5/23(月)
どんどんと時間が過ぎていく。
このめくるめく感じ。怒涛の感じ。
すごいスピード感だ。
私がいまやっているのは龍晴の育児。あとはちょっとした家事。
それだけなのに!

最近、朝はいつもごはんを炊いている。
以前は私はパンで、夫はごはんだったから
毎朝炊き立て、を食べていた(夫が)わけではないのだけれども、
授乳期間はなるべくごはんを食べようと思っているので
お米の消費量が格段に増えた。
したがって毎朝、炊き立てのほかほかごはん。
夫はおいしいといってよく食べている。
過去最高に太った!といっているのだけれども、健康のうちならそれもうれしいことだ。
母乳もだいぶ出るようになった気がする。
さすが母乳マッサージの効果か。

ところで私はいまのところ、離乳食がはじまる6ヶ月くらいまでは、
完全母乳でいきたいと思っている。
ミルクのみ、やミルクを足す混合、というやりかたもあるのだけれども
やはり母乳にこだわりたいのだ。
そのために私が行っている堤助産院というのは、「堤式乳房マッサージ法」というのの開祖?の助産院で、幸いにも自宅のすぐそばにある。
ついに行けなかったマタニティスイムの元祖、金澤先生に紹介していただいた。
本当をいうと「桶谷式」にすごく興味があって・・・単によしもとばななさんの子育てエッセイに良く出てくるからなんだけど・・・行くなら桶谷式がいいなあと思っていたのだけれども、桶谷のような厳しい感じをストイックな私が実践すると結構つらいことになるかも、なんていまにして思う。
ちなみに桶谷は、食事制限もとても厳しい(らしい)。
堤さんのところは、食べたいものは食べていいのよ~と結構おおらかな感じ。

乳房マッサージの最中には、信じられないくらいの母乳が出る。
なにしろ自分の顔に母乳がびしびしと飛んでくるくらいなのだ。
これがいえでも続けばいいのに!と思わずにいられない。

午前中、お願いしていた中野区の出張育児家事支援サービスの方が見え、てはじめに豚汁とひじきの煮物を大量につくってもらった。
見た目は黒柳徹子さんのようなのがなんだかすごい感じの方だ。

午後、件の堤助産院へ。
なかなか快調である。

龍晴は今日も元気でうれしい限り。


今日の授乳:13回、うんち5回、おしっこ9回。
マッサージの成果か、授乳回数が減ってきた!


5/24(火)
昨日、出張派遣にきてくれたTさんが、サービスで沐浴にきてくれた。
ありがたい。
そうして学ぶべきところが多い。
年長者、経験者はさすがである。

龍晴が夕方から夜にかけて珍しく興奮してしまい、
全然寝てくれない。
30分に1度近い頻回授乳となり、出ない乳房を前にかなり凹む。
龍晴を満足させてあげられれいない?その思いに。
そうしてその凹みを帰ってきた夫に対してぶつけてしまった。反省。
でも言いたいことを言えたのはよかったのかも。


今日の授乳:15回、うんち6回、おしっこ14回。


5/25(水)
最近、龍晴ができるようになったこと。

涎を出す。
生後すぐの新生児は涎はほとんど出ないのだが、分泌がはじまった模様。

両目をぱっちりと開ける。
生まれたばかりは目を閉じていることがほとんどだった。
いまは両目を良くあけている。
そういえば生後すぐ、龍晴はぱっちりと両目を開けて、まず私を、そのあとに夫のことをじいっと見ていたっけ。
あれはなんやったんやろうな、確認してたんかな、と夫は不思議そうにいまもときどきいう。

いろいろな声で彼なりに話したり、寝言をいったりする。
反射だと思うけど、笑顔。
にこっとされるとふんわりとした気持ちになる。
反射ではなくなった本物の笑顔なんて見せられたらたまらない気持ちになるんだろうなあ。

龍晴は、子どもは、
毎日成長している。
子どもの成長って本当に早いなあと思う。
できるだけすべて憶えていたいと思うのだけれどもできるだろうか。
そのひとつの手法としてこうして(手帳に)日記を書いている。

今日の授乳:13回、うんち4回、おしっこ12回。


5/26(木)
昨日から夫が沐浴をしてくれるようになった。
私は補助。
女性の私よりも男性の夫の力で沐浴が安定したせいか、龍晴もお風呂によりゆったりとした表情で入っている。
よかった。

最初は「俺は沐浴はできひん」といってサポートにまわっていた夫、
火曜日の夜、私が凹んで夫にあたったことのひとつが実はこれ。
できひん、ではなくてどうしてやってみないのか?
子どもともっと直截的に触れ合ってほしい、というのが私のいいたかったことなのだ。
そもそも沐浴は力仕事なんだし。

そうして夫のいいなと思うことは、自分で納得したことは必ず実行することだ。
予想通り私よりよほど夫のほうが沐浴が上手。
子どもを上手にあやしながら(といっても赤ちゃんことばを使わないのが夫の好きなところのひとつ。もちろん私も使わないけど)、お風呂に入れているところも見ていて微笑ましい。
夫は最近は何度も抱っこしたりあやしたりするようになった。
夫には子どもとたくさん触れ合ってほしいなと思う。
よい父親になってほしい。よい父親に。よりあたたかいひとに。

私の顔と胸の皮膚炎が復活。
子どもにうつるようなものではないと思うのだが気になる。

今日の授乳:14回、うんち11回、おしっこ11回。
いま思えばこの日、龍は体調が悪かったのだと思う。
熱はなかったのだけれども(毎日2回検温している)、うんちの数がいつもよりかなり多い。


5/27(金)
龍晴が産まれて2週間が過ぎた。
あっという間。
毎日がてんやわんやだ。

お腹が空いてもぞもぞしはじめたのを見計らって、おむつをかえる。
おむつかえが大嫌いな龍はたいていこのとき泣く。
おむつを変えたら授乳。
授乳のあとに、あるいは途中にもう一度おむつの点検。
ぶりぶりと音がしたらうんち。
おしりふきは使いたくないので、コットンにぬるま湯をひたしてきれいにふくか、あるいは洗うか。
合間に家事。
それだけで一日が過ぎていく。
正直言って、まだ「楽しむ」ところまできていなくて、
ただただ目の前で起こることを処理していく、という感じ。
それでも龍の寝顔、お乳を飲んでいるときの無心の表情を見るのは至福だ。

最近なんともかわいいなと思うのは、
夢中でおっぱいを飲んでいたはずなのに一度乳首を離して飲むのをやめ、
数秒ぼんやりしたあとに、あ!そうだ!俺、おっぱい飲んでたんだっけ!というはっとした顔をして
慌てて飲みなおすところだ。
何回これを見ても笑ってしまう。

頬がふっくらとしてかわいらしい。
こぶとりじいさんみたいや!と夫は笑う。
ぷくぷくしててかわいらしいなあ、といって何度もつっついている。

おならが出るようになった。
夜はとてもよく寝てくれる。
といってもずうっと寝ているわけではなくて、それでも数時間まとめて寝てくれるのは珍しいことらしい。
昼間の疲れを、だから私は夜にとることができるのだ。ありがたいことだ。
一方で、夜、いきみがはじまった。
おなかにガスがたまっているせいらしい。

龍晴はたいせつな宝物。
夫はよくそういう表現をする。
私もそう思う。同じことを思う。

今日の授乳:15回、うんち4回、おしっこ13回。


5/28(土)
休日。
夫は午前中、マッサージへ。
ようやくマッサージにいけるようになった夫、良かったと思う。
夫のフットサルは台風で中止になった。

そういえば龍と私が退院した夜、
夫は「久しぶりにビール飲も!」といってビールを開けた。
もともとあまり飲まないひとなのだけれども、
それでもいえでごはんを食べるときにはコップに一杯くらいは開けていたのに
入院中はそれどころではなかったらしい。

龍は機嫌よく過ごしている。よかった。

私の皮膚炎、またかなりつらいことになってきた。
おなかのPUPPPは出産とともに完治したのだが(でも痕は残るだろうと思う。まあ、名誉の負傷ということで)、顔はやはり別物だったのだ。
ステロイドの塗布を、手と顔だけ復活させる。

