逃げ遅れた野人 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

病院から帰ってからもむー母のお口は滑らかに、一方的に回り続けた。


「いくら言ってもお前は言うこと聞かず、乱暴で小学校の時は苦情ばかり・・汗

「中学では先生から呼び出されてばかり・・汗

「思えば・・毎月頭下げてばかりだったわよ」

「でも不思議なのよね~~あれだけ徹底してやれば嫌われても仕方ないのに、お前を頼ってくる子は年齢男女を問わず大勢・・皆いい子ばかり、月とスッポン」

「たぶんあれだわ お前は面白いのよ~遊びの天才」

「新しい遊び、笑える面白い遊びから危険な遊び爆弾、道具の発明まで、大人も驚くような創作力を持っていたわ」

「頭下げてばかりだったから褒められたことクラッカーは今も覚えているのよ」


「何処かのおじさんがビワをどっさりお前にと、届けて来たのよ」

「お前の友達の一人が、これ伯父さんのビワの木だからいくら食べてもいいぞ・・と言ったらしく、5人で木に登って食べていたのを見つけた伯父さんが・・

コラ~~ビックリマークって怒鳴りつけたら、皆クモの子を散らすように逃げ去り、お前だけが逃げずに堂々と木の上で食べていたと言うのよ」


以下・・


「泥棒はいかんぞ 下りて来んかこのクソガキ」


「泥棒じゃねえ 伯父さんのビワだから好きなだけ食っていいと言われたんじゃ」


「言ったそいつも皆も逃げたろうが」


「泥棒でもねえのに何で逃げないかんのじゃ おじさん・・誰?」


「その逃げたバカタレの伯父さんじゃパンチ!


「このビワ美味しいねドキドキ ありがとう~伯父さん音譜


・・・と、まあこんな会話だったらしい。

ニコニコしながら お野人は食い続けていたと言う。


伯父さんが持参したビワは泥棒呼ばわりしたお詫びらしいのだが・・

とにかく度胸抜群、筋が通り、お礼まで言う礼儀正しさに感心したと言う。

「悪いのは甥っ子で、たかしちゃんは友達を最後まで信じ抜いただけじゃもんなあ・・泥棒・・なんて、悪いこと言ってしもうた」


いいのよ~~音譜あの子はそんなことまったく気にしないし落ち込みもしないわ ビワどっさりひらめき電球もらって喜ぶから~ドキドキ


むー母にとっては数少ない嬉しい出来事だったようだ。

まあ~~~ったく お野人は覚えてないが ともかく

よかったな・・母ちゃん 息子としても嬉しい。

頭下げるばかりじゃ 人生つまらんしな。


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