<ルーク・シュバルツside>
34
僕は一人部屋に戻った。辺りはとても静かだ。
静けさが余計に僕の孤独感を際だたせているようで、たまらなく寂しくなった。
瞼を閉じれば、脳裏に自然とビリーさんの笑顔が思い浮かぶ。
最初から判っていたんだ。ビリーさんとルークさんのことは。
あの兄弟は僕が割って入る隙間などないくらいに、愛し合っていて、互いに大事に思っているってこと。
それでも……気がついたら僕はビリーさんがどうしようもなく好きになっていた。
ビリーさんの大きく口を開けて笑う声。
いつも明るく振る舞っているクセに、とても寂しがりやなところも。
大胆に事を進めると思う反面、いつも人の気持ちに敏感で、ナイーブな面を持っているところも。
兄さん風をふかしているかと思えば、自分のことよりも、弟をいつも心配している。
彼を支えてあげたい。
彼とずっと一緒にいたい。
けれどそれは叶わぬ想い。
絶対に僕の想いは彼に届かないことを、僕は十二分に判っている。
僕の気持を知ったとしたら、弟想いで優しいビリーさんのことだ。一人で孤独に悩むだろう。
彼に伝える気はないけれど、それでも僕はビリーさんのことを想う気持はごまかせなかった。
……ルークさんはきっと怒っているだろうな。
僕はビリーさんへの気持ちを自覚する度に、ルークさんに対して罪悪感を持たないわけにはいかなかった。
以前、僕がビリーさんを好きだと彼に告白した時も、ビリーさんを勝手に想っているだけだからと言い訳しつつ、態度を改めなかったのだから。
それでも……僕はとっても嬉しかった。
たとえビリーさんの一瞬の気の迷いでもいい。彼からキスをされたのが。
あのキスは、明らかにビリーさんが、僕を好きでしたものではなかった。
ルークさんと間違えての行動だと、解っている。僕を求めてくれたのではない。けれd、それでもかまわなかった。
今でもルークさんからビリーさんを奪おうとは思ってはいない。
なぜならそれをビリーさんが望んでいるとは思えないからだ。
彼の望まない行動はしたくない。
今の僕にとってビリーさんが全て。
寝ても覚めても彼の事しか頭にない。
僕は思い立って、ギターを手にとった。
何もない五線譜を広げて、鉛筆で思いつくまま歌詞を書き殴る。
沸き上がる想いと、突き上げるように苦しくてどうしようもない気持を、思い切りメロディにのせて。
気がつくと一曲仕上がっていた。
題名は「プラチナ・キス」
僕の正直な気持ちだった。
あれは最上の輝く白金のようなキスだった。もう二度とする事はないだろうけど。
僕はビリーさんに対してこんな想いを秘めながら、いつまで一緒に暮らせるだろう。
今までは遠くからでも彼を見ていることができるのなら、それでよかった。けれどもう無理かもしれない。
きっと僕の気持ちが言わなくてもビリーさんには判っているだろう。
彼からのキスを拒むことなどできなかったし、心のどこかでは僕もそれを望んでいた。
僕は十分だった。
彼とのプラチナ・キスを心に秘めて。
来る時と同じように、ギター一つ持って此所を出ていこう。
僕はこの一曲を残して、マンションをでて行こうと心に決めた。
to be continued……