タマキビガイ 海水が届かない所にひしめく
貝が準備体操などするはずもないが、そのほうがわかりやすいだろう。
お野人も水泳レース前や、海に潜る前に準備体操などしたことないが、わかりやすいどころか誰からも理解されなかった。
今回は水に入る前の準備体操ではなく、陸に上がる前の準備体操だな。
昨日の「海と陸の境界線散策ツアー」で解説したのがこの珍妙な貝。
名はタマキビガイで、タマキビとはトウモロコシのことで、それくらいの大きさ。 美味しく食べられるのだが小さ過ぎて面倒くさい。
食用と考えれば最大の利点は「満潮でも簡単に大量捕獲出来る」ことだな。
小さくて可食部は少ないが、「ほうきとチリトリ」持参すれば一網打尽に出来るシイの実のようなもの。
ヒマなら、茹でて針で身を根気よくホジって集めても良いが、シジミのような汁物が簡単。
このタマキビガイ、海水が嫌いで水中を好まない。
潮が満ち引きする区間を潮間帯と呼ぶが、その上は潮上帯、波しぶきがかかるので飛沫帯とも呼ばれている。
集団生息域はこの飛沫帯であり、潮が引くと下に降りて海藻など食べている。 満ちて来ると一斉に上部へ避難・・
なんともおかしな貝だが、わかりやすく明貝だな。
海中では魚に食われるから外で暮らしているとも言われるが、それは貝だけでなく他の生き物もリスクは同じ、陸に出れば鳥や動物が待っている。
よく考えれば簡単なことで、理由は上陸への準備体操でしかない。
つまり上陸過程の生きた見本・化石と言うことだな。
不思議で終わってしまえば身も貝のふたもなく思考は止まる。
それぞれの個体も種も意思を持っている。
植物もまた緑藻類・コケ類から空気と真水に体を慣らし、体をコンパクトにして上陸して行った。
海洋生物上陸初期は真水が集まる河口に限られ、先駆者達が表土を築き、地上を緑化・保水して海岸線まで動植物の生息域が広がったから海岸・干潟からの上陸が可能になった。
でんでんむしもまたこの過程を経て上陸、内陸部から山奥まで進出した。 種が異なるから後追い上陸しても・・
でんでんむしはタマキビガイをでんでんむしするだろう。
食物連鎖のリスクは海中も陸上も同じ、常に海中にいたほうが食餌時間が長く成長もはるかに早い。
牡蠣の養殖は干潟から常に海中に浸すことで生長速度を早め、密生をばらして個体にすることで型を大きく整えた。
エサは同じプランクトンだから名は養殖牡蠣でも天然と同じ、人間が環境は整えてもエサを与えないのだから養殖ワカメもアオサも天然。
海藻や牡蠣はじめ、海底ではなく潮間帯に生息する生き物の目的は皆同じ。
空気に慣れ、真水に慣れ、熱気と乾燥に耐えている。
みんなみんな上陸への準備体操だと思えばよい。
磯は進化・上陸を目指す生き物達のゴールドラッシュ
まだ水の割合が多い生き物、干潟の上部で暮らし空気の割合が多い生き物。 そのような目で干潟を見たことはないかな。
タマキビガイはその中でも上陸大賞グランプリ受賞間近だな。
その次の金賞に当たりそうな貝は「カメノテ」だ。
タマキビガイ同様に潮間帯の上部で暮らし、潮が満ちても容易に採取出来る。 これもまた満潮時に先端部を開いて捕食、終日海中のほうが楽なはずなのだが。
タマキビガイは産卵時だけ深さ数mの海中に入る。
やれば簡単に出来るのだが、やらないのは明確な意思があるからだ。
他にも陸から、あるいは川から河口や海に戻り産卵する生き物もあり、その逆もある。
猛毒のエラブウミヘビは陸から海に再び降りたコブラだが、繁殖時は上陸して磯の洞窟に一斉に集まってくる。
この海中市民マラソンみたいに大勢がエントリーした海藻動物入り乱れての上陸レースは本当に面白い。 本などの文字や絵で学ぶよりも磯のほうが思考回路は間違いなく磨かれる。
図鑑はたくさん持っていたが、学者が書いた本は本当に面白くない。
知識を広げる学問の為のお勉強は役には立たない。
上陸レースランキング表でも作れば観察が面白くなる。
カサガイ イボニシより平均水深20cmリード ・・とか
ヒジキ ワカメとデッドヒート ・・とか
図鑑を見ながらの自由観察からは自由な感性以外何も生まれない。
テーマを決めて理を教えるのは大人の役目だな。
む~さああ~~ん お腹空いた・・
太陽が・・ いや 扶養家族がいっぱい
これでどうじゃい~ 返答は現物の理で示す
また・・獲っちゃった でかいの・・
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