今日の授乳:16回、うんち3回、おしっこ17回。


5/29(日)
夫にゆっくりしてほしくて、先週に続き、日中はそとでゆっくりしてきたら?と送り出す。
夫は早く龍と一緒に動物園とかに行きたい、出かけたい、といっている。
その気持ち、わかるわ!
私も子どもと夫と一緒に早くお出かけがしたいな。
動物園にも行きたいけれども、近くに散歩するだけでもいい。


今日の授乳:14回、うんち5回、おしっこ12回。


5/16(月)
早いもので、明日は退院予定の日。
退院診察を受ける。
診察の結果、龍晴と私自身に問題がなければ退院できる。
もともとは問題があってもなくても退院を1日延ばそうと思っていた。
夫は仕事が忙しいし、いえに帰るのが先のほうがいいと考えたからだ。
夫と私、ふたりともの共通の意見として。
のだけれども。
やはり夫と龍晴との生活を早くスタートさせたくて早くいえに帰りたくて
そうして夫もそう望んでいたので、やはり退院できるならすることにする、ことになった。

結果、龍晴には何の問題もなく、私には若干問題はあるけれども
退院できないほどではないということで、めでたく明日退院することになった。
うれしい。

早くわが家に帰りたい。

夫の待つ家。
夫と龍晴と私とであたらしくはじめる毎日。

明日からは夫と龍晴と私の3人の暮らしだ。
本当に楽しみだ。

病棟の看護師、Yさんに、龍晴と私は唯一の「ノーマーク」、これまで何百人もそれ以上にも出会ったなかでもっとも優秀な部類、といわれてうれしくなる。
優秀な部類、というのは、龍晴の体調や授乳の仕方や母乳の飲み方、などについて。
よかったね、龍晴。


5/17(火)
退院。
今日から3人になったわが家へ。
いえを出るときは2人暮らしだったのに、不思議な気持ち。
これからどうなるか心配な部分ももちろんあるのだけれども、
何とかなるだろう。
何より家族3人でいられるのがうれしい。

夫が10時に迎えに来てくれて、
退院がうれしい私は昨日からすべての荷物を整理していて、
なのでスムーズに退院ができた。
お世話になった助産師さんや看護師さんに挨拶したかったのだけれども
ナースステーションはその時間、ほとんどひとがいなくて残念に思う。
何人も助けてくれた方々がいたので、直接お礼をいいたかったのだけれども。
落ち着いたらお礼状を出そうと思う。

夫と3人、タクシーで帰宅。
いままで住んでいたいえ。懐かしいわが家。
たった数日のことなのに、それまでと全然違って見える。
胸元にで眠る龍晴。
今日からは龍晴が一緒なのだ。

家事ができない夫がきれいに掃除してくれていたいえ。
ベビーベッドに龍晴を寝かせてひとごこちつく。
やっぱりわが家はいいなあ。

夫は仕事があるので事務所へ。
私と龍晴だけ残される。
ずうっと子どもの顔を見てしまう私。
何度見ても飽きることのない。わが子ってすごい。

夕方、これまでぐずったことが一度もない龍晴がぐずる。
授乳をしても抱っこしてもなにをしても小一時間、火がついたように泣き止まない。
こんなことははじめてだ。
いつも抱き上げればすぐに泣き止むのに。
そとでは雷が鳴っていて、消防車のサイレンも大きな音がして、環境が変わったばかりで、
子どもにはしんどいのだろうか。

はじめてのことでとても焦り、夫に電話をすると、すぐに帰る、との返事。
仕事中なのに悪いことをしてしまった。
夫はタクシーですぐに帰宅し(なんと電話して20分後にはいえにいた。事務所が近いってうれしい)、
どうにも泣き止まない龍晴を前に、病院に電話をしてみたら?という。
こんなことで電話しても・・・と思ったのだけれども、電話をしてみたら、
たまたまY看護師につなげてくれた。
Y看護師「あー、洗礼、受けましたね」とにこやかにひとこと。
Kさん(私の名字)、落ち着いて。大丈夫。
授乳はしたんですね、熱はないんですね、だったらリクライニングの椅子に座って、胸のところでぎゅっと抱きしめてあげてください。そうすればそのうち泣き止むから、とおっしゃる。
そうなの?と思いつつ、電話を切り、そのとおりにするとものの5分もしないうちに龍晴は泣き止んだ。
よかった。なにか悪いことになったら・・・と動転してしまったので、心底ほうっとする。
夫の機転に今日も助けられた。
こんなことで病院に電話しても?という私に、そんなときこその病院やんか、だめならだめでええやん、といってくれた。そのおかげ。ありがとう。

今日の授乳:17回、うんち2回、おしっこ7回。


5/18(水)
龍晴がいえに来てから生活が一変した。
すべてが龍晴を中心にまわる。
よろこびも。楽しさも。不安も。

夫はことのほか喜び、何度も龍晴の顔を見る。
頬っぺたをそうっとさわる。
抱くのはまだぎごちないけれどもそのうちなれるだろう。
夫はこれまで首がすわっていない赤ちゃんを抱いたことがないのだ。
なにごとも経験だから、と最低1日1回は抱っこしてね、といっておいたら
毎日日課をこなしていて、退院後は積極的に抱っこするようになった。

仕事が忙しいのに毎日早く・・・20時くらいには帰宅してくれる夫。
感謝である。

2人ではじめての沐浴。
昨日は警察病院で沐浴があったので、今日が退院後はじめてだ。
緊張したのだけれども、龍晴はとてもおとなしく、お風呂が好きらしい。
気持ち良さそうな極楽顔でお風呂に入っている。
かわいい龍晴。

今日の授乳:19回、うんち3回、おしっこ10回。


5/19(木)
京都からオモニが来てくれた。
鯛で出汁をとるワカメスープをつくってくれて、育児に関するいくつかのアドバイスもしてくれた。
ありがたい。
オモニは龍晴をとてもかわいいと思っている様子なのもうれしい。
私の両親には初孫だけれども、アボジとオモニにとっては6人目の孫で、はじめての男の子、でもないから、そこまで関心はないのかな?と正直思っていたのだけれども、
いえに着くなり、龍晴の写真をパパラッチなみに激写続けていて、かわいくてかわいくて仕方がない、という様子。
孫はみんなかわいいんや、とオモニはいう。
そうか、そういうものなのか。
それにしてもオモニの反応には夫もとても驚いていた。
かわいいのはわかるけど、もっとクールな反応なのかと思ってた!といって。
ゆっくりしていくのかと思ったら、11時にきて、15時には帰ってしまった。
なんもやることあらへんなー、掃除やら洗濯やらしにきたのに、といって。

それは夫がやってくれたものだ。
退院後、しばらくは夫が掃除や洗濯を、私がその補助を、ということになっている。
料理は基本しなくて、惣菜を買ってきてもらったり、前につくっておいたものを解凍してあたためる、という感じ。
手抜きといわれればそのとおりだけれども。産褥期間中は大事にしないとね。

龍晴は今日もかわいらしい。
ぜんぶかわいい、というと、そうやなあ、と夫。
私たちも親ばかだねえ、と夫とふたりで笑う。

今日の授乳:16回、うんち2回、おしっこ8回。


5/20(金)
母乳の出が気になって、堤助産院へ。
以前、母乳の教室に行ったところだ。
いえからタクシーで5分の距離に母乳専門の助産院があるのはありがたい。

龍晴の体重を測ってもらったが、
順調に増えているとのこと。
つまり母乳は出ているということだ。
それでも頻回授乳が気になる。この時期はそういうものだとはいわれるのだけれども。
母乳マッサージをしてもらい、かなり出がよくなったように思う。ほうっとする。

夫は子どもが本当にかわいくてかわいくて仕方がないようだ。
そのことがとてもうれしい。
夫はどちらかというと「いきもの」が苦手で興味がない。いろいろな意味で。
かわいらしい、という反応はしても、
育てる、とかいつくしむ、ということがあまりなかった。
子どもはどうなんだろう?と思っていたのだけれども、
やはり自分の子どもは全然違うらしい。よかった。

