こんにちは。

 

前回まで10回にわたって「割とタメになる年金の話」として、独断で選んだ10のテーマについて、時には専門書の力を借りながら、掘り下げてきました。

 

そのなかで思ったのは、普段何気なく接している「年金制度」ですが、そこには様々な経緯があり、複雑な事情が絡み合って、出来上がっているということでした。

 

年金を扱う専門家としては、その上っ面をなぞるだけでなく、奥底に潜む制度の根幹を追い求め、それを踏まえたうえで、的確なアドバイスが出来たらと改めて感じたところです。

 

さて、そんなことを思っているさなか、第4回で取り上げた「モデル年金」について動きがありました。

 

先日開催された「社会保障審議会」で、年金の給付水準として示されてきた「モデル年金」について、昨今の世帯の形態や賃金水準に着目し、多様な形で示すとした事務局案が示されたのです。

 

その資料を見ると、現役期の報酬や年金加入状況に応じて、単身世帯、夫婦世帯(共働き・片働き)、自営業者、短時間労働者などの組み合わせを類型化した事例が示されています。

 

例えば、「共働き世帯」で、男性(平均的収入)+女性(短時間の平均的収入)なら、月額260,967円といった具合です。

 

これもあくまで目安に過ぎないのですが、これまでの「単一モデル」しかなかった状況からすると、一歩も二歩も前進していると言えます。

 

こうした形で具体的に年金額が示されることで、例えば「年収の壁」問題に代表される誤解や曲解に基づく不正確な年金情報も、少しは是正される方向に向かうことが期待できそうです。

 

年金制度も「いきもの」という認識で、時代に即して改善が加えられるべきものと、今回のシリーズを通じて、実感しています。

 

今回もお付き合いいただきありがとうございました。次回の更新でお会いできたら嬉しいです。