白頭山に噴火の兆候
中国と北朝鮮の国境に、白頭山 という火山があります。写真は白頭山山頂にあるカルデラ湖「天池」。なんとも美しい山です。
この白頭山が数年のうちに噴火する可能性が高い、というニュースがScienceに掲載されました(doi:10.1126/science.329.5991.498-a )。
かなり重大なニュースですが、私はこのScienceの記事で初めて知りました。検索してみるといくつか報道はされていたようです。
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/100619/kor1006191910005-n1.htm
これはかなり「気持ち悪い」ニュースです。遠い外国の火山と思う無かれ、白頭山の噴火は全世界に影響を与えうるものです。
西暦1000年前後、白頭山は大噴火を起こしています(8/4追記:最近の研究ではもう少し早くて、AD950年前後ではないかとする報告が多いようです)。この時の火山爆発指数(VEI)は6ないし7。今年のエイヤフィヤトラヨークトルの噴火規模の、実に1000倍に達します。この2000年間で2番目に巨大な噴火だったとされています。この時の火山灰は、約1000km離れた日本にも到達し、東北地方では10cmほども堆積したと言われていますから、その規模が実感されます。
http://www.volcano.si.edu/world/volcano.cfm?vnum=1005-06-&volpage=erupt
現代文明、特に先進国は、この規模の噴火を経験していません。風向きによっては東京などでも火山灰は到達するでしょう。そのとき何が起きるのか、なかなか想像ができません。交通障害はもちろん、細かい灰による健康被害や、灰の堆積による農業への被害、電子機器の障害なども起きうるでしょう。
また、VEI=7ともなると全世界の気候に多大な影響を与えます。1815年、有史以来最大規模だったタンボラ山の噴火が起きました。これは白頭山の噴火よりやや大きいくらいの噴火でしたが、この時、全世界の平均気温は1℃近く低下したと考えられています。しかもそれは10年近く続いたと考えられています(近年、別の噴火の影響も加わっていたと指摘されているようですが)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%8F%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%84%E5%B9%B4
今回の噴火が1000年前の噴火ほど大規模なものになるとは限りませんが、注視する必要があるかと思います。