夫には子育てをとおして、そういう感情が豊かになったらいいなと
ひそかに思っている。

今日の授乳:14回、うんち6回、おしっこ10回。


5/21(土)
土曜日。とてもいい天気。

夫は昼に「パスタキッチン」へ行き、私のぶんは持ち帰ってくれた。
龍晴を産む前に約束していたことをちゃんと叶えてくれる夫。ありがとう。
「パスタキッチン」のみなさんも、子どもができたことを喜んでくれているそうだ。
龍を連れて行けるのはあと数ヶ月先だろうか。

龍晴はとてもかわいらしい。
母乳をあげているときやいろいろな瞬間に、
喜びとしあわせがこみあげてくる。

産まれてきてくれてありがとう。
夫と私のところにきてくれてありがとう。
何度もそういっただろう。
きっとこれからも思うだろう。

夫もよく同じことをいっている。

今日の授乳:15回、うんち6回、おしっこ10回。


5/22(日)
日曜日。
夫には気分転換に昼から出かけてもらう。
息抜きはたいせつだ。
特に働く、おとこのひとにとっては。

龍はとても元気。
龍を何度見ても全然飽きない。
たぶん当たり前のことなのだけれども。

胸のうえで眠っている姿がいとしい。

夜、30分ほど龍晴が泣き止まない時間があり、
すぐそばで思いっきり眠っている夫に苛立ってあたってしまった。
申し訳なく思う。
子育てがはじまったばかりなのに!私ってやつは・・・。


今日の授乳:15回、うんち5回、おしっこ12回。
5/9(月)
中野妊婦仲間と出産前最後の集い。
早稲田通り沿いにあるエカイエに行き、ランチをしながらみんなで話をする。
中野妊婦仲間のうち、ひとりは無事出産を向かえ、今日集まった私を入れて5人はこれから7月にかけて
三々五々、みんな出産に向かうのだ。
また産まれたら会おうね!と手を振りあい、おなかの赤ちゃんにみんなであいさつをして店をあとにする。

帰宅後、ものすごく眠くてたまらなくなり、いえに帰ってずっと眠ってしまう。

夫が夜、ポテトチップスを買ってきてくれた。
ポテトチップスはお菓子のなかでいっとう好きなもので、苺のショートケーキと並び、出産前に絶対に食べておきたい!といきまいていたものなのだ。
食べたいっていってたやろ、この前、食べれんかったから。
そういって夫が買ってきてくれたもの。
優しいなあ。ありがとう。
はたからみたらどんなにささやかなことでも私にとってはとてもうれしいこと。

ちびちびは今日も元気。


5/10(火)
朝5時に起きる。
最近、いつもこんな感じだ。
夜1時か2時に寝るのだが、朝は5時か遅くとも6時には目がさめてしまう。
その代わり、日中に暴力的な眠気におそわれる。

いよいよからだのむくみも始まった。
ストレッチやつぼ押しやヨガや海草を食べたり!やらでは全然解消しないむくみだ。
これがはじまると出産がすぐ近くに来ていると、銀座の鍼灸のS院長がいっていた。
そういえば週頭におなかも壊した(おなかを壊すのも兆候のひとつ)。
本当に近いのかもしれない。

早くちびちびに会いたいな。
夫も同じことをいっている。

午前中、東京女子医大の皮膚科へ。
いまつけているステロイド剤が、産後、子どもの皮膚についたとしたらどうなる?ということを確かめにいったのだが、納得のいく回答をしてもらえた。
川島教授、お忙しいだろうに、そして患者もすごく多いだろうに、
カルテひとつ見ずに私の顔を見るなり「だいぶよくなりましたね」とおっしゃる。
患者ひとりひとりのことを覚えているということなのだろうか?すごい。

昼ごはんは高田馬場のパティオでハヤシライス。
もうすぐ出産だから、とマダムにお伝えする。

その後、夫の事務所へ。
まとめてしておきたい仕事を済ませる。
これで2ヶ月くらいは大丈夫でしょう、というところまで手伝いができた。
ほうっとする。

夜は夫と高田馬場の中華へ。
こちらのお店もいつもとてもよくしていただいているので
出産前に顔を出しておきたかったのだ。
店主に挨拶ができてよかった。

夫とともに帰宅。
うれしい一日。

ちびの動きが少なくなっている。
元気は元気なのだけれども、動ける範囲が狭まった印象。


5/11(水)
午前中、銀座の鍼灸へ。
S院長に「ぶっちゃけ、いつ産まれると思います?」とたずねると、そうですね、土日の夜でしょう、と予告。
そうか!
それならそれまでに最後の追い込みだ。

私と夫のあいだでは、ちびちびは13(金)の夜に産まれるということになっている。
13日の日中に夫は重要な会合がある。
出産を優先してくれるとはいえ(当然やと夫はいっているけど)、やはり重要な会合がない日の方が気持ちだっていいだろう。
だから13日の夕方くらい、夫が会議後にメールをチェックすると「陣痛始まりました。先に病院に行きます」という私からのメールが届いている、というのが私の妄想だ。
そううまくいくんかな~と夫はいっているけれども、
だいじょうぶ、ちびに毎日言い聞かせているもんね!とおなかをなでる私である。

と。
思っていたのだが。

17時頃、破水疑惑第2弾。
この前よりは量が多いみずっぽいものが出たのだが、それでも世の中的なイメージどおりの破水とはずいぶんと違う。
念のため、警察病院に電話。
看護師さんが「破水の可能性がある場合はとにかく来ていただいている、入院の準備も持ってきてください」とおっしゃるので、まさか~おおげさな~と思いつつ、入院用にまとめていたバッグのうちのひとつを持ち、夫に用件を伝え(もし入院になったら大きいほうのバッグをもってきてほしいとかそういうこと)、病院へ向かう。

夜間に入っていたのでまたしても救急外来へ。
すぐに診てもらえるかと思っていたのだが、
私の直前にただごとならない産婦人科の緊急対応があったらしく、
救急担当医だけでなく、私の主治医のI先生まで救急に来ていた。うむむ。

ようやく私の診察。
まさか~と思いつつ、
時間外なのにご迷惑おかけしてすみませんね、念のためということで、と言いながら診ていただくと
「破水です」とのこと。
ええっ?と驚く私。
観念して入院してください、とM先生が冗談めかしておっしゃった。
さらには感染症にかからないようにするために、これから48時間以内には産んでいただくことになります、とおっしゃるではないか。
えええ?そういうシナリオなの?
・・・びっくりである。

ちなみにそれって促進剤使うってことですか?と聞くと、そうです、とのこと。
促進剤か・・・なるべくなら「すべて自然」にいきたかったのだけれども、仕方がない。
ちびちびが元気に産まれてきてくれるのなら。
そればかりを思う。

救急外来から産科病棟から迎えにきてくださった看護師さんと車椅子で移動。
そのまま入院。
夫に「破水だったよ、緊急入院になったよ」という説明の電話をする。
夫も驚きつつ、1時間後には荷物を持ってやってきてくれた。
医師と助産師さんがしてくれた説明を夫にいまいちど詳しく話す。

夜、23時過ぎにM医師の診察があり、バルーンを入れる。
私は前期破水といって、子宮口が開いていないのに破水をした、という状態。
したがって、子宮口を開けないといけないのだ。
3センチの小さなバルーンを入れて朝まで陣痛と子宮口開大を待つ。
明朝までに開かなければ5センチのバルーンに切り替えるのだそうだ。

深夜、陣痛が始まる。
10分に1度程度の強い痛みがやってくる。
これが陣痛の始まりか!
よせてはかえす波のような感じだ。
波がない間は眠ることもできるが、波がやってくると痛くてもだえる。
ちびちびがもうすぐこの世に産まれることを思う。

帰宅した夫に詳報をときどきメールで送る。
夫は明日の10時に病院に来ることになっている。
つまりそれからが私たちの「出産のはじまり」ということ。

思いがけない促進剤も、破水も、少し不安だけれども、
ちびちびと夫と3人で乗り切ろう。一緒に。
夫からも同じ内容のメールがくる。
早くちびに会いたい。
とても楽しみだ。
どんな顔?どんな目?鼻?口?
元気だったらそれでいい。やっと会えるね。


