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白頭山に噴火の兆候②

 以前、白頭山に噴火の兆候があるとする報告を紹介しました。
 それ以降もぽつぽつ噴火の兆候を示す報道がありましたが()、新たな報道がありました。↓が詳しいでしょうか。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/05/21/2012052100779.html 

 えーっと・・・。直感的には東北地方太平洋沖地震に影響を受けて噴火するという話はにわかには信じがたいです。リンク先の記事に出てくる韓国専門家の反応のほうが納得できるものがあります。要旨が公開されているので見てみましょう。
http://www2.jpgu.org/meeting/2012/session/PDF/S-VC50/SVC50-10.pdf 

 むろん要旨だけでは詳細は分かりませんが、「東北地方太平洋沖地震の影響を受ける」などという言葉は、要旨のどこにも出てきません。いくら要旨とはいえ、記事との乖離が激しすぎます。いつぞやの「太陽活動が過去の気候に影響を与えた可能性がある」という報告が「太陽活動の低下によってミニ氷河期が訪れる」という報道に変わってしまった事例を思い出します。
 一方、もし谷口名誉教授が報道各社に本当にこのように語ったのであれば、あまりにも根拠に欠けると現段階では言わざるをえません。日本近海では10年に一度はM=8前後の地震が起きています。朝鮮日報の記事では白頭山噴火の兆候としてM=7.2~7.4の地震が挙げられていますが、この規模の地震までカウントするなら毎年のように発生しています。
 これだけ地震があるなら、噴火の前には必ず日本のどこかで地震が起きているわけで、そりゃあ「噴火の前には地震がおきる」と言っても間違いではないでしょうね。「噴火の前の年は雨が降ったことがある」並に意味のない話ですが。
 
 報道の勇み足か、名を成した研究者にありがちな「何でも因果関係を付けたがる癖」が出てしまったのか、それともまだオープンにされていない決定的な根拠があるのか(可能性は低そうですが)・・・。詳細が楽しみです。

 なお、地震との因果関係は別として、白頭山に噴火の恐れがあるのは事実でその対策を考えるのは重要なことです。噴火の規模によっては日本も大きな影響を受けるのは以前紹介したとおりです。

停電テロ!?

http://mainichi.jp/select/news/20120519mog00m040007000c.html

 これはひどいなあ・・・。
 
 この発言が論外なのはいいとして、古賀氏が関電が停電テロを起こすと本気で考えているのなら、その対策をどうするつもりか、ぜひお聞かせいただきたいものです。まさか対策も無しにテロリストを挑発するような発言をしているわけないですよね?

beyond 400

 綾里の観測地点で、日本では始めて二酸化炭素濃度が400ppmを超えたとの報道がありました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120516-00000100-jij-soci 

 
日本の観測地点の二酸化炭素濃度変化(上段)。気象庁HPより。


  とはいえ、日本の観測地点では初めてというだけであって、海外に目を向けると、北半球の高緯度地域では400ppmはとっくに過ぎ去っている地域もあります。400という数値は象徴的ではありますが、特に重要な画期というわけでもありません。


 ドイツ、NeuglobsowのCO2濃度経年変化。温室効果ガス世界資料センターHPより。2006年頃には400ppmを上回るようになっている。



 さて、この400ppmという値は、歴史的に見るとどの程度の濃度なのでしょうか?まずは、直近40万年を見てみましょう。南極のアイスコアから再現した値で、これはかなり信頼性が高いデータです。


 wikipediaより。過去40万年の間、大気中の二酸化炭素濃度は常時300ppm以下。400ppmという値が、ここ40万年の間ではいかに異質かがよく分かります。


  では、さらに過去はどうでしょう?新生代(約6,500万年前~現在)の歴史を見てみます。ただし、ここまで遡ると氷床コアのデータを得る事ができなくなり、推定にかなりのバラツキが発生します。                 

                         
 doi:10.1038/ngeo1186より。 ここ2,000万年ほどの二酸化炭素濃度は250ppm程度でかなり安定していましたが、約500万年前と約1,700万年前に400ppmに迫る(あるいは上回る)濃度だったことが分かります。何より、2,500万年より昔はかなり濃度が高く、1,000ppmを超えていた時期すらありました。そしてこの時期(新生代前半)は地球の平均気温がおそらく現在よりも10℃以上高温で、両極に氷床は存在しなかったと思われます(過去記事参照)。


  さらに過去、5億年分を見てみましょう。
過去記事から再掲します。

 
約5億年分の二酸化炭素濃度変化。global warming artより。

 中生代には、二酸化炭素濃度は数千ppmに達していた時期があると推定されます。もちろんこの時期の地球は非常に温暖で、極地に氷床などありませんでした。



  ここまで見ると「400ppmという値はたいした物ではないのではないか」と思われるかもしれません。実際、ネット上ではそのような意見が散見されます。しかし、残念ながらそれは誤った考え方です。
 確かに400ppmという値そのものには大した意味はありません。わずか30年の間に二酸化炭素濃度が50ppmも増加した、その変化にこそ脅威があるのです。そして、その増加は今後も続きます。
 熱帯にも大都市があることから明らかな通り、現代文明は高温そのものには十分対応できます。しかし、現代文明は気候の「変化」に対しては対応が難しいのです。「二酸化炭素濃度が高いこと」ではなく「二酸化炭素濃度が上昇し続けていること」、「地球が温暖であること」ではなく「地球が温暖化しつつあること」、その変化が大いなる脅威であることを認識してもらいたい、と思います。


シェルノサージュ

http://social.gust.co.jp/pc/cielnosurge/flash/index.htm

うう、相変わらずすばらしい音楽です。6/8拍子。PS Vitaは持っていないけど、これのためだけでも欲しい・・・。

おひさしぶりです

 このところちょっと忙しい日が続き、全然更新できていませんでした・・・。
 とりあえず簡単な更新を。

 海から見ると、温暖化は全く止まっていない
http://news.sciencemag.org/sciencenow/2012/04/scienceshot-no-letup-in-worlds.html?ref=hp 

                                                            上記リンク先より

 海は膨大な熱を蓄えています。その量はここ数十年、着実に増え続けています。
 上図は、水深2000mより浅い海水が蓄積している熱量の推移を示しています。平均気温が乱高下をしながら上昇傾向を見せているのとは対照的に、ほぼ一環して上昇を続けています。海水は温まりにくく冷めにくいという事実をよく反映しているでしょう。気候変動の長期傾向を議論する際には、海水の蓄熱量は気温よりも優れた指標となります。
 仮に、この50年の間に2000m以浅の海水が蓄積した熱を全て大気に放出したとすれば、地表付近の平均気温はなんと36℃も上昇する計算になります。海水がどれほど莫大な熱量を吸収しているか、端的に示すデータです。