1位 アナログフィッシュ 『荒野/On the Wild Side』


理由:2011年で唯一「ロックンロールの希望」を見いだせたアルバム




2位 毛皮のマリーズ 『TIN PAN ALLEY』


理由:3.11以前の輝かしき「東京」を切り抜いた奇跡の一枚




3位 踊ってばかりの国 『世界が見たい』


理由:2011年になってついに現れた「脱セカイ系」




4位 坂本慎太郎 『幻とのつきあい方』


理由:『空洞です』の空気感をさらなる高みへと昇華させた1枚




5位 Base Ball Bear 『新呼吸』


理由:「バンド」が10年で培ってきたすべてを詰め込められた傑作




6位0.8秒と衝撃。 『1暴2暴3暴4暴5暴6暴、東洋のテクノ。』


理由:21世紀的ポストパンク。おそらくジョニー・ロットンもびっくりの一枚




7位 salyu × salyu 『s(o)un(d)beams』


理由:作詞、作曲、歌唱のいずれをとっても隙がない、それでいて実験性にあふれていた




8位 阿部真央 『素。』


理由:まさに「ポップ」で「パンク」な一枚。ティーンネイジャーの希望




9位 東京事変 『大発見』 


理由:「椎名林檎」というディーヴァを「東京事変」が乗り越えた瞬間




10位 Perfume 『JPN』


理由:サウンド・パフォーマンス、そしてこの1年の活躍的にも日本代表!な一枚


na0の転がる石 苔まみれ

東京事変 『大発見』 2011年6月29日発売
TOCT-27070 EMI ミュージックジャパン

前作から1年4ヶ月ぶり、今までで一番早いペースでの5作目。椎名林檎2作目『勝訴ストリップ』からのマナーであった曲名のシンメトリーを捨て、すべて全角7文字13曲+1で構成されている。

確かに前作よりキャッチーさは無い。それどころか今までとは違うエスニカルな雰囲気で始まる1曲目『天国へようこそ For The Disc』のイントロは聴く人によってはとっつきにくさや難解な印象すら与えるだろう。

しかし聴くべきは『ドーパミント!BPM103』に続く後半の楽曲群である。10曲目『かつては男と女』は東京事変発の本格ファンクロックソングということで浮雲のギターがスゴイ走っている。M8『恐るべき大人達』は亀田+林檎のタッグでJAZZマナーに忠実な、それでいて亀田らしい爽快感を感じさせる。M12『風に肖って行け』は3作目『娯楽』の『復讐』以来、東京事変ハードロック復活で、鍵盤なしのゴリゴリロックソングだ。シングルにもなったM12『空が鳴っている』は亀田作曲にしては珍しいシリアスチューン。だがサビのキャッチーさは…言わずもがなである。

そして今回のアルバムの核となっている(だろう)M9『21世紀宇宙の子』。東京事変のメジャー担当亀田+東京事変影の帝王(だとボクは思っている)伊澤の初タッグによる事変的ロックソング。そして椎名林檎によるどストレートな歌詞。まさに文句のつけようもない王道。

今作で感じたのは「椎名林檎」の希薄さである。昨年の怒涛のリリースラッシュに加え濃密なツアースケジュールはバンドメンバーの個性を融け合わせ(まぁ『女の子は誰でも』はともかく)椎名林檎というディーヴァの存在がかすむほどになった。思えばやはり東京事変というのは椎名林檎を軸に成り立っていたバンドであった。その椎名林檎のカリスマ性にバンドメンバーが追いついた、イヤもはや凌駕した、その結果がこの『大発見』である。シンメトリーをやめたのはこのアルバムが「椎名林檎の作品」ではなく正真正銘「東京事変の作品」である、という誇りの表れであろう。メンバーの交代、製作スタイルの変化を経て、ひとつのバンドととして完成した東京事変、第3章のスタートである。

na0の転がる石 苔まみれ

andymori 『革命』 2011年6月8日発売

XQFQ-1114 Youth Records


ドラムの脱退・新規加入を経て、andymoriからの約1年4ヶ月ぶりの3rdアルバム。


今回は冒険作だったと思う。これまでの2作にはあったvo.小山田独特の歌詞世界はなりを潜め、平素な話し言葉のような歌詞で勝負してきた。結果は一長一短といったところか。1作目でいえば『ベンガルトラとウイスキー』、前作でいえば『CITY LIGHTS』のような“超”がつくほどの名曲は見つけられないが、アルバムとしての一定のテンションやムードのようなものは保たれている。