5/12(木)
ほとんど眠れないまま夜が明ける。
しかし朝、深夜から明け方まで続いた陣痛の波はだんだんと遠のいてしまっていた。
朝からLDR(陣痛~分娩~快復までをひとつの部屋でできるシステム、その部屋のこと)で陣痛促進剤を点滴。
子宮口は2センチほど開大していた。
バルーンは変更しない方針らしい。
担当についてくださる助産師のDさんは、病院のマタニティクラスで講師をされていた女性で、てきぱきとして明るくて頼もしい、好印象の方だった。
医師はまだ一度も診察を受けたことがないH医師。女医さんである。

さて。
促進剤を投与されつつも、
10時少し前に病院にきた夫にも軽口をたたく余裕もあったし、
お昼近くなったので、お昼ご飯食べてきたら?先は長いし、まだ余裕だし、2時間でも3時間でもお昼に行ってくるといいよ!なんて言って、そうやなそれならちょっと上の階のレストランに行ってくるわと夫は12時少し前にLDRをあとにした。
するとその数分後、信じられないくらいの痛み到来。
おお、これが陣痛か!などと考えている余地すらない。
ちょうどそのとき、D助産師も出払っていて私しかいない。
分娩用に用意しておいた音楽が気になり、陣痛に集中するために止めてほしいのだが頼めるひとがいない(いま思えばどうしてそんなことが気になったのだろうか)。
なんとか携帯に手を伸ばし、夫にメール。
帰ってきて!というひとことだけしか打つことができず、しかし夫はすぐに帰ってきてくれた。

陣痛は、信じられないくらいの激痛だ。
いままで味わったどんな痛みとも似ていない。
(しかし実際にこれを書いているいまは、痛みの種類や強さのことは忘れてしまっている。だから女性は何度も出産ができるんだって!なるほど~)
何分間隔、なんてもはや意識している暇もない。
病院から教わっていた呼吸法(警察病院は気功を取り入れている)を必死で思い出しなんとか実践する。
夫も必死の介助。
背中をさすってくれたり、いろいろと支えてくれる。
確かに陣痛には波があって、痛みと休息が交互に訪れ、その間隔はどんどん短くなっている。
でもそれを感じる・・・いま痛いから、次は休息ね!とか、陣痛の間隔が短くなっているわね!とか、
そういうふうに思う余裕はそんなにない。
戻ってきた助産師さんたちは子宮口の開大状態を確認し、にわかに分娩の準備を開始しているのがわかる。
この日、3つあるLDRは満室。
おそらく別室にいるH医師に、携帯で、子宮口全開です!と助産師のDさんが連絡をとっている声も聴こえる。
夫は私の後ろで、手を握ってくれている。

そうして。
ああもう本当にこれはすごいかも!というタイミングで、
いきみ開始。
信じられないくらいすごい。なにがすごいかって痛みがすごい。
そのうち私のなかからちびちびが出てこようとしているのがわかる。
頭のようなものが感じられる。
もうすぐですよ、と助産師さんの声もする。
痛みの頂点はたぶんここだった気がする(が、やはりあまり記憶にない)
ああ早く、早くちびちびを産み出したい。ここで痛いのに負けたら、ちびちびを世の中に送り出せない、負けちゃだめだ!と必死でいきみ、同時に頭が出てくるのがわかった。

13時過ぎ。
ちびちびの産声が聞こえる。
元気なちびちびの声。
ああやっと。やっとちびちびに会えたんだ。
そう思ったら、涙が止まらなくなった。
ふだんは絶対に泣かない夫からもそんな気配を感じる。
つないでいる夫の手のちからがぎゅうっと強くなる。

こうして。5月12日13時6分にちびちびは誕生した。

私たちの赤ちゃん。
あなたが産まれた日。

ちいさな命が芽生えてから3人で今日まで頑張って頑張って、
そうして産まれてくれた、私たちの子ども。
子どもの名前は龍晴(りゅうせい)という。
夫の名前から一時とり、「晴」の字は夫が決めた。
まわりのひとびとのこころも晴れやかにするような、そんな子になってほしいとつけた名前。
どうか今日のこの五月の天気のようにあなたの人生も晴れやかで素晴らしいものでありますように。
こころから願う。

それにしても短い分娩時間だった。
初産で高齢、にもかかわらず1時間ちょっとの分娩時間。
これには医療側のスタッフもみな驚いていた。
もちろん私自身も夫も。
私はきっと難産、もしくは長時間の分娩になるだろうなと思っていたし、
だからこそそのためにそうならないような地道なことやそうなったとしての体力づくりをし続けてきたのだけれども
それが功を奏したのだろうか。
夫や私やちびちびの願い、京都や長野からの祈りが通じたのだろうか。


LDRに2時間ちょっといて、夫にも龍晴を抱っこしてもらったり、
カンガルーケアや初乳をあげたりして過ごす。
信じられないくらい龍晴はちいさくてかわいらしい。
顔は思わず笑ってしまうくらいに夫にそっくりだ。
下にさがった少し薄い眉毛、目のかたち。
口元だけ私に似ている。

めちゃくちゃTに似てるね!というと、
夫はうれしそうに笑っている。

すべてがしあわせで満たされている。そんな時間。

最初から早速、母子同室にしてもらった。
警察病院は一日目から母子同室を選べるのだ。
疲れていたりしてゆっくり休みたければ預かってももらえるのだが、私はお願いして母子同室にしてもらった。
助産師のⅠさんがやってきてくれて、添い寝の方法を教えてくれる。
夫は面会時間の終了までいてくれてから帰宅し、
私は朝まで龍晴と添い寝をする。

この世に産まれて数時間の龍晴。
時折あげるくすんくすんという泣き声。大きな声で泣く顔。おっぱいを飲んでいるところ。寝顔。
すべてがいとおしくかわいらしい。
カーテンを開け放した窓からはそとの薄明かりがぼんやりと病室を照らし
神々しいまでの静けさと子どもの健やかな寝息に、穏やかな気持ちになる。
信じられないくらいの幸福感に満たされているのを感じる。
こんな気持ちははじめてだ。

龍晴が夫にとてもよく似ているのもうれしい。
龍晴、産まれてきてくれてありがとう。
本当にありがとう。
帰宅した夫からもメールをもらう。
これから家族3人、楽しく生きていこうね。



5/13(金)
入院一日目。
警察病院のスパルタおっぱい合宿のスタートである。
警察病院の産科は「退院時点で母乳育児に困らない」ことを念頭に特訓のようなスパルタ授乳管理が始まり、さらに至れり尽くせりのケアも特長である。
たとえば24時間体制の母乳相談室。
助産師さんが2人常駐していて、母乳で悩む母たちが赤ちゃんを連れて集まってくると、いろいろなケアをしてくれる。
具体的な授乳指導だったり、場合によっては疲れてしまったお母さんから赤ちゃんを離してお母さんを少し寝かせることも含めて。
赤ちゃんがお乳をもっとも求めるのが夜なので、24時間あけておかないと意味ないでしょ、というのが病院の方針なのだが、本当にこれには助けられた。
だいたい最初から、母乳がわんさか出たり、あるいは母乳をわんさか飲んでくれる赤ちゃんなんてそんなにいないのだから。

警察病院の面会時間は13時~20時。
夫は仕事の合間を縫ってやってきてくれる。
龍晴のたんじょうをことのほか、私の想像よりもずうっと喜んでいる夫。
病室にやってきては、ほんまにかわいいな~を繰り返し、
龍晴の頬っぺたをつっついたり手をさわったりしている。
わかるよ、その気持ち!
夫もよくいうのだが、子どもがこんなにかわいいなんて思わなかった、というくらいにかわいいのだ。
いままで産んできた友だちはみな同じことをいっていて、そういうものなんだ~というくらいにしか思っていなかったのだが、自分が産んでみると確かに、思っているのの何倍、などといえないくらいにかわいいのだ。不思議だなあ。
夫もそういう気持ちでいることが何よりもうれしいことのひとつ。

