握力 | 石丸怪鳥のダイエット大作戦

握力

握力:5キロ増で、死亡率は男女とも約1割減少

 握力が強い中高年ほど病気による死亡率が低くなるという調査結果を、日米共同研究機関・放射線影響研究所(広島市南区)の佐々木英夫・専門委員らの研究グループがまとめた。握力が5キロ強くなるごとに、死亡率は男女とも約1割小さくなるという。3日付の米医学誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・メディスン」に掲載された。

 加齢に伴う筋力低下などと原爆被爆の関連を調べる一環で、70~72年に握力を測った被爆していない人も含む約5000人(測定時35~74歳)を追跡調査した。99年までに亡くなった約2500人を男女別に3年齢層(35~54歳、55~64歳、65~74歳)に分け、各年齢層ごとに、握力の強さ別に5集団に分類。死因のうち、がん、心臓疾患、脳卒中、肺炎と握力の強さとの関連を解析した。

 この調査対象については被爆との関連はなかったが、握力が平均値に近い集団の病気による死亡率を1とした場合、握力が強いほど死亡率が低く、弱いほど死亡率が高い傾向を各年齢層の男女で確認した。35~54歳の男性の場合、平均的握力の集団と比べて、握力が最も強い集団では死亡率は0.52だった。疾患別に解析すると、がん以外でも同様の差が出る傾向があった。

 全データの平均では、握力が5キロ強くなるごとに、死亡率は男性で11%、女性で13%下がった。

 握力は筋力の代表的指標で、握力の強い人は全身の筋力も強いと考えられるという。佐々木専門委員は「筋肉量の多さは糖やたんぱくの代謝と関係する。調査結果は、筋力を維持する運動習慣があるかどうかの反映だろう」と話している。

【宇城昇】

毎日新聞 2007年4月4日 0時48分


183センチの長身を折り曲げ、アンダースローから繰り出した変化球が、コーナーいっぱいに決まった。フォームは昔のまま。日本ハムなどで通算169勝を挙げた元プロ野球投手の高橋直樹さん(62)は昨年から、60歳以上の還暦野球チーム「品川トータス」のエースとしてマウンドに立つ。

 41歳で現役引退後、コーチや解説者を務めたが、知り合いの誘いで還暦野球を知った。学生野球の経験者から草野球レベルまで、元会社員や自営業など職業も様々。「交流の輪が広がるのも、楽しみですね」

 慣れない軟式球に昨年は何度か肩を壊し、久々の全力疾走で足の肉離れも起こした。今年はその反省から、近くの公園で毎日30分のシャドーピッチングとジョギングを欠かさず、週1回の試合に備える。

 還暦チームは、東京だけで60、全国に1000とも言われ、全国大会も開かれる。70歳以上限定の古希大会もある。

  スポーツ医学の進歩も、中高年の活動的なライフスタイルを支える。群馬県沼田市の自営業桑原克夫さん(68)は2004年8月、試合中、けん制球に逆をつかれ、右ひざのじん帯を切った。再建手術を受け、1年間のリハビリを経て昨年復帰した。

 ひざのじん帯が切れても歩くことはできるため、「昔なら、50、60歳代への再建手術はあり得なかった」と、桑原さんを手術した善衆会病院(前橋市)スポーツ医学研究所の木村雅史所長は話す。

 しかし、スポーツ復帰への意欲を、傷口の小さい手術法の開発などが後押しし、年齢が拡大。スキーなどでも手術を受ける人がいる。「現役でいたいから」と桑原さんは言う。

 60歳からの健康は年齢よりも個人差が大きい。医療的なチェックで問題がなければ、海の中も大丈夫だ。

 テレビアニメ「サザエさん」がスタートした1969年から、母親の磯野フネ役を務める声優の麻生美代子さん(81)は、47歳で始めたスキューバダイビングを今も楽しむ。最近は、沖縄・慶良間(けらま)諸島がお気に入りだ。

 肺の機能が弱く、初期の緑内障で目がかすむことも、潜っていると気にならない。「海の中は無重力みたい。心身ともにリラックスできて、不眠も解消です」と麻生さん。ダイバー仲間の内科医、継仁(つぐひとし)さん(45)は、「水中ではひざや腰の負担は軽く、ダイビングは高齢者にも向いている」と話す。

 ただし、潜水中の事故は命にかかわる。動脈硬化が進んだ高齢者では、心筋梗塞(こうそく)なども心配だ。麻生さんが利用するダイビングショップ「東京ダイバーズ」は高齢ダイバーも多く、年1回の健診結果の提出を定め、ダイビングに詳しい医師の受診を勧めている。

 慶応大スポーツ医学研究センターの大西祥平教授は、「スポーツを通じた人の輪で精神的にも豊かになる。健康チェックを怠らず限界を知ることが、安全で長く続けるひけつ」と話す。http://www.yomiuri.co.jp/iryou/feature/