菱田盛之さんが、今回お客様ではあるのだけれど作中の『仏像展』のナレーションをしていて、美術館とか展示大好きなわたし的には、『音声ガイドがすべて菱田さんの声なら良いのに』と思った。

杏泉しのぶさんとsalasaさんのユニット(鈴木)では、そんなあたたかいお祝いの物語をまじえながら、杏泉さんオリジナル脚本にのせて、美しい浴衣姿で揃えたおふたりの、大逆転ハッピーエンドが繰り広げられた。三河弁の懐かしい感じ、杏泉さんの演じわけがほんとうに素晴らしかった。salasaさんは片思いを頑張る友達を応援しようとして空回る女の子の役。説明されぬ悲劇を一回転させた叙述トリックに観るものがうまく騙されるように誘導してくれた。


この(鈴木)のおふたり、ものすごく上手でベテランなので、出演者がバラバラ集められてみんなで一つの作品をよむ『朗読ナイトシアター』では完全に甘えきってしまいました。楽しいことのあんまないアラサー女子たちが、居酒屋で月一集まってするびっくり話。王賀さんの演じる馬場ちゃんは元気で好奇心旺盛。杏泉さんの演じる明日香は賢くて面倒見がよい感じ。salasaさんの演じる留美は口は悪いが大胆不敵、怖いもの無し。salasaさんの脚の長さとかイメージピッタリなかんじ。わたしは祥子という真面目な美容師の役だったんだけど、この中じゃいちばんおとなしいわりに結構おいしいキャラでございました。居酒屋店員コンビの声のハリとテンポ、すげえ好きだな。これ以上はネタバレになるので、朗読ナイト公式から公開される動画をご覧あそばせ。終演後、杏泉さんと、この女子会メンバー4人の性格とか結婚する順番なんか想像して話し合って楽しかったな。


音と声、だけで、物語を読むということは本で読むと違って先が読めないということでもあり、文字情報から受け取るよりも手探りでわたしたちは物語を受け取る。

主催の王賀奈緒さんの朗読作品は、みんなだいすき川上弘美。『ヤマグチさん』というひとが部屋に入ってきたので180cmくらいの細身の男性と友達以上な感じなのかなと思いきや、ヤマグチさんはコロボックルだったのである。紳士的でいてかわいらしくて、真面目なヤマグチさんを、主人公も聞いてる私もどんどん、好きになってゆく。高尾山デートたまんねえな。持ち運びに細心の注意を払って。王賀さんみたいな上手なひとが読むと、映像が頭の中でパーッとうかぶのです。王賀さんの朗読は、怖い作品も、あたたかい作品も、自分が目の前で体感したかのような温度を心に残す。


モノガタリレコードのSFちっくな猫のお話。出演者は皆舞台やってるひとなだけあって、マイクなくても声がじゅうぶん通る。大真面目に、ときに科学的に話が進められていくもんだから、銀河の人たちが猫をモフモフしたい!と叫ぶとかわいくてたまらない。たまーにこういう笑わせてくれるSF短編が聴けるのも素晴らしい。


朗読ナイトでは13人くらいで、複数名だと役をわりあてて出演する場合が多い印象。うちのキャスティングは、一緒にギターユニットpacienca kaj flegistinoを組んでいるキキとともに。白い衣装に身を包み、ふたご星みたいになった状態で、『それ、拘束衣だよ』と言い放つのは気持ち良いものだ。


映画にかんする平凡な女子トークか、なんか退屈だな~、と思いきや、マジかよ!!!!!なはんて思ってもらいたくて、キキに協力してもらいBGMもつけた。作戦ずくのBGMありの朗読は正直、初めてである。優秀なPAのノグチさんに今回もたすけてもらった。思いやりのあるPAさんは最高だし、しっかりとコミュニケーションをとらないとなって気持ちになる。


集客はとっても難しい。だからこそ、来てくれたひとにものすごい感謝をおもう。来てくれた人もそうだし、ペリスコープの配信を見てくれた人も。15分間を、いや、それ以上を、わたしたちのために使ってくれた人。物語を愛してくれるひとたちに、感謝の意を捧げたいと思う。


朗読ナイトは毎月第2土曜日。あさがやドラムでおこなわれています。ちょっと疲れたから、たまにはお話を聴いて癒されようなんて、なんか寂しいから、たまにはお話を聴いてビックリしようなんて、そんなひとにピッタリだよ。

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