
Arctic Monkeys 『Suck It And See』 2011年6月1日発売
HSE-10111 Hostess Entertainment
北極猿・4枚目、約2年ぶりの新作は確実な成長がみられる傑作。前作に引き続きプロデューサーにJames Fordを迎え、今作は初めての正統派ロック&ポップス。1st、2ndの疾走感あるメロディとも3rdのQueens Of The Stone Ageのようなダークでブルージーなサウンドとも一味違う、風格漂う一枚に仕上がっている。
Vo.Alexの歌い方は前作『Humbug』の延長線上にあるがよりスウィートに、曲調も前作の根底にあるBlack Sabbathのようなへヴィネスではない。いやというよりはへヴィネスを抱えながらも、そこにダンスミュージックのような軽快さが加わっていたりソフトロックやネオアコのような爽やかさが感じられたり、非常に魅惑的な薫りを醸し出している。
何より曲調の幅がここまで広がるとは思ってもみなかった。1曲目『She's Thunderstorms』のイントロを聴いた段階では『Humbug』のような感じかと思ったら、次の瞬間にはもう裏切られ、2曲目『Black Treacle』のUKにもUSにもないギターリフに心をわしづかみにされ、3曲目『Brick By Brick』ではAlexに代わり、Mattによる"I Wanna Rock'n'roll"×3にメロメロである。6曲目『Library Pictures』では1stアルバム『Whatever~』の時のような初期のノリを思い出させてくれるし、8曲目『Reckless Serenade』のベース・イントロは聴いた瞬間Nirvanaが脳裏に浮かんだ。アルバムタイトルにもなった11曲目『Suck It And See』の甘い、甘い歌詞世界とネオアコのようなメロディにはもはや微笑まずにはいられない。
正直前作の重苦しい空気感にはなじめなかったが今回は1stに次ぐ傑作だと思う。よく彼らのことを紹介する時「あのニキビ面の少年たちが~」等とかいてあるが、もうあの頃の彼らを振り返る必要などは無い。Arctic Monkeysの「今」が集約されたこのアルバム1枚で彼らを語るには十分である。