昨日の子どもの様子があまりにも神聖で神々しく、
そのことを助産師さんたちに話すと、そうなのよ~、赤ちゃんって出産当日と翌日は全然違うのよ、と異口同音におっしゃった。
そうなんだ。
やっぱり昨日、一緒にいてよかった。


5/14(土)
入院二日目。
朝から授乳指導、沐浴指導など指導がつづく。
警察病院は母乳ケアとあわせて各種指導がすごい勢いでスケジュール化されている。

龍晴が誕生して3日目。
何度見てもかわいらしくてほうっとする存在。
おっぱいを飲んでいるときの背中がとても愛らしくて、涙が出そうになる。
こんな気持ちが世の中にあったのだということ。
こんな気持ちを持てる存在。
朝、目が覚めたときに横に寝ている龍晴を見るときのしあわせ。

夫も毎日のことながらとても喜んでいる。
想像以上の喜びっぷりだ。
よかった。
面会時間にお願いしておいた荷物などを持ってきてくれる。
入院中の私の洗濯などや家事なども頑張っている夫。
忙しいのにありがたい。

出産して意外だったのは、予想よりはるかにおなかが小さくならないことだ。
すぐに体型が戻らないとは聞いていたがそれどころの騒ぎではない。
いまでも妊娠8ヶ月ですか?というくらいの出っぷりだ。
妊娠中からやたら腹囲があったせいだろうか。

想像していなかったことといえば、
産後には歩きにくくなること。筋肉痛になること。
当たり前といえば当たり前なのだが、全然想像していなかった。
なにごとも経験してみないとわからない。
妊娠と出産はその極地かもしれない。


5/15(日)
入院3日目。
まだ母乳の出があまりよくない。
こんなものですよ!とおっぱい合宿の助産師さんたちは励ましてくれるのだが。
龍晴も私も吸い付き・吸い付かせについては比較的早くマスターしたのに、
如何せんすぐに母乳が出るわけではないのだ。

そのため一時間に一度程度の授乳。
夜中も当然そうなので寝不足なはずなのだが、
神経が張っているせいか全然疲れない。
もともと睡眠が短くて済むタイプというせいもあるだろうか。
体力があってよかったとほうっとする。

午後、長野から両親と、川崎の従妹夫婦、伯母がお見舞いに来てくれる。
夫と相談し、分娩が終わってから両方の実家に連絡しよう、ということに出産前に決めて、
そのとおりにしたら、さすがに両家の両親ともにびっくりしていた。
夫の姉からはいきんでいる最中に電話があったし(ナオさんげんき?そろそろやんなあ、というのが主旨だったそうなのだが、まさか分娩中だとはとびっくりしていたそうだ)。
みな安産であったことと、龍晴が無事に生まれたことにとても喜んでくれた。

しかしお見舞いはありがたかったが、
両親と親戚の連続お見舞いが12時~17時まで続き、さすがに疲れてしまった。
龍晴には不安な環境だったらしく、母乳も飲まなくなったし眠れなくなってしまったようで
とても心配する。
みんなが帰り、夫と3人になったらやっと落ち着いた様子の龍晴。
やはり新生児に騒がしいのはよくないということなのだろう。
警察病院は基本的に「お見舞いは遠慮してください、親であっても」・・・なぜならそのことで、お母さんと赤ちゃんが疲れてしまうから、という方針を貫いているのだが、
確かにその通りなんだね、と夫といいあう。

昨日は夫のフットサル仲間までがみんなでお祝いを準備してくれたと喜んでいた。
みんなに祝福されるのはとてもうれしいことだ。
出産報告を待ってくれている友だちたちにも連絡をしたいのだが、
携帯の画面を開くだけで目が疲れてしまう。
これも出産してみてわかったこと。

夫は本当によく頑張ってくれている。
疲れているだろうにありがたい。
仕事もとても忙しいけれども、これくらいのほうが張りがあっていいという。
俺にとっては今年は転換期や、仕事もそうだし新しい家族もできたし、と何度もいっている。
夫がそう思ってくれているのがうれしい。
龍晴を見るときの表情はいままでと全然違う。
きっと私もそうだろう。

まだちいさな龍晴の頬っぺたをそうっとさわる。
ちいさな指。背中。お尻。あたま。目。鼻。口。おなか。足。
そうっとなでる。いとしくて何度もなでる。
かわいらしい声も好きだ。
龍晴の声がおもしろくてかわいくて、
夫とふたりでよく笑う。

この背中のかたち、お尻のかたち。
私のおなかのなかに入っていたときと同じかたちをしている。
愛らしくて、いとしさがこみ上げてくる。


これを書いているのは出産してから3週間目にあたる「いま」だ。
手帳につけている毎日の日記をもとに、さらにいろいろなことを思い出しながら書いているのだが、
出産してからすべてが変わってしまったように思う。
それ以前とそれ以降。
同じものでも同じようには見えないし感じない。
震災のときにも感じたが、同じように、あるいはさらにそれ以上に。
生活も一変した。
以前、鍼灸のS院長が「子どもができたら子どものことが頭から離れる瞬間は一度だってない」というようなことをおっしゃっていたが、まさにそのとおりだと思う。

うれしいことは、龍晴が元気なこと。
夫がこころからうれしそうなこと。龍晴をかわいくて仕方ないと思っていること。
父親としても夫としてもさらに頑張ってくれていること。
私のからだも順調なこと。あれ?と思うこともあったが、大丈夫そうだ。

毎日どんどんと成長していく龍晴。
昨日はできなかったことが今日はできていたり、
そんなこといつのまに?とかその奇声はいったい・・・とか、
夫と3人で育児を楽しんでいる。
もちろん眠れない(眠らせてもらえない)こともあるし、泣かれると困ったりもするのだけれども
総じてすべてが順調だ。
龍晴は育てやすい子どものようにも思う。
既に授乳が3時間おき程度(夕方だけ1時間おき)、夜は4時間おき程度になったので、
私もだいぶ睡眠がとれるようになったし、
なによりも龍晴は無駄に泣くことがないことも重要なことに思う。
たとえば泣いてしまっても、抱き上げて欲求を・・・たとえばおしっことかうんちとかおなかがすいたとか暑いとか寒いとか単に泣いてみただけとか、そういうのを満たしてあげれば一瞬で泣き止む。
一度だけ、退院した当日に2時間ほど欲求がわからずにずうっと泣かせてしまったのだが、ぎゃんぎゃんと泣かせてしまったのはそのときだけだ。
おむつを変えられるのと服を変えられるのが大嫌いで(そのくせ濡れるとむずかる)、
変えている最中は泣いているけれども変え終わって抱き上げるとけろりと静かになる。
親孝行息子だねえ、と夫といいあう毎日だ。

それでもこれからは定期的に日記を更新していくのは難しいだろう。
手帳につけている日記も2日分や3日分をためてみたりしている状態だ。
でもまたそのうち。
折をみてできるだけ日々のことを残していくことにしようと思う。









5/7(土)
もうすぐ産まれる、と思うと、
うれしい気持ちとまだ足りていないのではないか?という少しの焦りがやってくる。
思えば子どもの頃、遠足の「もちもの」が発表されるやいなや、その日のうちにすぐに準備をしてしまい、
でも前日の夜や当日の朝まで、なにか足りていないのではないか?とドキドキしていた、
そういう子ども時代からこの性格は変わっていないということだ。

昼は「パスタキッチン」へ。
食後、そろそろですか?とオーナーに聞かれ、予定日より早くて、来週か再来週みたい、と夫が答えると、みんなで見送りをしてくれた。
また産まれたらきてくださいね!といって。

「パスタキッチン」にて、とても楽しいことがあった。
楽しくて頼もしいこと。
夫にまた惚れ直してしまった。
それにしてもなんて頼もしい夫、そして父になったことだろう。(いや厳密には父になるのはこれからだけど)。

