母はすでに起き上がることができません。話をすることさえできなくなりました。緩和治療のひとつに睡眠薬を使用している影響で、昼間もうつらうつらしています。目をつぶったり、半眼になったり、人の話は目をつぶったままでも聞こえているようです。私たち家族や看護士さんが話しかけると、顔を縦や横に振り、「うん、うん」と小さく声を発します。何かを思い出したかのように、時々うっすら涙を浮かべることもあります。
すでにトイレへ行くこともできないので、介護用オムツをさせられています。プライドの高い母には辛く過酷なことだと想像します。そのオムツに最近血便が出ていたことを知らされました。すでに検査を受けることができない体では、看護士さんも想像で説明するしかありません。おそらく大腸に癌が転移し、腸壁を傷つけ、そこから出血しているのでは?とのこと。母の体はすっかり癌細胞に侵されていることが想像つきます。
癌細胞はなぜそこまで人の体を蝕むのでしょうか?一体癌って何でしょうか?なぜ正常な細胞は癌細胞を排除することができないのでしょうか?色々と疑問が残ります・・・
私たち家族は、面会以外いつでも病院からの電話を受ける状態にいます。いつでも病院へ駆けつけることができるようにしています。病院側は医療的な判断に基づいて家族を招集するようです。
その医療的判断とは;
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・手足の温度が急に下がる
・手足が紫色になる
・呼吸が荒くなる
・脈拍が遅くなる
・心拍数が低下する
・血圧が下がる
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などです。
これらが死の予兆となります。人によって明確に現れる人と、そうでない人がいるようです。病室で看護士さんに「今日は血圧正常で、平熱ですよ。」ってよく報告されます。それは一体何を意味するのだろうと、なんとなく気になっていました。実は言い方を変えれば「死の予兆は今のところないですよ。まだ大丈夫ですよ。」という意味だったのです。
母はあと何日生きることができるのでしょうか?そして最期は一体どうなるのでしょうか?心休まることのない日々を過ごしています。