世界遺産知床&網走の旅紀行、前エントリーの続きです。
2日目の朝になりました。
天気予報通り、朝から曇天です。
朝9時に本日ご案内して下さる観光タクシーの運転手さんが迎えに来てくれました。
昨日とは別の運転手さんにて、2日目と3日目のご案内は、彼が担当してくれる事に
なっています。
どうぞ、宜しくお願い致します。
お昼くらいから雨の予報ですので、先ず最初に一番行きたい知床五湖へと
考えていました。
が、雨になると峠越えが難しくなるのか、先ずは知床峠へとの運転手さんの
ご提案に従い、最初に「知床横断道路」を走って、「知床峠」へと向かいます。
知床横断道路は、↑の地図のように、ウトロから羅臼まで、原生林の中知床半島を
横断する道路にて、冬期間は通行止めになります。
通行出来るのは、4月下頃旬から11月上旬頃まで。
開通期間内でも、悪天候の場合は通行止めになる事もあるそうです。
友人が知床旅行に行かれた時は、期間内でしたが通行止めにて、知床峠に行けずに
とても残念がっていました。
ので、友人から是非とも眺めの良い知床峠にとのお薦めがあり(笑)
知床峠は標高738メートル
ガイドブックによりますと、オホーツク海と知床連峰の絶景を眺めながら、
大自然の中、知床半島を横断する爽快感抜群のドライブコースらしいです。
が、生憎の曇り空にて、道路は大丈夫ですが山には霧がかかっており、
青い空も知床連山の山並みも残念ながら見えぬまま(;^_^A
20分程にて、知床峠に到着しました。
車外に出ますと、風もなく、思った程には寒くもなく暑くもなく、
ちょうど良い感じです。
記念にパチリ↓
本来ですと、こんな風↓に後ろに標高1661mの羅臼岳が綺麗に見えるはずです。
が、↓のように霧がかかっていて
羅臼岳どころか、知床連山の山並みは全く見えませんでした。
しかし、道路の反対側、こちらが羅臼側ですと運転手さんにご案内された方面を
臨みますと、曇ってはいますが、羅臼側の視界は開けていました。
「根室海峡とラッキーにも今日は国後島も見えますよ」と運転手さん。
原生林や山々の向こうには、薄曇りの空が続いていると勘違いしていましたが、
実は、中央部分は空ではなく海(根室海峡)にて、横に一直線に薄い雲が
かかっているように見えるのが、国後島だそうです。
肉眼では殆ど判別出来ないくらいにかすかですが、皆様、↑写真、真ん中より少し
だけ上方の辺りにグレーの横線がありますのが、お分かりになりますでしょうか?
それが国後島です。
自分の視力では無理そうですで、取りあえず、カメラを望遠にして、
何枚か撮影してみました。
帰宅後確認しましたら、肉眼では良く分かりませんでしたのに、
かなり鮮明に国後島が写っていますよね
自分でも、鮮明に写っていて、少し驚きましたよ。
一眼レフの足元にも及びませんが、デジカメのオート、意外にやるじゃんです(笑)
プロが撮影したお写真↓
羅臼側を見下ろすスポットには、こんなものもありました↓
運転手さんが、見通しがききますので、ウトロ側は曇りだけれど羅臼側は
良いお天気かもと?
同じ知床半島でも、知床峠を挟んで、斜里側と羅臼側は、お天気がまるで違う事が
良くあるらしいです。
では、知床横断道路を羅臼側に下っていきましょう。
羅臼側に下り始めると、少しずつ、空も明るくなり始め、
20分程にて羅臼漁港に到着しました。
そのまま再び海辺を離れ、細い道を高台に登って行き、望郷の森に到着。
望郷の森のお隣には「羅臼国後展望塔」
左手の階段を上って、先ずは展望塔屋上へ。
ウトロを引きづったまま車外に出て、そのまま展望塔に登りましたら、
まあ、屋上はかんかん照りで、暑いし、まぶしいです(;^_^A
帽子とサングラスを車内に置いたまま、カメラだけ持って出て来た事を後悔です。
羅臼の漁港や町を臨みます。
羅臼漁港の街並はとても綺麗に写っていますが、国後島が今一つ不鮮明かも(;^_^A
眩しいくらい晴れていますが、それはそれで晴れていますと液晶モニターが
全く見えず、適当にシャッターを切っていたせいなのか?