夕方、夫はフットサルへ。
いつもなら駅まで、とか高円寺まで、とか途中まで見送りがてら出かけるのだが
どうにも疲れてしまい、いえから見送る。
ここ数日、ものすごく疲れる。
夜、夫は早めに帰宅。

間に合わないかもしれないと思っていた臍帯血バンクへの登録、
なんとか間に合いそうでほうっとする。

ちびちびは元気にうごうごしている。



5/8(日)
朝から事務所で夫の仕事を手伝おうと張り切っていたのだが
肝心の夫が今日は事務所へは行かなくて良さそう、ということに。

昼は駅前のお鮨屋さんへ。
ひとりでときどき行っているお店で、夫と一緒なのは2回目。
昨日の「パスタキッチン」に続き、こちらでも顔なじみの店主から
「そろそろですよね?」と聞かれる。
予定日より早まって・・・の話をすると、無事に産んでくださいね、といって
大トロ(この鮨屋ではいっとう高いネタ)を夫と私ぶん、サービスしてくださった。
おおお!ありがたくいただく。
もう一度くらい産む前に来られたらいいんだけど・・・というと、
そんなの全然!と店主がにこやかにいって、頑張ってね!と手を振ってお見送りしてくださった。
その場にいたお客さんたちからも激励を受ける。

昼過ぎ、新宿のKAMOに行き、フットサル用のシューズを購入。
今日はとても暑い。
途中で喉が渇いたりなんだりして、飲み物やアイスクリームを食べる。
解禁だからってこんなに食べていていいのだろうか?のていたらくぶり。

ヴィタメールでケーキを買う。
出産前に是が非でも食べたい生クリームたっぷりの苺のショートケーキ。
夫は迷った結果、マンゴーのケーキにしていた。
苺のショートケーキはあちことでいろいろと食べてきたけれども、気軽に手に入るケーキショップのなかではヴィタメールのものがいっとう口にあう。
夫はデパートの地下に入るなり、すたすたとヴィタメールの売り場に歩いて行って
私をびっくりさせる。
まさか私が好きなお店の売り場まで憶えていようとは。

電車で帰宅途中、破水疑惑。
慌てて自宅に戻る。
が、どうにも判断がつかない。
なんか違う気がするなあ~と夫にいうと、念のため病院に電話をしたほうがいいといわれる。
まあそうだよね。
すぐに病院に来て下さいということになる気もしてしまうので、
急いで片づけなどを済ませてから病院に電話をすると、破水の見分け方を丁寧に教えていただいた。
曰く、よくいわれるのは、自分で止められる(た)かどうかと匂い(破水は生臭いという)だが(この2つは知っていた)、判別がつきにくいのは「自分で止められたかどうか」ということ。
子宮のなかで赤ちゃんが蓋をしてしまうと、破水が止まってしまうため、判断がつきにくくなる要因なのだそうだ。
ついては、横になってごろごろとからだを動かし、赤ちゃんの位置を変える。
その結果、少しでも水っぽいものが出れば破水の疑いが高いため、すぐに病院に行く必要があるのだそうだ。
なるほど!
早速試してみると、もう水っぽいものは出ない。
よかった。破水ではないらしい。
病院に行かなくて済んだのだけれども、電話で話した助産師さんからも、おそらく近日中に産まれると思うから、入院の準備はしっかりしておいてくださいね、といわれる。

確かにここ数日でからだはだいぶ変化してきている。
おなかの張りもすごければ陣痛の頻度が高くなってきているし、やたらと疲れるし眠いし、ちびちびの動きは少なくなっているし。
ちびちび、もう少しだね。

母の日のプレゼントが届いたと、京都と長野それぞれから電話。
両方とそれぞれ話をする。

O教授のブログを読んでいたら、金曜日に私がゴトーでチーズケーキを食べていた時間、
先生もすぐ近くにいたらしいことがわかった。
チーズケーキを食べる前と食べているあいだと食べ終わってから、
それぞれ数回、いま研究室に行ったら先生はいるかな?でも手土産ないしな、それに私がぶらりと研究室を訪れた過去10回くらいのうち、先生がいたことは1度もなかったし(アポイントなしでいきなり行っていたので、授業中だったり公休だったりした)、だから今回もいない可能性が高いし・・・などと逡巡していたのだが。
そうかそれならばやはり行ってみればよかったなと思いつつ、やはり行っていたら先生は外出していたわけで会えずじまいだったんだな、とも思う。

O教授のブログにはごく稀に私が登場し、そこで教授の気持ちを知ったりすることがあるのだが、
これは少し不思議な体験だ。
なんというか・・・たとえば新聞の書評欄に知っている小説家の新刊が紹介されていたので書評を読んでみると、そこに自分の名前が書かれていた(どうやら小説家の小説に自分がすこし登場するらしい)、みたいな感じ。

来週は前半にいくつか用事がある。
ちびちび、来週の金曜日あたりに産まれないかな?
と夫にいったら、そこまで確定させるのは無理やろう~とのこと。
さてどうでしょう。


5/2(月)
出産前に海を見たい!というのは、前からの私のわがままである。
実は1月上旬ころ、最後に遠出できそうな3月に、
海を目の前にした温泉地の露天風呂のある旅館に泊まって、
ぷりっぷりの海の幸を食べられる温泉に行こう!と夫といっていて、
候補地も宿も決めていたのだが、夫の仕事がとても忙しくなったので
1月下旬にはその計画を、やっぱりやめよう!子どもが産まれてからでも旅行はできるしね、ということで白紙に戻していたのだった。
どうしても海だけは見たいよ~という私の願いは、ではゴールデンウィークに日帰りで、ということにして。

そうしてついに今日、念願の海に行ってきた。
もはや日帰りも遠出はきついからだになってきたので、無理はせず。
朝、いえを出る。
当日の天気次第で決めようという無計画ぶりだったにもかかわらず夫も私も早起きなので8時にはいえを出られた。
中日だし空いているかな~と思ったら、どうやら働いているひとが多いみたいで、電車は意外と混んでいる。

東京駅でお弁当を買う。
夫は朝から焼き肉弁当、私はサンドウィッチ。それから夫とはんぶんこするカフェオレ。
夫はこの焼き肉あったかいのないですかねえあったかいほうが断然おいしいですよねえなどと交渉し、店主らしき方がそれなら新しいの作りましょうか!といって新しいお弁当をつくってもらっていた。さすが夫である。
横須賀線はグリーン車のチケットを買い、一路、鎌倉まで。
こういうプチ旅行のときには、もう大人だしね~といってグリーン車に乗るのが夫と私の流儀である。
単に「座れないかも知れない」というのが嫌いなだけなんだけど。

鎌倉には9時過ぎに到着。
少し街を歩こうか、ということで、小町通りや若宮大路を歩く。
夫と鎌倉を歩くのはもしかしたらはじめてなのだろうか?
夫は5~6年前のやはりゴールデンウィークに、修行に行くと突然いいはじめて、自転車(しかもママチャリ)で鎌倉に出かけたことがある。目的は北鎌倉にあるお寺で座禅を組む、ということだったはずだが、その前に冒険やといって自転車で出かけたのだ。
横浜で休憩していたときに、偶然これから鎌倉にデートに行くという同じ部署の先輩カップルと遭遇し、自分は自転車で行くのだといったらとても驚かれたこと、お尻が痛くて痛くてたまらなくなったこと、疲れたからだで入った銭湯が気持ち良かったこと、翌日自転車で帰京する気持ちが萎え、自転車を打ち捨ててきたこと!などなど。笑えるお土産話がたくさんあった旅。
当時の夫のいえから近くの幹線道路まで見送り、だんだんとママチャリが遠ざかっていくときの光景をいまも懐かしく思い出せる。お土産にもらったご当地キティ(私が収集している)のお守りも。
夫もそのときの修行旅行、についてしきりに思い出しているらしく、ふたりであのときはああだったよね、などといって笑い合う。

