2024年2月6日にヘルマン・ヘッセ「荒野のオオカミ」を読了しました照れ

★一番下に、ヘッセのリンク集アリです★


構成が変わっていて、まず「編集者の序文」があり、「ハリー・ハラーの手記」があり、手記に出てくる論文「荒野のおおかみについての論文」が挟まり、「ハリー・ハラーの手記、続き」。

因みに、編集者とはハリーのアパートの隣人で、彼に託した手記を公表するというもの。


論文の、人間の考察は興味深い。

ナルチスとゴルトムントを思わせる対比、即ち、聖者と放蕩者の比較、精神と本能、人間とおおかみ。そして、両者の中間に定住するのが市民。

しかし実際は単純な対比で済むものではなく、人間は無数の魂の統合体であって、固定した永続的な形体ではなく過渡状態。

これが、ラストに出てくる魔術劇場に繋がるのかな。


それにしても、特に魔術劇場での機械化された文明への批判、戦争への痛烈な批判。今こそ読むべき感。

不本意ながら戦場に駆り出され、残酷な場面を何度も目の当たりにし、未だに悔やんでいる人ならではのことばなんだろうと思いました。


どうでもいいですが、「ヘルマン」観劇前は書店にあったのに、観劇後には店頭から消えていて、取り寄せていたため、ヘッセの流れが途切れてしまったのが無念。



1904 郷愁 

1906 車輪の下 

1910 春の嵐 

1911 少年の日の思い出 

1915 クヌルプ 
1916 青春は美わし 

1919 デミアン 

1919 メルヒェン 

1922 シッダールタ 

1927 荒野のおおかみ

1930 知と愛