意外に雲があるのか、お写真今一つで恐縮です(;^_^A
望遠鏡を使えば、より鮮明に国後島を確認出来たと思います。
HPからお借りした展望塔屋上画像はこんな感じ↓
展望塔からは、一番右端に根室半島の真ん中辺りが視界に。
それ以外の島影は全て国後島になります。
視界内国後島は、↓を参照。
運転手さんの説明では、羅臼(知床半島)から見えるのは、国後島のみ。
地図を見ると、一見奥にある択捉島も見えそうですが、国後島が大きいので、
その陰に隠れて、知床半島先端まで行っても、絶対に択捉島は見えないそうです。
択捉島と言えば、思い出しますのは、佐々木譲氏の小説「エトロフ発緊急電」を
原作にしたNHKのドラマ「エトロフ遥かなり」
沢口靖子主演の1993年の作品ですが、私は昨年2023年にBSにて再放送された
ドラマを視ました。
第二次世界大戦前夜、日系2世のスパイとエトロフ島に住むロシア人とのハーフの
娘を主人公にしたドラマにて、エトロフ島ヒトカップ湾に密かに日本軍艦隊が
集結しハワイパールハーバーに向かって行く歴史的事実を背景に、エトロフ島に
潜入した日系人のスパイが命をかけてさぐり、アメリカに電信しようとします。。
彼を庇い恋に落ちる娘を演じられたのが、若き頃の沢口靖子さん。
原作は読んでいませんが、かなり骨太の大作なのでしょうね。
ドラマも、時代背景の重さもあり近年稀に見る重厚な作品で、
ずしりと心に残りました。
是非また再放送して欲しいドラマです。
ドラマを拝見していた時は、択捉島がどこにあるのか地理的な事も全く分かりません
でしたので、遥か彼方の北の島のお話かと思いつつ見ておりました。
が、択捉島は、知床半島から目と鼻の先のすぐそこにあるにもかかわらず、
国後島の陰に隠れて絶対に本土の人達には気づかれない
エトロフ島の住民達にも、島の山々に隠れて気付かれないヒトカップ湾に、
日本軍の艦隊が密かに集結しハワイに向け出航するという地理的条件が
整っていたのだという事も、良く分かりました。
それらを探るスパイの彼は…
最後は、とても悲しい結末になるのですが…
敗戦後、ソ連から追われ、択捉島から忘れ形見のおさな子を連れて、ヒロインは
日本本土に引上げて行きます。
そんなロマンと悲しみ溢れる「エトロフ遥かなり」のドラマを思い出しつつ、
北の大地知床羅臼の地から、国後島の島影を臨みますと、何とも言えない気持ちに
なりますね。
さて、ドラマの感傷はこのくらいにしまして、展望塔の説明によりますと↓
ウトロ漁港とは逆方向も振り返り、展望塔からの知床の山々も撮影してみました。
近くの山々はとても綺麗に見えますが、斜里側は相変わらず煙っていますので、
羅臼岳を始め知床連山の高い山は、写っていないのかしら?(不明です)
化粧室をお借りしつつ、展望塔建物内部も見学。
北方領土問題の歴史的経緯の解説等が展示されていました。
写真は一部のみです。
羅臼に来るまでは、国後島が、日本から僅か25㎞しか離れていず、こんなに近くに
あるという事を知りませんでしたので、正直とても驚きました。
2022年に起きた知床観光船の沈没事故でも、一部のご遺体が国後島にて
発見されましたが、運転手さんの話では、流氷もそうですが、潮の流れにより
半島の先端からは、羅臼と国後島の間の根室海峡側に、自然に流されて
来るそうです。
北方領土の島々が肉眼ではっきり確認できる程近くにあり、戦前は多くの日本人が
住んでいたりした歴史的見地からも、確かに日本の領土の一部であり
そして、僅か25キロの近くに現在ロシアに支配されている島があるというのは、
地元の方達にとっては、とても切実で重要な問題だという事も良く分かりました。
羅臼町HPより引用↓
おっしゃる通り、私も含め、羅臼町を観光で訪れた殆どの方々は、
国後島の余りの近さに驚きます。
そして、今まで他人事だと思っていた北方領土問題に気付かされるのですが…
でも、ロシアからの返還は、う~ん、難しいでしょうね。
夫曰く
ウクライナ戦争が起こった今、返還はもうあり得ないと
残念ですが、私もそう思います。
運転手さんは、バイクが趣味のライダーさんにて、いつか国後島をバイクで横断
するのが夢だったのですが、ウクライナ戦争が勃発して、夢が叶えられそうも
ないと嘆いていました。
学校では、子供達に日本の最北端は択捉島と教えているらしいですが…
さて、この後は、夫の希望もあり、国後島を横に見ながら、知床半島の道路の果て、
行けるところまで、海岸添いを北上、ドライブする事にします。
お読みいただき、有難うございました。