街を歩きながら、お土産屋さんなどを冷やかし、夫は朝からビールとソーセージなどをつまみ、
お土産で売られていたにんにく煎餅とやらを買い、暫くぶらぶらとしてから江ノ電で七里ガ浜へ。
そもそも今回どうして海=鎌倉にしたかというと、七里ガ浜にあるbillsに私が行きたかったから、ということが大きいのである。
そう、bills。
鎌倉のそばに住んでいたときにはbillsはまだなかったので噂のパンケーキを一度も食べたことがない。
ホットケーキに目のない私、こちらのリコッタパンケーキをどうしても食べたかったのである。
最近はそんなに混んでいない、という話だったので、七里ガ浜で降りて、しばらく海を眺める。
目の前がすとんと開けているここの海はとても気持ちがいい。
寄せる海の音。潮のにおい。
小一時間ほど「目の前になにもない海」を堪能したあとに、billsへ。
しかし!2時間半先の席しか空いていないというではないか!
な、なんと。もはや空いているというのは平日のことだけだったらしい。
待合席もないということなので、致し方なく、それなら待っているあいだに江の島にでも行こうか、とまた江ノ電に乗り、江の島へ。
途中で通る鎌高前から見る海の景色が、私は江ノ電のなかでもいっとう好きだ。

さててくてく歩いて江の島に着くと、こちらはものすごーい人出である。
おいしそうな海の幸はないかな~と思ったものの、そういうことを考えて行動することができないくらいに人がいるので、これまた致し方なく、しらすがほとんど入っていないしらすかき揚げ丼を夫とはんぶんずついただく。
時間が近づいたので、うーむ・・・やはり観光地はあかん、といいあいながら、七里ガ浜へ戻り、billsへ。
私たちの予約時間までさらに1時間くらいありそうだったのだが、お店の方が私のおなかを見て、
「窓際の席なら」といってすぐに通してくれた。
願ってもない海が目の前の窓際の席は、風がとても心地いい。
念願のリコッタパンケーキ(しかし味はあまり好みではなかった・・・食感はよかったけど)とハンバーガーまで平らげる。

しばらくのんびりと夫と話をする。
夫と最近話すのは、たいていが産まれてくる子どものことだ。
毎日毎日、楽しみがどんどんとつのってくる。そのことについて。

ちびちびにもたくさん話しかける。
これが海だよ。ちびちびちゃん。
夫と、ちびを海にも連れて行きたいね、そうして世の中にはこんなに広くて大きいものがあることを教えてあげたいね、といいあう。

風が涼しくなってきたのと、私が疲れてきたこともあり、
そろそろ帰ろうとまたもときた道順で、しかし帰りは湘南新宿ラインに乗って、わが家に戻る。
朝早く出たせいかのんびりと過ごしたせいかどうか、
中野の見なれた景色が数日ぶりのように見える。
すごく長いこと旅行にいっていたみたいだね、というと、
ほんまや!と夫。

次に夫と旅行にいくときには、
ちびちびも一緒なのだ。
夫は、来年のゴールデンウィークの話、を早くもしている。
どうぶつえんがええのかな、どこがええのかな、
来年といえば1歳前くらいやろ、歩けるんかな、どうぶつとかわかるんかな、
そんなようなこと。

きっとどこでも楽しいだろう。
夫とちびちびとそうして私。
たくさんあちこち連れていってあげようね。そんな話をする。

ずうっとしたいと思っていたことを全部かなえてくれた夫。
とても楽しい一日。どうもありがとう。


5/3(火)
昨日とうってかわって天気が悪い。
昨日、海に行けてよかったなあ、と夫がいう。
ほんとうだね、と私。

素晴らしい晴天のしたの海はきらきらととてもきれいで
風も気持ちがよくて素晴らしかった。
夫と行きたかった海。

今日は昼過ぎから夫はフットサル、私は銀座の鍼灸なので、
昼ごはんを「パスタキッチン」でいただき、
それからそれぞれの目的地へ。

鍼灸では、もしかしたら15日(心の予定日)までもたないかも知れないなあ~。
そろそろ入院の準備とか完璧にしておいてくださいね、といわれる。
おおお、なんと!
私のように、出産が楽しみ~わくわく、などといっているひとはそれだけリラックスしているということなので、予定日より早く産まれることが多く、一方で「初産は遅れる」という定説は、やはり初産だと心配だったり不安だったり緊張だったりするひとが多いので、遅れる傾向があるのだそうだ。
もちろん私にだって不安はあるのだけれども(少しは)、それよりも早くちびに会いたい、ちび誕生の喜びを夫とわかちあいたい、という気持ちのほうがずうっと強いのだ。

うれしくて、終わってから早速夫にメール。

夜、帰宅した夫、15日より早いなんていったらもうあと1週間やで!
めっちゃ楽しみやん~とうれしそうにいう。
ほんとうだね。とても楽しみだ。

昨日くらいから、おなかが雑巾絞りされるようなとでもいおうか、おそらく子宮が収縮していると思われる状態が激しくなり、しかも増えてきた。
もしやこれは陣痛だろうか?
ちびちびがどんどん下がってきていて、股のうえくらいまで頭が落ちてきているような感じもする。
正規産まで待って欲しいのと、来週の前半で皮膚科に行きたいのもあるので、
あと1週間だけ待とうね、とちびちびに言う。


5/4(水)
朝から夫の事務所に行き、一緒に仕事。
これから数ヶ月は手伝えない可能性が高いので、その分を一気に手伝う。
あと一日か二日あればなんとかなりそうな予感。

ちびちびは私が仕事をしているとずうっと暴れている。
体勢が苦しいのだろうか?

産まれる前の最後の準備仕上げ的に錦糸町の赤ちゃん本舗(中野にはベビー用品の店が皆無なのだ)へ行こうといっていたのだが、
仕事をたくさんしたので体力を消耗。
別の日に行くことにして、夕方には一緒にいえに帰る。


5/5(木)
端午の節句。
なかなかよい天気でほうっとする。

今日は夕方に赤ちゃん本舗に行って、夜は極(きわみ)ホルモン食べにいけへん?と夫。
いいねえ、いいねえ、と私。
極ホルモンとは、大久保の「幸栄」という店で出しているホルモン焼きの名前である。
極ホルモンは他のお店のホルモンと違ってふんわりふわふわ。
味付けも抜群においしい。
妊娠前はちょくちょく行っていたのだが、妊娠してからは一度も行っていないのだ。

午前中、出産のための入院中に夫にしておいて欲しいこと、を伝授。
数日前にいくつかの家事を実際に一緒にやったのだが(以来、夫は私が家事をしていると「予習をする」といって手を貸してくれる)、
今回はそれ以外の部分と、あとは貴重品や万が一私になにか起きたときに何がどこにどれくらいあるか、ということを伝える。
生きていれば実際にいつなにが起こるかはわからないわけで、もしもの場合に夫ができるだけスムーズにいろいろな手続きをこなせるようにしておきたいのだ。
今日、その説明をひととおり終える。

昼はそとで食べようということになり、いえのそばの中華を食べ、
新井薬師の商店街を散歩。
花屋さんに寄り、菖蒲によもぎがついているものを買う。
せっかくだからとお寺まで行き、お詣りをする。
線香台で線香に火をつけていた老婦人ふたりが、私のおなかを見て、この煙をどうぞ、というような仕草をしてくれた。
線香の煙をおなかにたくさんかけてくれる夫。私もお返しに夫に煙をかける。
お詣りをしてすっきりとし、スーパーマーケットに寄って帰宅。

しばらく休憩してから、いざ総武線で赤ちゃん本舗へ。
もう準備はほぼできているし、赤ちゃん本舗のネットでも買っているので、実店舗には行かなくてもいいかな?と正直思っていて、夫にも数日前に、行かなくてもいいよ?といっていたのだけれども、
下見には行っておいたほうがええやろ、せっかくやし、と夫が言ってくれたのでやはり行ってみることにしたのだが。
いやーびっくりした。
ものすごーく広い店内に、マタニティ、ベビー、キッズの用品がたっぷり。
ネットより遥かに豊富な品揃え、安さ。
ふつうネット店舗のほうが品揃えもいいことが多いのだけれども、ここは違うらしい。
都内では私たちが行った錦糸町店と五反田店がいっとう大きいということもあるだろう。
実際に買うものは、大きめサイズのおねしょマットだけだったのだが、じっくりと店内を見学し、赤ちゃん連れの親子を見てはかわいいねえとか何ヶ月かなとかいいあいながら楽しく過ごす。
一時間ほどぶらぶらとしてから、駅の反対側のスポーツショップで夫はフットサルのときに使うサポーターを買い、そのまままた折り返して大久保へ。
久しぶりの「幸永」で極ホルモンやげたカルビを堪能する。

