chapter1:イーグルF22
5
その時だった。格納庫内にジリジリとベルが鳴り響いた。
「なんの音だ?」
ミキが何事かと、平らになった座席から慌てて起きあがった。
「本日の作業終了の合図のベルです。もう定時か」
アドルフは腕時計を確認しながら説明した。
どうやら定刻にはベルが鳴るらしい。確かに外で訓練や作業をしていると、時間は把握しにくいからな。
ミキはこの後、どうしようか考えあぐねていると、アドルフが声を掛けた。
「宿舎を案内しましょうか?」
「でも……今日の作業はもういいのか?」
「いえ、まだ続きはあるのですが、僕はまだ後で戻って作業します。とりあえずお腹もへったし、続きは腹ごしらえに一度宿舎に戻ってから」
「そうか。じゃあ、案内を頼む」
二人は格納庫から敷地内にある宿舎へと向かった。
宿舎は敷地内にあると言っても、徒歩で二十分以上はかかる。
ミキは受付に預けた荷物を引き取り、そこにたどり付くまでには、すでに辺りは暗くなり始めていた。
アドルフは宿舎に着くと、さっそくミキの部屋を案内した。ミキの部屋は最上階から一つ下の階だ。アドルフはカードを取り出すと、おもむろに差し込んだ。
部屋に入ると、2DKの個室だった。白を基調とした清潔感のある部屋で、とても軍人の住む官舎だとは思えない。宿舎生活の長いミキも、今までよくて二人部屋しか経験のない待遇からすると雲泥の差である。
「これがカードキーです。一応キッチンもバスついていますが、もちろん、下の食堂も大浴場も利用できますよ」
アドルフは持っていたカードを、ミキに手渡した。
「随分広いんだな」
「ミキさんはエースパイロットですからね。待遇がいいんですよ」
「アドルフの部屋は?」
「僕の部屋はこの一つ下です。こんなに広くはないけれど、ここではみんな個室が貰えるのです。僕達の部屋はバスがついていないので、大浴場を使いますが。もし、集合住宅が嫌だというのなら多少お金はかかりますが、少し離れたところに戸建てもあります。少々一般の住宅よりは小さいようですけど」
「へぇ」
さすがは無国籍軍最大の基地の待遇というところだろうか。
「荷物を置いたら、食堂に案内しましょうか」
「おう、頼む」
to be continued……
