崖の上から 鳥のように両手を広げて
空へ向かって羽ばたいてはみたが・・ルパンみたいに
やはり・・真っ逆さまに 落下した
いつものように脳天から真っ直ぐ着水すれば良かったのだが
致命的な失敗をした
つい・・目を開いて下を見ると 海面が迫り
顔面を・・
「ビッタ~~ン」・・と 水に打ちつけ
あたま・・・キンキラキ~~ン
悶絶・・いや そのまま気絶した
落下する全体重を顔で受け止めたのだが 顔面張り手とムチ打ちを同時に食らったようなものだな・・
やがて・・・スイカのように プカ~~っと
浮いてきた野人を見て皆大慌て
友人達と 陸岸を自転車で通りがかった大人が一緒になって引き上げてくれた
しばらくノビていた野人は意識を取り戻した
救急車の世話になるまでもない
前科があるから・・
「また こいつか」と言われかねない
1mの高さからでも 胴体着水すれば派手な音がして腹が痛い
10mの高さからの高飛び込み競技は波しぶきが立たない
派手な音がしてしぶきがあがるほど角度が悪く
場合によっては歯も折れる
数十メートルともなれば命懸け 海面はコンクリートと同じだ 着水面積を小さく 垂直に入水しなければ命を落とす
着水面積が大きいほど抵抗も衝撃も大きい
足から入水しても股関節を傷めたり骨折したりする
「たかしちゃん 痛かったろうが~」
「いや 気持ちよかった・・」
「ほんと・・か ?」
「やって見りゃわかる・・」
「首・・直角に曲がっとったぞ・・」
「すぐに戻るから・・大丈夫じゃ」
それからサザエとタコ獲って山分け
帰って 失態を母に報告すると・・
「何度落ちれば気が済むの」
「誰が助けてくれたの?」
「知らんオッチャン」
「また人様に迷惑かけて」
・・・と お説教しながら
野人の頭を左右前後に コキコキ・・
グルグル回して念入りにチェックしていた
痛い目に遭う度に人は学び 森羅万象の理が身に沁みてわかるようになる
仕組みが理解出来れば同じような失敗をやらかすことはなくなる
親の言葉に忠実なお利口さんは最初からバカな事はやらず言葉で学ぶ
しかし身を持ってバカなことをやったほど理功になることは間違いない
これが言葉と仕組みの違いだな
以後 高飛び込みに失敗したことは一度もない
人類は狩りの失敗から知恵を磨いた
知力を磨くには代償が必要だが 野人はあまりにも多過ぎるな
ダメージの分だけ記憶力が消失
バカの度合いも・・増す
これじゃあ 身がもたん
珍話列伝 頭が変な理由1
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珍話列伝 頭が変な理由2
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