夫のトレンドは産まれてくる子どもの顔予想らしい。
目は一重かな二重かな、俺に似てたら一重やしナオやったら二重やな、とか
眉毛はどうやろうとか、髪の毛はとか、そういうことをよく口にする。
なんとなーく夫にそっくりの子どもが産まれてくる気がして、またそうだと嬉しいなとも思っているので、たぶんT(夫)に似てると思うなあ~とそのたびに答える。
私たちはふたりともアレルギー持ちだけれども、ふたりとも風邪をひいたり怪我をしたりをほとんどしない。そういう、からだが丈夫なところが似るといい。そんなことを話す。
幸せな時間。

夜、疲れが出て仮眠。
夜中に菖蒲湯に入る。

皮膚炎がまたかなり悪化してきた。
薬の塗布を復活。
ちびちびは今日も元気だ。


5/6(金)
今日から37週。
正規産に入る。
正規産とは、妊娠37週0日~41週6日までのあいだに出産することで、要は「この期間内ならいつ産まれても大丈夫ですよ」ということ。
ああついにきましたよ、ここまで。

朝から妊婦検診。
本来は水曜日なのだが、今週は病院が休みだったので先生が特別に検診を入れてくれた。ありがたい。
いつもの検診に加え、今日はモニターでストレスチェック(胎児が出産に耐えうるか等)をしたり、血液検査や内診をしたりする。
ストレスチェックは、おなかに計測器をつけた状態で30分ほど計測する。
最初のうちはもこもこしていたちびちびは、途中からぐっすりと眠ってしまい、助産師さんを困らせる。
起こしましょうね~といっておなかをゆすってもちっとも起きない。
そう、こういうときのちびちびはちっとも起きないんです。すみません。

さてモニターで私のおなかの張りをチェックした先生、驚いたように、
こりゃーもう陣痛始まってるねえ!とおっしゃる。
ですよねーですよねですよね?と私。
やはり今週から始まっている「おなかの雑巾絞り」状態は陣痛だったのだ。
そして鍼灸のS院長のことばは正しかったのだ。すごいなあ。

これはもう予定日(27日)より全然早いなあ、
今日明日ってことはないけど、1週間先とかは読めないなあ、
来週の検診は予定を入れるけど、再来週の検診はもうナシですね、と続けておっしゃる。
おお!ということは、正規の検診日である再来週の水曜日、つまり18日までには産まれるということだ。
予定日までかかるってこと、ありえます?と念のためたずねると、
いやーここまで陣痛来てるもん、ぜ~ったいないない!と明るく笑われた。

現在、37週0日で2706グラム。
もはや体重も申し分ないし(というか予定日までいったら相当大きくなるし)、いつ産まれても大丈夫、とお墨付きをいただく。

検査後、夫に電話。
やっぱりかなり早く産まれるらしいよ!というと、
とても喜んでいる声が電話ごしに伝わってくる。
ほんまに?もうここまできたら早く産まれてほしいなあ。
そんなふうに。

まあどんなに早く産まれてくるだろうという予測があったとしても、
実際にいつ産まれてくるかはわからないし、
私たち夫婦はふたりとも早く産まれてきてほしいなあといっているけれども
それはちびちびが産まれてきたいと思ってくれたときでいいとももちろん思っている。
そうしてそのときは、いずれにせよもうそう遠くない未来なのだ。

検診が思ったより早く終わったので、銀座まで出て「あさみ」で食事。
これが「あさみ」ラスト、とばかりに少しずつゆっくりと味わう。
さらに思いついて、早稲田の「カフェGOTO」へ。
それなりに食事を節制してきた妊婦生活もまもなく終了、それなら今日からもう解禁!で、大好きなGOTOのチーズケーキ、食べたっていいじゃない?と思い立ったのだ。
さらにさらに、今夜は夫と「とん太」でとんかつを食べよう!ということまで思い立ち、夫のスケジュールまでおさえた。
まあ、解禁!といって食べ過ぎると一気に太ってしまうので、昼夜連続で解禁しさらにデザートまで食べるというのは、さすがに今日くらいにしておこうと思うけれども。

早稲田に向かっている途中、長野にいる高校の同級生からメール。
私と数日しか予定日が変わらないが、帝王切開のためゴールデンウィーク中に産むといっていた友だち。無事の出産を伝えるメール。
昨秋にいちばんうえのお子さんを亡くしている友だちの、産まれたよ!のメールはことのほか嬉しく、早速おめでとうの返信をする。

「カフェGOTO」でチーズケーキとお茶をいただきながらしばらく休憩。
出産の予習ややるべきことなどをまとめたりして過ごす。
隣の席にはやたらと声が大きな女子学生二人組みがいて(正確にいうとうちひとりが声が大きく自己主張が激しく、もうひとりはそれを聞きながらたまになだめるという役割)、
いろいろな話をしていた。
そのなかで出てきたのが「ボランティアで単位が取れる」話。
東北の震災でのボランティアのことではなく、どうも早稲田にはなにかボランティア的なことを継続すると単位が取れるという制度ができたらしく、いかにそれを「効率よく、楽にこなすか」というのを声の大きいほうの女の子が力説している。ふうん。

ゴールデンウィーク中に、被災地にボランティアに行っているひとがずいぶんといるらしい。
知っているひとも何人か東北入りしている。
私には被災地に行くことは無理だ。
なので私にできることとして、いつかなにかに役立ったらいいなという継続的な金銭的なこと、できるだけ被災地の商品を買うこと(これも継続的に)、あとは機会があれば妊婦さんや子どもを直接援助したいなと思っているくらいだ(最後のは思っているだけで実行できていない)。

当たり前なのかもしれないけれども、月日が経つごとに震災の情報は減っている。
でもいつか報道がゼロになったとしても。
私の目に耳に、なにも届いてこなくなったとしても。
想像することをやめたくない。私は。
たいせつなひとやものを現実に失うかなしみ。いたみ。
きっとそれはちいさくなっていくことはあったとしても、消えることはないだろう。
とてもたくさんのひとたちがそういう思いを抱えていること。
忘れてはいけないこと。忘れられないこと。

夫の事務所まで歩き、仕事の手伝い。
やれるうちにやれるだけやっておきたい。

ストレスチェックのときはほぼ眠っていて助産師さんを困らせていたちびだが
仕事をはじめるとやはり元気に動いている。
それでも動く場所が減ってきたような?
いまは足くらいしか動けないでいる感じ。
いよいよ出産に近づいているのだろうか。

夜は「とん太」で夫はロースカツ、私はヒレカツをいただく。
おいしい。来てよかった。
私のなかでの「出産までに食べておきたいもの」は、ほかにもまだまだあるのだけれども
「とん太」に行けたことで結構満足してきた。

ありがとう、もう結構、満足したよ。
と夫にいうと、
ゴールデンウィークにいろいろやりつくせてよかったなあ、と夫はこたえる。
そう、本当に、いろいろやりつくせてよかった。

それに妊娠期間についても。
私のまわりの妊婦仲間たちはたいていみんな体調を壊したり、危ない目にあったりしていて、
それなのに私は皮膚炎とつわりくらいだ。
それにはたくさんの理由やなにやらが絡み合っているわけなのだが、
私にとっては夫が私を休ませてくれていたこと、がとてもおおきいと思う。
肉体的にも、精神的にも。いろいろな意味で。要素で。
ずうっとゆっくりさせてもらったり協力してくれてたから、きっとここまで無事に来られたんだよ。本当にありがとう。
と夫に伝える。しみじみとした感謝の気持ち。

ちびちびは相変わらず暴れている。
きっと元気な子どもだろう。
もうすぐ会える。本当に楽しみだ。