歌詞のクロスオーバーも少ない、というか極端に減っている。コレは少し痛い。あの「アルバム」としての演出方法は非常に聴いていて楽しかったからぜひ続けてほしかった。ただ1曲目『革命』では前作『ファンファーレと熱狂』を思い起こさせ、思わずニヤリ。そして今回ぜひ聞いてほしいのは8曲目『peace』。サビでのシャウトはandymoriというバンドの殻をも破る強力な一声である。


『革命』とは大それた題名だ。だが、彼らが前作で礼賛したこの世界は不完全なものであった。この世界が正しい道に進むには文字通り『革命』が必要なのだ。その革命の指導者は、ガンジーのような指導者でもナポレオンのような英雄でもなく、我々一人一人の内なる心の声である。そんなことをこのアルバムは語りかけている。

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James Blake 『James Blake』 2011年6月8日発売
UICP-1126 ユニバーサルインターナショナル

このアルバムを一言で説明するのは簡単である。「本物」。これだけで済む。しかし、それ以上で説明しようとするのは非常に難しい。ダブ・ステップというにはあまりに希薄で、ソウルというにはあまりに脆弱である。早くも「ポスト・ダブ・ステップ」などと呼ばれ始めてるが、そんな簡単な言葉でかたづけていいもんじゃないと思う。

1曲目『Unluck』からしてやられた。静かなキーボードの音色と一瞬の轟音、そして最低限のリズムでループするイントロに呟くようなJamesのヴォーカルが絶妙である。そして2曲目『The Wilhelm Scream』は次第に広がるサウンドの奥行きに思わず目がくらんでいく。3曲目『I Never Learn To Share』は「僕の兄弟たちは僕に話しかけようとしないんだ/でも僕はそのことを責めたりなんかしないよ」というループするうなJamesのVocalが涙を誘う。

間違いなく今年のベストアルバム候補であろう傑作。今年を代表する1枚、今のうちに聴いといて絶対に損は無い。

ちなみに上記の曲番号は輸入盤のもの。国内盤のボーナストラックもかなりいいけど、やはり1曲目は『Unluck』で聴くべき。
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Arctic Monkeys 『Suck It And See』 2011年6月1日発売
HSE-10111 Hostess Entertainment

北極猿・4枚目、約2年ぶりの新作は確実な成長がみられる傑作。前作に引き続きプロデューサーにJames Fordを迎え、今作は初めての正統派ロック&ポップス。1st、2ndの疾走感あるメロディとも3rdのQueens Of The Stone Ageのようなダークでブルージーなサウンドとも一味違う、風格漂う一枚に仕上がっている。

Vo.Alexの歌い方は前作『Humbug』の延長線上にあるがよりスウィートに、曲調も前作の根底にあるBlack Sabbathのようなへヴィネスではない。いやというよりはへヴィネスを抱えながらも、そこにダンスミュージックのような軽快さが加わっていたりソフトロックやネオアコのような爽やかさが感じられたり、非常に魅惑的な薫りを醸し出している。

何より曲調の幅がここまで広がるとは思ってもみなかった。1曲目『She's Thunderstorms』のイントロを聴いた段階では『Humbug』のような感じかと思ったら、次の瞬間にはもう裏切られ、2曲目『Black Treacle』のUKにもUSにもないギターリフに心をわしづかみにされ、3曲目『Brick By Brick』ではAlexに代わり、Mattによる"I Wanna Rock'n'roll"×3にメロメロである。6曲目『Library Pictures』では1stアルバム『Whatever~』の時のような初期のノリを思い出させてくれるし、8曲目『Reckless Serenade』のベース・イントロは聴いた瞬間Nirvanaが脳裏に浮かんだ。アルバムタイトルにもなった11曲目『Suck It And See』の甘い、甘い歌詞世界とネオアコのようなメロディにはもはや微笑まずにはいられない。

正直前作の重苦しい空気感にはなじめなかったが今回は1stに次ぐ傑作だと思う。よく彼らのことを紹介する時「あのニキビ面の少年たちが~」等とかいてあるが、もうあの頃の彼らを振り返る必要などは無い。Arctic Monkeysの「今」が集約されたこのアルバム1枚で彼らを語るには十分である。